籾山由美の東京-島根 小さな暮らしクリエーターの創造空間
アトリエ拝見。

(2013.07.10)

クリエーターのアトリエへGO!
道具も紹介します。

なんだか友達のアトリエを紹介してみたくなり今回の取材となりました。私はクリエーターのアトリエ見学が大好きです。この場所からいろいろな作品群が産まれているのだと思うとそれだけでワクワクします。作品を知っていたり本人を知っていいればなおさら。

アトリエでは常にきょろきょろと挙動不審この上無しです。触ってはいけないといつも言い聞かせているので必ず後ろに手を組んでしゃがんだり伸びたりしながら見学。その中でもそれぞれのクリエーターが好んで使う道具には興味がつきません。なんだかわからないけれど道具らしいと判断するともう止められない。なんて名前? どうやって使うの?  どんな感覚? まるで小学生低学年生並みの質問攻め。迷惑千万の客ですね。

私自身、ひとりで創作しますからたまにフラリと友達のアトリエに行ってしまいます。たいそう迷惑な客ですよね。ごめんね、友達(笑)。

アトリエはグチャグチャに見えてもその人なりに片付けている人、整理整頓がものすごくちゃんとしていてここで作業を本当にしているのかと思うほど綺麗にしている人、いろいろです。

私はグチャグチャ派かな。今回無理矢理、半ば強引に写真を撮ってきました。ここから創作がはじまりどんな作品が出来上がるのかと創造しながら楽しんで頂けると嬉しいですね。不肖籾山もお稽古場をアップしました。こんな感じで東京ではお花のお稽古をつけているんですよ。

力強い作風そのまま
水墨画家 上田みゆきさんのアトリエ

墨絵画家、上田みゆきさんのアトリエです。いつも明るくて力強い作風で知られています。

机の上だけでなく多種多様の和紙が椅子の後ろに山。描き損じの和紙まで勢いがあります。私の知るみゆきさんそのもの。和風な設えも墨絵画家らしい。実は作品を作るための大きな道具が部屋の中にあります。向かって左のふすまのように見えるのがそう。これは和紙に柿渋を塗りそれをふすまのような枠にその和紙を重ねて張ったもの。和紙の皺を伸ばすために濡らして貼り綺麗に乾かすための道具。重要な道具で名前は仮張り(かりばり)。部屋と調和していていい感じです。


繊細な小筆で描く墨絵も力強くおおらか。見ていると喉に詰まっていた物がすっと落ちる気持ち良さ。

ところでみゆきさん、7月末に東京から福井県武生にアトリエを移動。自然と一体化しながら武生発信で金沢ー京都ー東京と創作活動の場を一気に広げます。これまたみゆきさんらしい。新しい創作の場にも伺いたいものです。詳しくは下記のwebで。

墨絵画家 上田みゆきホームページ


向かって左から陶器の硯、石の硯、筆、竹べら 文鎮。竹べらは和紙を切るのに欠かせない道具だそうです。
片付かない魅力
陶芸家 小川土偶さんのアトリエ 天点窯

写真の一番奥にある窯に火が入っているときに丁度おじゃましました。ここは陶芸家の小川土偶さんのアトリエ『天点窯』。『ギャラリー 五峯(ごほう)』での新作製作のために火が入っています。作品展は7月26日(金)〜8月5日(月)まで。厚手の白磁を中心に作品を作っているそうです。

花道家の私は花器の新作が見たくて仕方がない。一部を無理矢理見せてもらいました。花となると強引です、私。花器は花をすごく選びます。花の選びを間違えると本気で野暮ったい。

土偶さんの作品は白磁のシンプルな風合いでどんな花も受け入れてくれる懐の深い器という印象。活けてみたくてたまらないですね。作品展示のスペースもあり、そちらで作品も見られます。片付けがへたくそで、と坊主頭をごりごり。いえいえ、それがいいのですよ、土偶さんらしくて。

