山上昌弘のお茶しませんか? - 3 - 世界一周クルーズ 寄港地のドリンクと船旅の魅力。

(2009.12.03)

世界一周クルーズに乗船、お客様向けに「世界のお茶通認定講座(世界一周クルーズ版)」を開講してきました。第1回では開講してきたお茶講座の内容、第2回ではクルーズの船内生活についてご紹介してきました。そして第3回目は世界のドリンクとクルーズの旅の魅力についてお話ししましょう。

 

1、ポルト(ポルトガル)

チョコレートと相性のよいルビーポート、50年以上熟成を続けるヴィンテージポートなど甘口酒精強化ワインやタラ料理(バカリャウ)がこの地のおすすめ。

  
2、グリニッジ(英国)

クロテッドクリームでいただくクリームティーや伝統製法のリアルエールなどはぜひ味わっていただきたい。英国の食がおいしくないというのは今や昔の話。

 
3、コペンハーゲン(デンマーク)

バリスタ世界チャンピオンを何人も輩出している有名なカフェや、古い伝統を持つ紅茶専門店があります。パンの「デニッシュ」はデンマークを意味するが現地での名称は違う。

  
4、リューベック(ドイツ)

ドイツはビールやソーセージが有名だが、ブルゴーニュで栽培・醸造され、リューベックで熟成して完成させる珍しい赤ワインがあります。なんとなくスーパーで買ったオレンジジュース風味のコーラが意外とおいしくビックリ。

 
5、アムステルダム(オランダ)

ヨーロッパに初めてお茶を輸入したとされるオランダ東インド会社の建物は紅茶マニア垂涎? 日本でよく見るロンドンドライジンとは、一味違う風味を持つオランダジン「ジュネヴァ」はぜひお試しを。もともとジンはこちらがオリジナル。さらに、街のショップで見つけたなにやら怪しい「生ビール」。生と書いて「イキ」と読む。柚子風味のビールだったけど……。

オランダ東インド会社の建物。

 
6、ブルージュ(ベルギー)

それぞれの専用グラスでいただく多様なビール、たくさんのショコラティエ、タイプの違うワッフル、ムール貝などが有名。ティーショップにはカラフルな日本の鉄瓶急須がディスプレイされていて、なかなか洒落ている。流行っているらしい。
 

オランダの「生(イキ)ビール」。
ベルギー、ブルージュのティーショップにて。カラフルな鉄瓶急須ディスプレイ。

7、ルーアン(フランス)

ジャンヌダルクで有名な街。ノルマンディ地方は、りんご原料のお酒であるシードルやカルバドス、カマンベールチーズなどで知られる。
 
 
8、ニューヨーク(米国)

とりあえずスタバとマックに行っときました。

 

以上、簡単ですが、各国ドリンク事情でした。

 

最後に今回の旅行で感じた船旅の魅力を。

 

1、船からしか味わえない景色。

今回感動したのは、キール運河やロンドンのテムズ川、フランスのセーヌ川、ニューヨークのハドソン川を航行できたこと。600人乗りの豪華客船が川をさかのぼれることにまず驚いた。その景色や感覚は船旅でしか味わえません。テムズ川では、ティークリッパーとして有名なカティーサーク号のあるグリニッジに停泊。紅茶好きにはたまらないシチュエーション。川沿いのマンションの住人たちが航行中の船に向かって手を振ってくれたり、寄港地での歓送迎イベントなど初めて訪れた土地で歓迎される光景は感動もの。

キール運河のランチパーティーの様子。

 
2、ドラえもんの「どこでもドア」感覚が体験できる。

日本船籍の船は、船の中の会話や習慣はまさに日本国内感覚。
寄港地に着き、街の中心部でシャトルバスを降りた瞬間、いきなり外国という不思議な感覚を体験できる。最初のうちは、防犯意識の修正と現地通貨での買い物に苦労したが、この感覚はとても不思議で面白かったです。

グリニッジにて。カティサーク号から臨む客船。

 
3、計算されたおいしい食事。

長い海外旅行中、和食ラブにならず、現地での食を心ゆくまで楽しめるよう、朝食や夜食にはいつでも和食が用意されている。ディナーも飽きさせない絶妙のタイミングで和洋中を組み合わせてメニューが考えられています。乗客の健康も考えた低カロリー&減塩食なのに、おいしくて、舌の肥えたお客様をも満足させる食事を提供しているのはさすがというほかありません。

驚いたのは、たいして運動もせず、グルメな食事を毎日食べていたにも関わらず、帰国後に体重が減っていたこと。私のように普段、高カロリーのジャンク食を常としているものにとっては、かなり低カロリーらしく、不思議な現象を体感することができました。これには他にも理由があり、航行中の船が常に微妙に揺れているため、寝てる間も含めて24時間バランスをとるために、地上より基礎代謝が多くなるとか。さらに脂肪の吸収を抑え、燃焼を促進するお茶をたくさん飲んでいたことも影響しているかも知れません。おかげで、辛い思いもせず、しっかりおいしいものを食べて体重減という、ストレスなしの理想のダイエットができました。
「ダイエットクルーズ」ってそのうち登場するかも。

 
4、大きな荷物が苦にならない。

日本発着の船なら、宅配便を使うことでスーツケースなどの大きな荷物を持って移動する必要ナシ。観光地やホテルが変わるたびに衣装や荷物をまとめたり、持ち運ぶ必要もナシ。だから大きなお土産も重量を気にせず持って帰れます。年齢を重ねて体力が衰えるほど、これはかなり大きな船旅の魅力。

 
5、出会い。

航海中は、たっぷりの時間と、心地よい空間があるため、地上で会っても挨拶程度しかしないであろう、自分とは全く分野の違う先生やアーティスト、出会う機会のないようなお客様とじっくり会話できるという環境が素晴らしかったです。今回の旅でも、目に見えない多くのものをいただきました。

テムズ川にて、手を振る住民。

 
6、その他

大西洋横断中など、時差調整により毎日が1日25時間になるため、なんとなく得した気になる。(結局は日付変更線で丸1日損します)
航行中、普通に泳いでいるイルカや、船横を流されていく無防備な海亀などを見つけると思いのほかうれしい。

 

……と以上です。
普段なかなか体験できない仕事でしたが、なんとか無事終えることができ、ほっとするとともに、世界中とつながりがある「お茶」を仕事にしてきて本当よかったと心から思えた船旅でした。

3回に渡り世界一周クルーズについて書かせていただきました。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。

ドイツ・トラベミュンデ。海賊風楽団の演奏で出港。