籾山由美の東京-島根 小さな暮らしホッコのほっこり料理で 過ぎ行く夏に 来る秋を待つ。

(2014.08.28)

『花組庭園・籾山由美の小さな暮らし 東京・島根から』 今回はホッコのお料理教室。

ひと手間を惜しまず料理する。

いささか暑い夏でした。その夏も去って行きます。暑い盛りはキッチンのガスレンジに立ち、火を使うのも億劫。火をあまり使わない料理ですませていました。手軽な物ばかり。体力も落ちるはずです。これではいけないと食べる意欲と作る楽しみを復活させるためテレビやYouTubeなどで料理番組を見ていました。が、今度は実際に料理を作っているところが見たくなってしまった。そこで友人で料理家のホッコのお料理教室をイレギュラーで見学&参加をさせてもらうことになりました。

料理の撮影は承知してもらったものの本人曰く、月に1回開いているけれど自分のペースでやっている教室だからメールや電話での問い合わせはNG。ホームページやブログもなし。残念。ここだけの特別公開です。基礎的な料理だからこそ彼女のひと手間と工夫が料理をおいしくしています。そこが伝えられたらと思いアップしました。面倒がってばかりはいけませんね。

今回の献立は赤いパプリカのディップ、エビのアヒージョ、チリビーンズ、ラタトゥイユ、グリーントマトの揚げ物。それをバケットで頂きました。覚えておくと献立に困った時に助かるレシピです。どれか一品増やせば食卓が賑やか。試してみてください。

 
赤いパプリカのディップ。

材料
赤いパプリカ 1個、ニンニク ひと片、クリームチーズ 大さじ山盛り、マヨネーズ チューッと絞る事2回、塩少々

作り方
パプリカをガスレンジやオーブンで表面の皮が残すところなく真っ黒になるまで皮の部分を焼きます。焼けたら熱いうちに黒くなった皮を剥きます。剥いたらざく切りにしてミキサーにいれます。ここでニンニク、クリームチーズ、マヨネーズ、塩を投入。ミキサーのフタをして滑らかになるまでガガガと混ぜます。出来上がり。

私にはクリームチーズとマヨネーズの組み合わせがとても新鮮。パプリカの甘さとチーズのとろりとした食感、マヨネーズの酸味が加わり楽しい口当たり。食卓の名脇役です。冷蔵庫で3~4日は持ちますから多めに作っておくと重宝します。今回はゆでたブロッコリーにからめて食べましたが、野菜はなんにでも合います。焼きなすにも合うと思いますよ。不足気味の野菜をこのディップでカバーしましょう。

ひと手間
パプリカはなかなか黒こげになりません。中火で15分はかかりますからその日の料理を始める一番に焼き始めましょう。料理の手順が食材のおいしさを引き立てます。

何もなくてもディップをつけただけでバゲットがぱくぱく進みます。
何もなくてもディップをつけただけでバゲットがぱくぱく進みます。
 
秋の味覚キノコも材料にぴったり。

材料
エビ、たっぷりのオイル、ニンニク ひと片、塩少々

作り方
エビを塩で軽く揉みます。水洗いをして臭みや汚れを落とします。次に背わたを取り除きます。下ごしらえしたエビを鍋に入れてエビが隠れるくらいオイルをたっぷり入れます。ここではオリーブオイルを使っています。塩、ニンニクもここで鍋にいれます。後はコンロにかけてコトコト煮込んで出来上がり。

本当に手間いらずな一品です。空いてるコンロで作りましょう。プリプリとしたエビの感触が口に嬉しい。熱々もよし、冷やして食べてもおいしいですよ。早めに作っておくのもいいですね。

ひと手間
エビは小さくても大きくてもサイズにかかわらず背わたは必ず取りましょう。エビの淡白な味を邪魔します。しっかり水分も取ってくださいね。オイル煮ですからひどく跳ねます。キノコのアヒージョも試してみてください。

スペイン地方でよく出てくる料理のひとつです。オイルをたっぷり使うのが特徴。
スペイン地方でよく出てくる料理のひとつです。オイルをたっぷり使うのが特徴。
 
 
コトコト煮物の季節です。

材料
金時豆 両手ですくい上げるぐらいの量、できるだけ薄切りの牛肉、トマトのホール缶 1缶、タマネギ1個、ニンニク2片、オレンジ半分、カエンペッパー(なければタカノツメを代用)、コリアンダ 根付きなら二株くらい 塩、胡椒少々

作り方

まず、金時豆を前夜からひたひたの水に浸けて戻しておきます。最初にニンンクと切ったタマネギをオイルを引いて炒め、そこに薄切りの肉を加えて火が通るまで炒めます。次に豆を入れその汁も捨てずに加えます。コリアンダも入れます。根付きならそれも切って使いましょう。香りが引き立ちます。煮立って来たらアクを取り除いてホールトマトを加えます。胡椒、塩もここで加えますが、ホールトマトに塩味がついたものがありますので塩加減を確かめてくださいね。カエンペッパーも入れます。そうして豆が柔らかくなるまでコトコトと煮込みます。約2時間かかります。鍋も長時間ですからできるだけ厚手を使ってください。薄手は焦げ付きやすいので避けてください。豆が柔らかくなって火を止める直前にオレンジを絞り加えます。これで出来上がり。

