籾山由美の東京-島根 小さな暮らし東京にて、摘み草。
ぷらぷら散歩で早朝活け花。

(2011.10.21)

摘み草で四季を楽しみましょう。
東京ぷらぷら散歩にて。

暑さが収まった東京。早朝に活けるための摘み草の散歩を復活しました。ぷらぷら歩きながら立て替えで出来た空き地や道路の路肩に生える草を探して歩きます。袋と小さな鋏を持って散歩。草を鋏で切ったら、手のぬくもりを伝えないように袋に入れて散歩を継続。東京では公道の街路樹の間からなぜ? と首を傾げる植物が育ちます。里芋を見つけたことがあり、ええ? って感じ。もちろん自宅に飾りました。甲州街道のツツジの街路樹も面白くて何年も観察しています。

不思議なのは、ルコウソウとヒルガオ、ヒナゲシがツツジの街路樹をはみ出ず新宿に向かって進んでいると言う事、中野方面にも進みそうになりながらオペラシティ前で絶えた事実。新宿方面は1年に2mくらい進みオゾン前でルコウソウが絶え、ヒナゲシも絶え絶えです。ヒルガオは文化服装学院前を通過中。もちろん私が勝手に決めたスタート地点にはもう咲きません。一定の固まりで植物が移動するのです。摘み草をしながら面白いなーとひとりで楽しんでいます。笑)

ところで雑草、野辺の草と言う分類は名前を調べるのがとても大変。今回は図鑑10冊で名前をやっと確認しました。図鑑を1ページずつめくって付箋をはさみ調べます。図書館は偉い!最後は図書館でした。園芸種なら草土出版、野辺の草なら山と渓谷社がお薦めです。植物数が圧倒的に多い事、わかりやすいデザイン、植物の分類に工夫があり書籍の様に読み込んでしまいます。Wikipedia は、最初の突破口になる事があるのでウロ覚えの名前を検索にかけてみて下さい。意外と面白い物にぶつかりますよ。

草土出版
山と渓谷社
Wikipedia
ルコウソウ
ヒルガオ
ヒナゲシ

実の色がどんどん青から燻し金に。
秋の気配、へクソカズラ。

カズラを花留めに。葉の多い草は意識して切り取ります。

実のついている物を見ると、秋なのだな~と歩きながらふと考えたりします。その中でちょっと困り者がへクソカズラ。嫌な臭いがするからとヘクソカズラと命名されてしまいました。今の時期になるとへクソカズラの実の色がどんどん青から燻し金になります。生えているだけで臭いますが切ると出てくる汁で強烈な臭いになります。私は少量なら気になりませんが葉や実の青いうちは触らない方が無難ですね。

実が燻し金になって立ち枯れるとしまうと臭いがなくなります。場所を覚えておいて葉が枯れた頃採りに行くといいいでしょう。生えている場所は通り道の壁や駐車場の金網などに絡み付いています。今年は実をたくさんつけたへクソカズラを見つけたので燻し金になったら採りに行くつもりです。

向かって右から ササ、ケイトウ、茶色の実と小さな花はへクソカズラ、青い実はヤマカシュウ。


活け花では好まれる、「残(ざん)」。
ツユクサを主役に。

徳利は花器として風情あり。地味も派手もすっきり受けとめてくれます。

活ける器を探して棚を見たらずいぶん使ってなかった徳利と杯がお揃いで見つかりました。もう熱燗が欲しい時期なので、ではこれでと器を決めて残のツユクサを主役に活けて見ました。「残(ざん)」とは、その花の盛りや季節を過ぎても咲き残っている事をさします。活け花では好まれます。

話を戻して、どれも地味な草ばかりですが今の時期でなくては見られないそれぞれの緑色です。そしてそれぞれの秋です。そんな中、青や橙色が少しでもあるとずいぶん華やかに見えます。これが野の草の素敵な所です。今年を観察すれば次の年からの草の変化がわかり楽しいですよ。もう咲いたのか、今年は花が多いなとかね。お花屋さんのお花は豪華で気持が揺れますが、すっきりとした野の草の良さも味わってほしいなと思います。

