籾山由美の東京-島根 小さな暮らし倉敷市・児島探訪。
素材を見つけに大人の寄り道!

(2011.09.09)

繊維産業で有名な岡山県。前々から新しい作品を作るために繊維や生地を探しに一度は行ってみようと思っていました。島根に帰省する途中で下車すればいいだけ。それなのに荷物が多いとか、急いでいるとか、いつでも行けるとかいろいろ自分で理由をつけて見送っていました。

ところがヒョンな事から友人Mちゃんに背中を押され、岡山県倉敷市児島の探訪が決まりました。なぜ児島なのか、理由は日本のジーンズ発祥の地が児島だから。ジーンズを崩して作品を作る私には興味津々。その昔は真田紐、足袋作りで名前を馳せ、次に制服、作業着などのユニホーム、そしてデニムと繊維産業で栄える町です。行ってびっくり、一見は百聞にしかずです。おもしろかったですね~、私には大きな収穫でした。

とにかく感激したのが、行く先々で出会う工場で働く方たちの真摯な姿。大量生産といいながら細かい手作業と職人の感覚を要求される工場での仕事。う~む、参りました。ウォッシュ加工で生まれ変わるジーパンの様に私の心もウォッシュ加工され、すっかり作り変えられてしまいました。笑)

畳縁(岡山県は畳でも有名)や手染めの生地など新しい素材との出会いもあり、新作に向かってやる気満々です。倉敷市東京事務所の方をはじめ、私のために動いて下さった児島のみなさま、本当にありがとうございました。

途中下車の口火を切ってくれたMちゃん、ありがとう。実のりある大人の寄り道となりましたよ!鷲羽山の上からひょっこりひょうたん島のモデルとなった美しい瀬戸内海の島々を見下ろし、心の中で感謝を叫ぶ私でありました。
 

協力

倉敷観光ウェブサイト
倉敷ファッションセンター 
倉敷市児島産業振興センター

 

畳の縁を作る高田織物株式会社。
オリジナルデザインの特別注文も。

幅8㎝の畳の縁を作る高田織物株式会社で工場見学をしました。思った以上に細かな柄を超高速で織り上げます。豪華な織り地を感心しながら眺めました。時代劇を思い出す柄ばかりと思っていましたが今やパンダやウサギのかわいい絵柄、アーガイルの洋風柄など想像を超えるデザインがあります。

オリジナルデザインでの特別注文も可能です。ぜひともリンクのホームページを開いて見て欲しいですね。畳縁は手で折るだけできちんと折り線が残る特徴を持ち、私の作品の素材として新しいアイデアを産んでくれそうです。もちろん1ロールでお買い上げ。1畳当たり1000円から。

下の写真は綿糸や合成繊維で作る畳縁の工場見学で、最初に出会った工場で働く女性たちです。マスクをしていてもわかるハツラツとした印象がとても素敵でむりやり写真に入ってもらいました。彼女たちのおおらかな笑い声やマスクの下の笑顔に写真を撮る方がウキウキします。

工場は電話で予約を入れれば見学できますのでぜひ見学してみて下さい、彼女たちに会えますよ。ミニ畳作り体験もあり。こちらの費用は525円から。


高田織物株式会社

 

世界にひとつしかないジーンズを求む人、
ベティスミスに来るべし。

国内でひとつだけのジーンズ資料館『ベティスミスジーンズミュージアム』を持つベティスミス。資料館の中にはジーンズの原形だった作業着や、古いジーンズが壁に飾ってあります。アンティークの大きなミシンもミシンベルトを付けて直せば動くようです。この古いミシンでジーンズを縫い合わせているところが見てみたいですね。どんなにデニムが重なっていてもガンガン縫ってくれそうです。

世界にひとつしかないジーンズを求めている人、ここベティスミスに来るべし。採寸から始まるボディデザインから写真のフロントボタン、ステッチまで自分で選べます。ダメージなどの加工も可能ですよ。もちろんジーンズに仕上がった物も販売しています。ネット販売もあり。でも来て見て触ってオーダーして欲しいですね。ドキドキしながら待つこと4週間がいい感じ。おいでませ、児島。採寸からのオーダージーンズ 1着 29,400円から。

資料館だからこそのデータとして『ベティスミスジーンズミュージアム』では、館の脇でデニムの元、綿花も育てています。写真は綿の花です。この花が散ると左のピンポン球のようになり、これがはじけると白い綿が開きます。咲いてる綿花を見るのは初めて。花道家としてラッキーでした。


ベティスミス

 

豊和株式会社のジーンズ加工。
職人さんの手仕事と感性なしには仕上がらない。

こちらは、完成したジーンズの加工をする豊和株式会社での工場の様子です。ウォッシュ加工、ダメージ加工など様々な技術でジーンズを変化させます。写真はボディにジーンズを履かせてシワを寄せ、そのシワをこすって履き古したように仕上げます。ジーンズの個性を出すには1枚1枚の手作業。職人さんなくしては仕上がらない生産過程にびっくりです。いきなり「大量生産」と言うイメージがひっくり返ってしまいました。職人さんの手仕事と感性がなくては仕上がらないと言う事をここでガツンと知らされました。あらためてスゴイです、職人さん。

豊和株式会社ではジーンズの加工に捕らわれず、幅広く繊維加工の開発を手がけています。その一例が写真の時計です。時計は壁掛け用の市販のシンプルな物。生成りの生地に印刷した絵柄を切り抜き、時計をはめ込んだ試作品です。縦約1m。ファンタジーな絵柄にもかかわらず、まじかに見るとかなりの迫力です。壁いっぱいの生地に大きく印刷した試作品もありました。カーテンなどのインテリアとして十分使えますね。今後の商品化が楽しみです。


豊和株式会社

 

高城染工場で藍染見学。
藍は、ぬかみそと同じ?

藍染めを手がける角南さん曰く、「時々、お休みをさせないと染まりが悪くなるのですよ。」「ええ〜?」と答える私。藍は土中に埋めた瓶(かめ)の中で醱酵し染め色が出るのだそうです。藍は、ぬかみそと同じで藍瓶の中をかき回さなければならないし、天候や温度に左右されて藍の色が変わると教えて頂きました。どうも生きてますね。染め人にはその手強さが藍染めから離れられなくしてしまうのでしょう。そんな一直線な気持ちがとても眩しく感じられました。糸染めからデザインしたものや生地を染めて作り上げられた作品も高城染工場に清楚に並んでいます。写真は乾燥させた藍。

こちらの染工場では、ガーゼや綿シフォンなど手に柔らかな生地を手染めしています。水の流れに逆らわず右や左に揺れながらもしっかり根づいている水草のようにたおやかなデザインが揃います。その人なりの着こなしをすればいい、強くサイズを要求しない服作り。生地が服になった時、繊細さがとても美しく仕上がっています。こちらでは同じデザインは20枚しか作らないそうです。この数字、気に入ったらその場で購入しなさい、でなければ後で後悔しますよという予感。ちなみに写真のブラウスは10枚製作の9枚目でした。籾山、迷わずお買い上げ~。藍染めのブラウス 33,600円


高城染工場