最後にオレンジの果汁を入れるのも初めて知りました。さっぱりとした柑橘の香りがまろやかです。2時間も鍋についていられないとおっしゃる方は水煮の豆缶をお薦めします。半分くらいの時間で仕上げられます。塩味のついている物もありますから味を確認して味加減を整えてくださいね。

ひと手間
料理をすれば必ずフライパンなどの調理器具がシンクに溜まります。先を考えて調理器具を洗って片付ける事も大事。友人のホッコにはアシスタントがいません。料理を火にかけて待つ間、生徒さんに料理の楽しい話をしながらちゃっちゃと片付けて行きます。これが美しい。次の料理を考えて順番に洗う無駄のない動きです。このひと手間が料理のタイミングをはずしません。マネすべし。

焦らずゆっくり煮込むのが大切な料理、チリビーンズ。
焦らずゆっくり煮込むのが大切な料理、チリビーンズ。
主菜になる一品、ラタトゥイユ。

材料
トマト、茄子、タマネギ、パプリカ、ズッキーニ、ニンニク、塩、胡椒

作り方
最初に野菜を切っておきます。タマネギは角切りにします。それを目安にほかの野菜も同じ大きさに乱切りします。茄子は塩揉みをしてアクを出しておきます。まず、まとめて煮る深鍋を用意しておきます。この鍋には刻んだトマトを入れておきます。野菜に火を通すフライパンも用意して火にかけます。ここに皮つきのニンニクをひとかけら入れ順番に野菜を炒めます。まずはタマネギから。フライパンには炒めるにしては多い量のオイルをいれます。オイルはタプタプな感じ。フライパンでタマネギに火を通し深鍋にタマネギを移します。オイルとニンニクはフライパンに残します。そのフライパンに一種類の野菜をいれては炒めて深鍋に入れます。順番はパプリカ、ズッキーニ、茄子です。オイルは減ってくるので少しづつ増やします。深鍋に全ての野菜が入ったら強火で炒めて塩、胡椒で味付けして熱々の出来上がり。鍋に入れたままだと茄子が変色しますからバットに移してくださいね。冷めたら保存しましょう。冷たくても美味しいですよ。

私は初めて気がつきました。野菜の大きさを同じに切るという基本中の基本。野菜の大きさを同じにする事が野菜の旨味を引き出すという方法ですね。当たり前ですがかなりぞんざいに切っていました。それじゃ、火の通りがそれぞれ違いますから食感も違えば味も変わるはずです。火を通さない料理だって同じ事ですよね。おもいきり基本的な事が身についていませんでした。美味しくない料理になるはずです。嗚呼。

ひと手間
作り方のところにも書きましたが、野菜は一緒に炒めるのは最後だけで最初は別々に炒める事が大事です。野菜によって火の通り方も違えば時間も違います。必ず守ってくださいね。これでひと味もふた味も美味しくなります。料理上手と言われるには面倒がらず二つの鍋で作ってください。洗うのも隙を見てさっと洗えばいいのですから。自戒をこめて。

野菜の旨味をたっぷり味わえる料理です。いろいろな野菜が一度に楽しめます。
野菜の旨味をたっぷり味わえる料理です。いろいろな野菜が一度に楽しめます。

グリーントマトの揚げ物。

材料
グリーントマト、衣のための卵、小麦粉、パン粉

作り方

グリーントマトを輪切りにスライスしておきます。小麦粉と卵を混ぜ、輪切りのトマトを絡ませます。このトマトにパン粉をまぶしつけてオイルで揚げます。これで出来上がり。

私は子供の頃からまだ熟さない青いトマトをかじるのが大好きでした。おやつですね。たまに酸っぱすぎて唇をぎゅうっとすぼめる事もありましたが嫌いにはなりませんでした。コリコリとした歯ごたえがたまらないく好きだったのです。揚げて食べるのは初めて。びっくりです。揚げる事で酸味がまろやかになります。その上コリコリとした感触も残ります。ばくばく食べてしまいました。ごめんなさい、生徒さん。

ひと手間
私は揚げ物の後のオイルの片付けが苦手でした。オイルが冷えたらペットボトルに入れて早めに使い切るそうです。地域によって分別が違うとは思いますが、オイルを入れる容器に使ったペットボトルは大抵捨てられるはずです。「缶ボトルを容器に使おうかな」と発言したところ「それは駄目!」と厳しい一言。ゴミの分別をしっかり確認した上で使い捨てできる容器を使ってくださいね。便利だけを優先してはいけません。

普通の赤いトマトがまだ熟していないときのトマトを揚げます。
普通の赤いトマトがまだ熟していないときのトマトを揚げます。