籾山由美の東京-島根 小さな暮らしクリスマスに使える、古着のファブリック・フラワー。

(2010.12.14)

雪の降る本格的な冬の季節になりました。雪の積もる地域では、きれいに咲くお花はほとんどなくなってしまいます。あるのは雪を背負いながらも残る山茶花(サザンカ)、椿、寒菊(カンギク)くらいです。それはそれで風情があってとても素敵な景色なのですが、やはりこれだけで長い冬を越すのは少し寂しいですね。「お花屋さんに買いに行けば?」と考える方も多いでしょう。

でも田舎のお花屋さんではクリスマスに飾るポインセチアの鉢が並ぶくらいで、中輪の菊かシクラメンが精一杯。花に罪はないけれど、楽しくはありません。そこで思いついたのが、着古した服を崩して布で花を作ること。洋服の整理を兼ねて思い切って鋏を入れることにしました。タンスに入れたまま眠っている服にも鋏を入れて大掃除!という意気込みです。

もともと気に入って捨てられずにいた洋服ですから、完成したら楽しいだろうし、寒くて外に出られないときの手仕事にちょうどいいなと思っていました。ところがそれだけではなく、もっと素敵なことを発見したのです。古いデザインのボタンや布に触っていると、子供の頃カーディガンにプリーツスカート姿で幼なじみと喧嘩しながら遊んでいた事や、ズックを飛ばしてお天気を占ったりした楽しい思い出が次々と浮かびます。思わずひとり笑い。捨てられなかった物には思い出が詰まっているようです。

生花とは、ひと味違う楽しみ方が見つかりました。この花は、クリスマス用にも使えますから、さっそく作ってみましょう。今回はサイズの合わなくなったジーンズ、コーデュロイのジャケット、チェック柄の古くさいベスト、ウールのミニスカートに鋏を入れてみました。切りっぱなしが特徴の布の花ですが、細かい花びらに切ると布がほぐれて形がなくなることがあります。気になる方は花が完成した後、液状のヤマト糊か、襖用の糊を水で数倍に薄めたものを霧吹きで花全体にかけて下さい。これで形がキープできます。
 

庭のコニファー。日本では外来園芸種の針葉樹を指します。
デニムの花。ペップに宝石風のビーズを使ってみました。

手作りの花を飾る時には、冬をイメージさせる常緑の枝ものを組み合わせて下さい。例えば、コニファーなどのヒバや、モミ、杉。冬でも深くて暖かい緑で葉を広げる椿、山茶花(サザンカ)、柊(ヒイラギ)もいいですね。季節感の無い生地で作った場合、この樹があれば冬の時期をうまく表現できます。植物の良い香りもしますから、ぜひ加えてください。

 

ポピーみたいな仕上がり、ジーンズの花の作り方

ジーンズのどこでもかまかません、横16〜18㎝、縱4㎝程度の布幅が取れるところを花の数だけ切ります。その布の長い一辺を少し細かくなみ縫いします。縫い終わったらぎりぎりまで糸を絞ってギャザーを寄せ玉留めをしておきます。次に、ペップ(花心)になる大振りのビーズに手芸用ワイヤー24番手を穴に通しておきます。そのペップを中心にギャザーを寄せた部分を巻いて花のガクに当たるところだけに木工用ボンドを付けて接着します。ガクになる部分と茎になる所に接着剤付きのバイヤステープなどで巻いて出来上がり。バイヤステープの替わりに文房具の接着剤付きテープでも代用できます。

 

マーガレットみたいな仕上がり、コーデュロイの花の作り方

デニムに比べて縱幅を広く取り、花びらを作ります。横の長さは同じくらいの長さ。作り方はデニムより簡単です。縫わずに芯になるペップと茎にクルクル巻いて木工用ボンドでとめるだけ。実はどの花も定規を使わず、目分量で布も切っています。几帳面な方には許せないでしょうが、大雑把な人にはお気楽な作り方です。ペップは、友達のお母さんが若い頃着ていた洋服のボタン。それを頂いていたのを思い出し、使って見ました。

コーデュロイの山線に合わせて鋏を入れました。

 

小菊みたいな仕上がり、チェック柄の花の作り方

この花はコーデュロイと同じ作り方です。違うのはペップがないことだけ。茎になるワイヤーに布を木工用ボンドをつけて巻き付けています。写真下側に見える赤い花は、荷作り用の紙テープです。布の花が完成し、全体の花をまとめた時に赤色が少なく物足りなくて作りたしました。花びらの内側は接着剤ですから丸みを持たせるために向かいあった接着剤側をくっ付けないように注意してくださいね。

チョッキと呼んでいた時代、季節の変わり目に着ていました。青色がベースのチェック柄です。

 

ポンポン菊みたいな仕上がり、平織りスカートの花の作り方

裾上げしてあるヘムの部分を輪切りになるように鋏で切り、ワイヤーに巻き付けて木工用ボンドで接着しています。チエック柄の花と全く同じ作りですが、布の風合いが違うと全然違う花に見えます。花を作るときは、作り方を工夫するより素材選びと組み合わせに時間をかけて下さい。出来上がった時、好きだった洋服の良さが一段とひかります。ほんとうに嬉しいですね。

平織りウールの布地をカットして縫製したイタリア製の既製品のミニスカート。年齢制限有りのミニスカート。はけば良かった……。

 

ベルや天使などのオーナメントでクリスマス気分を

クリスマスの飾りにグッズをプラスして。

布の花のアレンジをする時、器に赤いリボンをしたり、ベルや天使などのオーナメントをそばに置くとクリスマスの飾りになります。お客様をお迎えする玄関やセンターテーブルに置くのが良いでしょう。楽しい飾り付けになると思います。手作りの花が話題の中心になるかもしれませんね。