山上昌弘のお茶しませんか? - 1 - 世界一周クルーズで世界のお茶通認定講座!

(2009.10.29)

はじめまして山上昌弘です。
ここでは、日本茶・紅茶・ハーブティーなど、世界中のいろいろなお茶について、体験談を中心にお話します。どうぞよろしくお願いいたします。

  

まず第1回目は、仕事で乗船した世界一周クルーズ体験談。
今春、世界一周クルーズに乗船しお客様向けに「世界のお茶通認定講座(世界一周クルーズ版)」を開講してきました。
なかなか乗船する機会のない世界一周クルーズでの旅がいったいどんなものなのか、
開講してきたお茶講座や船内生活の様子、船旅の魅力、寄港地のドリンクなどについてお話します。
今回は、お茶講座です。

ぱしふぃっくびいなす号。

日本発着の世界一周クルーズは、日本の数社が運行していますが、そのうちの1社に乗船。
世界一周クルーズの魅力は、ゆったり優雅に時間を過ごす醍醐味、世界各地の観光地を気楽に効率よく回れる便利さ、ショーやイベント、非日常の楽しみなどたくさんありますが、私が感じた魅力は、旅の途中でホテルを変えたりスーツケースを持って移動しなくてよい、重量を気にせずお土産を日本に持って帰れる、船内ではいつでも日本茶や和食がいただけるということでした。船旅の魅力について詳しくは後日またお話します。

海を眺める。

 

正規の乗船客は4月初めから約100日間かけて、日本から、アジア・中東を経て地中海、欧州や北米など世界を巡りますが、私のように仕事で乗船する多くの講師やエンターテイナーは一部区間のみ乗船します。私の場合は、飛行機でスペインのバルセロナまで行き乗船、そこから7カ国(ポルトガル、英国、デンマーク、ドイツ、オランダ、ベルギー、フランス)を巡り、大西洋を横断して米国・ニューヨークから帰国しました。
 

 
左コペンハーゲンの移動カフェ、ドイツ・トラベミュンデの海岸、アムステルダム中央駅。

 

船内では、ほぼ毎日のようにショータイムや講演会、ダンスレッスン、各種カルチャー講座、健康体操プログラムなどが準備されお客様が長い船旅を楽しめるよう工夫されています。それに伴いいろいろな先生やアーティストなどが入れ替わり立ち代り業務乗船するというわけです。仕事の内容によって数日間の人もいれば最初から最後まで乗りっぱなしの人もいます。私の場合は比較的長めで約1ヶ月間。
 

乗船されているお客様を対象に「世界のお茶講座」を開講しているわけですので、当然、港に停泊中、お客様が下船し観光している間は仕事はありません、私が仕事をするのは海上航行中のみ。
寄港地では観光したり、講座の準備をしたり、ぼーっとしたり……。
航行中も講座以外の時間は基本的に自由時間となるため、好きなように過ごすことができます。
 

 
いよいよお茶講座です。
今回は2回の講演会を含めて全14回、「世界のお茶講座」を開講。講義、実習に加え、60種類以上のお茶をテイスティング。さらに終了時には試験を実施、合格者には「世界のお茶通認定証(世界一周クルーズ版)」をお渡するというプログラムでした。乗船客は希望すればどなたでも無料で参加できます(一部有料講座もあります)。希望者が多い時は先着順又は抽選。
 
さまざまな国の茶器やそれに合わせた衣装などは事前に日本から船に積んでもらっていますし、アシスタントが2名ついて準備から片づけまでやってくれるため、全く不自由なく講座を運営できました。心配なのは積み忘れだけ。忘れたからといって途中で買ったり送ってもらったりができませんので事前準備が最も重要。
 
 
 

★「世界のお茶通認定講座(世界一周クルーズ版)」プログラム(参考)

 1 世界のお茶概論(講演)
 2 ウエルカムドリンク・ハーブティー
 3 英国紅茶・アフタヌーンティー
 4 ヨーロッパのお茶
 5 アジア・中東のお茶
 6 アフリカ・南米のお茶
 7 日本茶・中国茶概論(講演)
 8 中国茶実習
 9 茶歌舞伎体験
10 日本茶実習
11 高級茶の秘密
12 健康茶&乗船記念オリジナルティー
13 認定試験
14 修了パーティー、認定式

 

実際に世界中のいろいろな国の文化を体験しながらの「世界のお茶講座」。
お客様はもちろん、私自身も日本で開催するのとは違う貴重な体験となりました。
 
英国・グリニッジで購入した材料でおもてなししたクリームティー、民族衣装でサーブしたモロッカンティーや、貴重な最高級茶体験など。
 
途中、大西洋上で船が揺れ、船酔いに弱い私自身がピンチの時もありましたが、なんとか無事にのりきり、
受講されたお客様のほとんどが無事合格、多くの方からおいしいお茶をありがとうとの言葉をいただきました。
世界中のお茶を何十種類も試飲していただいたにも関わらず、特においしい日本茶に対する反響が極めて大きかったのはうれしい限り。日本茶業界がんばれ!
 
茶歌舞伎とはお茶を飲み比べて同じお茶を当てる遊びですが、今回はちょっと趣向を変えて、私が特にお薦めするほうじ茶ブランド4種類(静岡、東京、京都、石川)を使用しました。同時に人気投票を実施したところ最も人気があったのは静岡産のほうじ茶でした。(ブランドは内緒)懇親会を兼ねた最終日の修了パーティーでは、御菓子の抹茶茶碗で点てた抹茶などをお召し上がりいただき、講座は終了しました。

 
「世界のお茶通」認定式、そして御菓子の抹茶茶碗。

 
 
翌日はニューヨーク到着。講座終了後は余韻にひたっている間もなくさっそく下船の準備に取り掛かる。
優雅な船旅から一変、大きなスーツケースを持ってニューヨークで下船し一泊、そして帰国したが、それまでがあまりに快適だったため疲労度10倍。お客様は優雅でもやっぱり仕事はキビシー!!
 
 
ということで次回は、船内生活の様子についてお話します。

筆者プロフィール

山上 昌弘(やまがみ・まさひろ)

ティープロフェッショナル協会代表。

昔から特にお茶に興味があったわけではないが、静岡県で育ったこともあり煎茶は毎日飲んでいた。大学時代、酒がほとんど飲めなかったにも関わらず、就職先ではなぜか酒類研究開発部に配属される。
仕事で世界中の酒を飲みまくるうちに酒の魅力に開眼、どっぷりはまる。
酒の魅力に惹かれながらも、より多くの人に喜んでもらえる仕事をしたいとの思いから退職、今までにないお茶のプロを目指し現在に至る。

日本からお茶サービスのプロを生み出したいとの思いからティープロフェッショナル協会を設立、現在、お茶を中心に、飲食・美容・健康業界など各種学校ドリンク講師、メニュー開発アドバイザーとして活躍中。TVチャンピオン「お茶通選手権」出場、決勝で敗れるが、ベスト4メンバーらと「お茶通委員会」を結成し、お茶好きを増やすため、いろいろたくらんでいるらしい。日本茶インストラクションコンクール東日本大会優勝、ポートワインソムリエコンテスト準優勝。著書に『知識ゼロからの日本茶入門』(幻冬舎)、『世界・お茶の基本』(プラザ出版)監修、『ティー&コーヒー大図鑑』(講談社)日本茶監修。