『ボッテガ・ヴェネタ』が来年のサローネで日本をフィーチャー!

(2009.10.28)

「始めるならば、日本しかないと思った」そう話すのは、来日中の『ボッテガ・ヴェネタ』(以下BV)のクリエイティブ・ディレクター、トーマス・マイヤー氏。10月26日、報道関係者を招いて開いた懇話会で、彼の口から告げられたのは、日本の人々に大きな驚きと喜びをもって迎えられるプロジェクトでした。

来年の4月に開催される家具見本市『ミラノ・サローネ』での同ブランドの展示発表の場で、大々的に日本をフィーチャーするというのです。プロジェクトは大きく二つに分かれており、ひとつは、日本国内各地の若手工芸作家の作品を、BVのホーム・コレクションとともに展示するというもの。木、ガラス、紙、陶器……など、古来の素材、技術を継承し、さらに新しいものを生み出そうと努力を続ける作家たちが紹介されるといいます。職人技に敬意を払ったクリエイションを続ける彼らしいプロジェクトといえるでしょう。

さらにもう一つは、学生に向けた家具コンペ。個人的な付き合いのある建築家・千葉学氏の協力のもと、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻千葉研究室の学生18名が参加しています。一口にいえば企業が学生に向けたコンペなのですが、BVのプランは、か、な、り、特別。2段階の審査を経て決定する優秀賞の3名の作品は、実際にプロトタイプをつくって上記のミラノ・サローネで発表。さらに販売も展開するというのです。受賞者はサローネに招かれて自らの口でそれぞれの作品について語る場を得るほか、来年早々には、試作品チェックのため、ヴィチェンツァにあるBVの自社工房にも招かれるというのだから……羨ましいかぎり。学生たちには、またとない機会になることでしょう。

「次世代の才能を発掘し、成長させていくことこそ、僕たち世代のデザイナーの使命だと考えています」とマイヤー氏。「いつも深い感銘を与えられてきた」と話す日本の職人技、そして若い才能が、今度は彼の手で世界に伝えられるのです。来年4月のサローネはBVに大注目! 続報を今後もお伝えいたします。
 

筆者プロフィール

阿久根佐和子

 
著述業。『Casa BRUTUS』『BRUTUS』等に寄稿。平日は2匹の猫に翻弄され、休日になると車に乗ってぶらり旅に出てしまう、先行き不安な三十路。