2010年新春特別企画! ヴィッセル神戸、宮本恒靖選手スペシャルインタビュー。

(2010.01.07)

 

日本でのプレー、新たな選手との出会い、
そして、2010年に向けて!

2009年末、自らプロデュースした「MIYAMOTO FUTSAL PARK 日比谷シティ」で行われた特別イベントのフットサル教室「adidas Women フットサルクリニック」。クリニック当日、「サッカー♥愛」あふれる宮本選手に、Jリーグ、ワールドカップ、フットサルetc.、話をうかがいました。

 

●久しぶりにJリーグでプレーした1年でしたが、2009年を振り返っていかがでしたか?

3年ぶりに日本に戻ってのプレー、チームとしてもっと上の順位に行きたかったのですが、結果として14位という成績で終わってしまいました。それは不本意であり悔しい気持ちがありました。残留争いをするというのは初めてだったので、ちょっとキツかったですね。たくさん考え過ぎたような所もありますし……。

 

●宮本さんは、1選手としての部分とキャプテンとしての立場という両方あるので、考えなければならないテーマが多くあるということですね?

初めてのチームでキャプテンという仕事をまかされて、やりがいはあるなと思いながらやってました。ただし自分のプレーを知ってもらうこと、味方の選手の特徴を知ることは時間もかかりますし、その難しさも感じながら過ごしたシーズンでした。

 

●2009年、良かった部分としては?

個人的には、自分自身、ケガなくやれたのはすごく良かったです。また、久しぶりに帰ってきて、新しい選手を知ることができたのと、Jリーグの運営の素晴らしさを改めて感じました。

 

●若い世代の新たな選手を知って、感じるところは?

上手い選手が増えていることは確かです。ただし、みんな平均的に上手くなっているという感じでしょうか。この選手はコレ! というはっきりした特徴は少ないかもしれない。それは経験を積んでいけばできるのかもしれないですし、この先はわかりませんけど。僕も海外に出て行って経験したことで、いろいろ身につけた部分もありますし。21、22歳とか早いうちに海外に出て行けるといいのかな、と思う部分はありますね。

 

●もっと個性的な性格の選手、独特なプレーをする選手が出てきてほしい。そうすれば、さらに面白くなるはずという気持ちは、サッカーファンが常に持っている感情かと思いますが……。

おそらく今の若い世代は、指導者から、勤勉さとか協調性を生かしたサッカーをしようという指示を受けてきたと思います。それが悪いわけではないんですが、選手が、もっと自分らしさを出せるとか、出したいという状況が増えるといいとは思いますね。うーん、このことについては話を始めると、ちょっと深いものになっていってしまうけど……。

 

●その一方で、ある選手が一人だけ個性が突出するとチームの中で不協和音が出たり、難しいことも出てくるかと思いますが。代表やクラブチームで、長くキャプテンを経験してきた宮本さんだから伺うのですが。

難しいけど、そういうこともあっていいと思います。例えば最近の選手ですと、本田圭佑とか。個人的にはそれほど知らないのですが、彼のコメントとかプレースタイルとか面白いと思いますし、そういう個性がぶつかった後、チームのコミュニケーションができていけばさらに良い状況になるのでは。サッカーって、集団で戦う部分もあるんですが、得点シーンとか、試合を決めるある局面などでは、個人のアイデアとか、個人的は力が絶対に必要なわけですから。

 

●そんな宮本さんが、まさに個人の力を見せてくれたのが、7月の川崎フロンターレ戦。本当に美しい見事なオーバーヘッドキックでの得点を決めました。(※見逃している読者の方は、ユーチューブなどでその映像をチェックしてください。必見です!)Jリーグの年間ベストゴールランキングでも間違いなく上位に入る素晴らしい得点。実は、普段からあんな派手なシュートを練習していたり?

ハハハ。チーム練習でサッカーバレーをする時があるんですが、僕は、そういう時でもオーバーヘッドなどはやらないです。あのゴールは、まったく自然にあのような動きになって。ボールが来て、胸でトラップして、ほんとに良い位置にボールが浮いて、後はミートするだけという感じでした。でも、正直なところ、オーバーヘッドって、着地する時痛くないんかな、と思っているタイプですから。(笑)試合で、あるいう事をする自分に驚きました。

 

●では2010年の目標は?