『天点窯』問合わせ TEL: 042-723-7658
『ギャラリー 五峯(ごほう)』 東京都杉並区下井草2-4-16‎ TEL: 03-3395-9956


ぽってりとした新作が楽しみ。ギャラリーは7月31日と8月1日がお休み。


木製の仕上げの道具。焼く前にキノコ型の丸い方を器の中に入れてそれを支えに他の木製道具で打ち出します。

とてつもなく広い
『AIR@FLYER』を主宰する高橋聡さんのアトリエ

私にはとてつもなく広いと感じるアトリエです。天井もかなり高い。本当に羨ましい。ここはAIR@FLYERを主宰する高橋聡さんが所有。数多のバイクに車。鉄板や材木の山。さらに私には理解不能なプロ使用の道具がそこら中にあります。道具以外は全て物作りの素材だそうです。

え、バイクも車も? との質問に「そ、素材のひとつだよ。バラバラにして使ってる。」なるほど。バラバラにして新たに組み立て息を吹き替えさせると言う事ですね。まるで映画のフランケンシュタインのようです。


写真に写っていない側に車が撮影できるスタジオもあります。ここに花を持ち込んでの撮影を勝手に企画。

写真中央は3輪の乗り物になる予定の「AIR@FLYER/フランケンモビル(トライク)」、バイクはホンダの「スーパーカブ」をベースにしたカスタム車になるそうです。どんな感じで風を切って走るのでしょうか。出来上がりが楽しみですね。

AIR@FLYER (エア・フライヤー) ホームページ


左から金属削りのエンドミドル、油差し、ノギス、金定規。丸い盤は穴開け用のボール盤、消しゴム付き鉛筆。
何にでも変身する気持ちのよい空間
津田充さんら3人の共同アトリエ

津田充さんを含む男性3人で共有するアトリエを兼ねた空間です。それぞれが気ままに使うスペースだそうです。レコード盤に針を落として音楽を聴いたり、気分でお酒を酌み交わしたり、Tシャツのデザインを考えたり。時にはギャラリーにもなります。何にでも変身する気持ちのよい空間です。


ここで仕事のイラストなどを描いているそうです。頭をほぐす場所としてはとても羨ましいスペースです。

江の電 稲村ケ崎駅より徒歩30秒の立地。玄関を出て道の右向こうに稲村の海が見えます。もちろん潮の香りも楽しめます。想像するだけで制作意欲が湧きます。玄関横に昭和時代によく見た円筒型の郵便ポストがあるのが目印。この空間は思いのほか予定が詰まっています。アクセスすれば何かしらイベントをやっているはず。行けば楽しい時間を過ごせると思いますよ。あなたもちょっと参加してみてはどうでしょう。お勧めします。

DAKOTA (ダコタ)ホームページ


津田さん推薦米国製油性ペン、シャービー。使い始めを忘れる昔から愛用。Tシャツデザインもこのペンで。油性ペン
ありません尽くめ
籾山のお稽古場『花組庭園』

『花組庭園』 籾山のお稽古場です。所々に花器をおいて生徒さんが活けます。まず同じ器はありません。同じ種類の花が来ても他の生徒さんとは枝振りが全く違うので同じ形にの活け込みにはなりません。もちろん参考にする作品も活けてありません。ありません尽くめですが16年間ずっとこのスタイルでお稽古をつけて来ました。


直接床に花器を置いていけることもあります。剣山を入れていますがこの活け方も投げ入れと言っています。

最初はどの生徒さんも自由に自分の思いのままに活けることに戸惑うようです。それでも少しづつ腕が上がっていき才能の開く瞬間を見るのが楽しみでなりません。人の可能性というものに触れた気がしてとても幸せな気分になれます。細い葉のドラセナ、紫は夕霧草、ピンクは欄、丸い葉のギボウシ、中央に立つ黄色のウイキョウ。

『花組庭園』ホームページ


向かって左から亀の形の剣山です。針山の剣山はほぼ使いません。花鋏は鎌倉 由比ケ浜通りで購入。