表参道eco日記 - 6 - バッグが生まれ変わる日。

(2010.03.25)
表参道にある『みつばちトート8studio』

表参道にバッグを生まれ変わらせるお店があると聞いて、静かな住宅街に佇むかわいいショップ『みつばちトート8studio』に向かいました。あけたドアは……なんと、京都まで続いていました。

表参道のお店で古くなったトートバッグを預けると、京都できれいに染められて帰ってくるという不思議な仕組み。でも、なぜ京都?その疑問を解決するべく、謎のカギをにぎる(!?)『モリカゲシャツキョウト』の方にお話を伺いました。モリカゲシャツは、その名の通り、シャツのお店。ただ作って売るのではなく、その後のことにも責任を持ちたいということで、使い続ける事をコンセプトにしたエコデザインプロジェクト「ebebe(エベベ)」に取り組んでいます。ebebeの由来は、良いべべ(服)。自分にとっての良いべべを長く使い続けてもらいたいという思いを込めて2006年12月にスタートしたそうです。

ebebeのいくつもあるプロジェクトの中で、「表参道」×「京都」のコラボが実現するキッカケになったのが、古くなったシャツやバッグを生まれ変わらせる「染めかえプロジェクト」。バッグを大切に使ってほしいと願うみつばちトートが、モリカゲシャツの取り組みを知って相談したのがはじまりでした。

染めかえは、素材によって染められなかったり仕上がりが変わったりするため、対応するスタッフに専門知識が求められるという難しさがあります。みつばちトートでは、素材や製法を熟知している自社製品に限って受け付けることで、その場で仕上がりについて詳しい説明をできるようにしました。

 

染めかえられて、生まれ変わったバッグたち(左:染めかえ前/右:染め替え後)
Photo / ebebe by MORIKAGE SHIRT KYOTO

こだわりの染めは、自然の藍を使って行われます。「藍染め→水洗い→乾燥」が一工程。表参道で受け付けるのは、これを6回くりかえす「6回染め」です。預けてから2~3ヶ月で、深みのある藍色になったトートバッグが帰ってきます。かわいいバッグに旅をさせて良かった! 生まれ変わった姿を見ると、そんな風に思えるはずです。

ふと、自分のトートバッグデビューを思い出しました。名前の刺繍入りでプレゼントされた日、少しオトナになった気がして、とても嬉しかったのを覚えています。あれから20年(あっという間!)、今でもガーデニングバッグとして活躍中です。良いものって長持ちするし、自然と大切に使いたくなるんですよね。

染めかえを利用する世代は幅広いそうです。物を大切に使うことが日常の世代にとっては「ほしかったサービス」、使い捨てアイテムに囲まれて育った世代にとっては「新しくて面白いもの」。受け止め方は違っても、多くの人がebebeの考え方にひかれて利用しているそうです。環境への配慮を押し付けるのではなく、ずっと使いたいと思ってもらえる良いモノを世に送り出し、染めかえて長く使ってもらいたい……そんな、作り手のまっすぐな思いが、たくさんの人に届いているのだと思います。

売りっぱなしにはしない。シンプルだけど、そこには持続可能なものづくりの姿勢があります。それを当たり前と受け止めるか、新しくて面白いと感じるか、それは人それぞれですが、「買う」のと同じように「染めかえ」が選択肢にあるだけで、ものの選び方や使い方は、とても豊かになるのではないでしょうか。

「それ、どこのバッグ?」と聞かれて、「染めかえて、長い間使ってるの」……なんて答えたら、ちょっとカッコイイですよね。「表参道発 京都行き」のドア、皆さんもぜひ一度開けてみてください。
 

 
 

みつばちトート8studio

Tel. 03-3402-9400
渋谷区神宮前3-7-11若木ビル1F
http://www.mitsubachi-tote.com/8/
12:00~19:00
月・火・水休
東京メトロ「表参道」駅A2出口から徒歩10分
*みつばちトートの「染めかえ」は、1個 3,650円。店頭でリーフレットをご自由にお持ち帰りいただけます。詳しくは直接お問い合わせください。

 

ebebe by MORIKAGE SHIRT KYOTO

Tel. 075-256-4096
京都市上京区河原町通り丸太町上る桝屋町362-1 
http://www.ebebe.jp/ http://www.mrkgs.com/
11:00~19:00
木休