神戸が上位争いができるように、まずは、しっかりと自分のプレーで貢献できるようにすることです。

 

●さて、いよいよ今年は、ワールドカップイヤー。ジェーン読者の女性の方に、何か楽しみ方のアドバイスなどあれば、教えてください。

やはりカッコイイ選手を見つけて応援することでしょう。まずは、そこから。(笑)たとえばフェルナンド・トーレス(スペイン)とか、おそらく、さらに人気が出ると思いますし。

 

●宮本さんは、同じ選手という立場ではありますが、1サッカー人として、個人的に気になったり、注目する選手はいますか?

アフリカでの大会になるので、アフリカの選手に注目してます。ドログバ(コートジボワール)は、おそらく代表での最後の大会になると思いますので、どんなプレーをするのか気になりますね。そして、さらには、どんな精神状態でいて、どういう表情でプレーするのか、またどんなコメントをするのかも非常に興味がありますね。

 

●そんな素晴らしいプレーヤー宮本さんから直接指導を受けられるアディダス主催のフットサルクリニック。今回は、2009年春の神戸に続いて2回目ですが、どんなことを意識して教えているのですか?

経験者もいれば初心者の人もいるので、まとめて言うのは難しいのですが……。まずは基本的なところ、「しっかりボールと止めて、思った所にボールを蹴れる」というところができれば、フットサルを充分楽しめるということ知ってもらおうと考えています。それによって、サッカーをより深く愛してもらうきっかけになれば、と。時間にして1時間半位なのですが、その中でも、だんだんのめり込んでいく様子がわかるので、それが見えてくると嬉しいですね。

 

●皆さん、かなり本気になって楽しそうですね。

女性でも、しっかりやっている人はほんとに上手ですからね。
僕が行っていたオーストリアはじめ、ドイツ、オランダなどヨーロッパでは、女子のサッカーが盛んで、社会の中に身近に存在していたんです。日本でも、女子のリーグがさらにクローズアップされて盛り上がるといいなと思います。まずは、より手軽に始められるフットサルを通じてサッカーの楽しさがもっと伝わっていくといいなと思います。

 

●女性のスポーツウェア選びについて、宮本さんのアドバイスなどあれば、教えてください。

最近は、オシャレなウェアで走っている人をよく見かけますね。やはり、一人一人がオシャレを楽しむのが良いことだと思います。人から見られるというのも大事なことですし。僕、個人としては、例えば、黒1色とかのモノトーンより、どこかに自分らしいと思う色を入れているのが好きです。例えば、トップスとか、キャップとか、リストバンドに、その人のオリジナリティが表現されているといいな、と。

アディダス ウィメンズ
 

 

宮本恒靖
1977年生まれ。ヴィッセル神戸所属。高校時代にガンバ大阪ユースに所属。1995年ガンバ大阪入団。2000年キリンチャレンジカップ、ボリビア戦で日本代表初出場。2001年末からは、トルシエJAPANにおいて代表キャプテンを務めチームを牽引する。2002年日韓ワールドカップでは、鼻骨骨折を保護する黒いフェイスガードを付けプレーし、海外メディアからバットマンと渾名される。2006年ドイツW杯では、第1戦、第2線はフル出場したが、第3戦は累積警告により出場できなかった。2006年終了後、オーストリア・ブンデスリーガのレッドブル・ザルツブルグに移籍しリーグ優勝を果たす。2009年1月ヴィッセル神戸に移籍しJリーグに復帰。

MIAYMOTO FUTSAL PARK日比谷シティ

 

筆者プロフィール

石渡 健文(いしわたり・たけふみ)

1957年東京生まれ。1982年(株)平凡出版(現マガジンハウス)入社。『平凡パンチ』『オリーブ』などを経て『ブルータス』編集部へ。2001年~2008年3月『ブルータス』編集長。現在、『ジェーン』編集長およびマガジンハウス第3編集局長。『ブルータス』『カーサブルータス』『クウネル』発行人、雑誌準備室室長などを兼務。趣味はスポーツ観戦&選手の評価付け。特にサッカーが好き。