籾山由美の東京-島根 小さな暮らし女ひとりの夜。
ちょっと日常を離れる

(2013.06.15)

久しぶりの東京。夜遊びがしたくなった。それもおひとり様で。ふらりとバーに行ってお酒を飲みたいのだ。

鎌倉に住んでいた時はバーが家の一部な感覚で大して飲みもしない癖にフラフラ夜中にひとりで遊びに行っていた。行けば誰かいる。名前を知らなくてもバーを通しておしゃべりに花が咲く。そのうち知り合いが参入する。更にとりとめのないおしゃべりで盛り上がる。そう、今遊びに行きたいのだ。

東京は夜の7時半。ちょうどいい、お店が開き始める。急いで着替えだ。久しぶりの夜遊び、ちょっとはお洒落もしたい。ああ、そうそう顔も直さなくちゃ。髪にブラシをあてながらあのブラウスはどこに掛けてたっけ、あのアクセサリーはどのケースにしまってたっけ? 家を長く空けると記憶が間違っている事が多い。つまり忘れてる、完全に……どんどんくだらない物探しで時間が経って行く。遊ぶ時間が減って行くのが口惜しい。

ふー、やっと出かけられる。ドアの鍵を閉めながらどこに行こうかと迷う。そんなに知っているバーがあるわけではない。しかし近所で飲む気はない。どこかに出かけたいのだ。少し時間のかかる場所にあるバーに行きたい。記憶をぐるぐる動かす。そうだ、散歩も兼ねてまずは神宮2丁目あたり。次は池尻。誰に会うのかを楽しみに靴先が向かう。

カクテルが美味い『bar・gong』

若いとき探偵小説を読んでいた。あまりにも普通だけれどレイモンド・チャンドラーのフィリップ・マーロウが一番好きだった。マーローはギムレットがお好き。で、バーに連れて行ってもらうとギムレットを頼んでいた。いろんなバーで飲ませてもらったが辛みに角が強く出て美味しくなかった。仕方ない、マーロウが好きなんだからと。ところがここ『bar・gong』(ゴング)オーナーでバーテンダーのシンコちゃんの作るギムレットは美味い! 全然別もの。驚いた。ついつい他もお試ししたくてマティーニも飲む。レモンピールをひと振りするシンコちゃんの所作が美しい。季節の果物のフローズンも美味いよ。甘口女子にお勧め。池尻にあります。
『bar・gong』


苺のフローズン。口当たりいいけれど急がず氷の溶け出さないピッチで飲んでね。季節のダイリキ、飲んで欲しいな。03-3487-6606、東京都世田谷区池尻2-21-12、定休日火曜、21:00頃〜。
神宮前2丁目の『Poppies』

ここは『Poppise(ポピーズ)』。ここで出すハートランドビールにはまってる。クリーミーで優しい味。ぐいぐい飲んでしまう。あっという間に3杯目……最近、月に何度か「 爺トップ」って日がある。どういう意味かって? 字の如しです。爺3人がカウンターの中に立つ。これが映画『サボテンブラザーズ』並のおかしさ。この映画が笑えないヤツは行かなくていい!

普段はオーナー、岡田サンのソフトな語り口がゆったりした気分にしてくれる。その上にリクエストするとレアな音楽映像が飛び出す。深酔いしたとき洒落でキッスと言っただけなのにスッピンでオリジナルフォークを唄う『KISS(キッス)』が観られたりする。あ、音楽はロック系が主流ではありません。大人の音楽系。楽しいよー。


無休、19:00頃〜。東京都渋谷区神宮2ー20-12尾形ビル1階。自力で探せ!