向かって右から アレチノギク つぶつぶの実はケアリタソウ ツユクサ、莟状は花の落ちたオシロイバナ、橙色の実はヤブガラシ。

UFOみたいなチーズのケース。
不思議な形状の花を活けるのにピッタリ。

先日、六本木にある森美術館で< メタボリズムの未来都市展>を見に行きました。(~来年1月15日まで)それに影響を受けて活けた花です。花器はチーズが入っていた蓋付きのケースです。珊瑚にも見えるヤブガラシは東京に住むようになって知りました。今でも覚えています、NHK側のツツジの街路樹の上に覆いかぶさってこの実をたくさん付けていました。宇宙的! と私には感じられ見惚れてしばし道路に立ち止まって凝視していました。ちょっと変な人。笑)

この草は簡単にポキポキ折れてしまうこと、蔓物なのですぐに水が下がって萎れてしまうことが欠点です。つまり長さや高さのある活け込みがしにくいのです。でも今回はそれを逆手にとって小さく切って私なりのメタボリズムを表現してみました。

向かって右から 黄色のノゲシ、赤い葉はカナメモチ 、橙色の実と中央に立つ実は共にヤブガラシ、赤い莟付きはオシロイバナ。

虫食いのオオバコもアレンジ次第。

公園の一角にシロツメクサと混じって生えていたオオバコ。虫食いだらけです。よほど美味しかったのでしょう、食べられているのはオオバコだけ。食べたグルメ虫はどんな名前なのでしょうね。虫食いの葉も私には幾何学模様に見えて好きです。

で、しっかり見ようと葉を一枚引っ張ってみたらザクッと一株の根ごと抜けました。オオバコの丈が短いのでゼリーの入っていたカップでは深く沈みます。それでは面白くないので外に葉が広がるように上げ底の道具を使っています。道具は野菜の袋を留めるクリップ。このクリップを使ってみて思ったのは使い勝手のいい花留めになるということ。色も種類がありますから見せる花留めにもなりますね。ラッキーな発見でした。

向かって右から 桃色はイヌタデ、虫食いの葉は根付きのオオバコ、小さな葉はニシキソウ。

赤いヨウシュヤマゴボウ。
黒い実を取り除いて。

向かって右から 赤いヨウシュヤマゴボウ、金の実はへクソカズラ、紫はヤブラン、白い線入りはオリズルラン、丸い葉はミント。

たっぷり草を盛るとそれが花留めに。活け込みが上手くいきます。

洗っていてツルッと落として割れたオーバンマリーのスープカップ。残念でたまらず捨てられずに置いてありました。それも忘れていたのですが食器棚の一番下においてあったので今回花器として使ってみました。

枝部分が紅い植物はヨウシュヤマゴボウ。黒い実を全て取って活けています。葉以外は紅く、育つと2mを超えて育ったりします。木化はせずキャベツのような手触りで太い茎も美味しそうです。が、しかし、毒の作用がありますので口に入れては駄目ですよ。黒い実は紅い色によく染まり、糸や布の染めに使えます。持ち運ぶときは実を潰さないように注意して下さい。思いっきりシミになります。乾かないうちに洗い流しましょう。


なんでも花器になる!

向かって右から プラスチックのゼリーカップ。中に花留め用に野菜の袋を閉じるクリップを入れてあります。数があると良い花留めになります。次は使わない徳利にフタを無くしたジャムのガラス瓶。チーズが入っていた蓋付きのケース。割れたオーバンマリーのスープカップ。

捨ててもかまわない物ばかりを花器にして野の草を活けて見ました。花好きの方なら雑草も嫌いではないはず。散歩で摘み草をして都会の四季を楽しんで欲しいと思います。派手さはあまりありませんが四季の草は心を和ませてくれますよ。