カメラボ – カメラ研究室 –恐ろしいほどの描写力&動画もOK。
これなら安い?ニコンD800。

(2012.10.09)

お久しぶりです。Ryu Itsukiです。『カメラボ – カメラ研究室 – 』再開1弾は3月下旬にニコンから発売されたD800。今回は、Ryu’s Officeの若手写真家 SHUNTARO、現在イギリスのUniversity for the Creative ArtsのMA Photographyに写真留学中、が担当しています。D800の良さが引き立つ、美しいイギリスの風景写真なども合わせてお楽しみいただければと思います。

アンティークな大判カメラのごとき芸術性。

D800、まず驚かされたのは、その恐ろしいほど高精細な描写力!

今までD700を使っていて、素晴らしいと思っていましたが、比べ物にならないくらいすごくて感動しました。 

よく考えれば、3600万画素というのは、現行の一眼レフの中でもトップクラスの画素数。その描写の細かさは、圧倒的です。まるで、昔の大判カメラのようなのです……。ぶっちゃけ、この描写力のすばらしさだけでも、このカメラを買う価値があると思いました。

どんなに細かくても、小さいサイズで見ていては意味がない、という意見もありますが、高精細に撮影されたものは持っている情報量が多い。人の眼はその違いを認識しますので、ひと味違った写真が撮れることは間違いないと思います。

ただし、拡大したときに、手ぶれやピント外しをかなりシビアに確認出来てしまうので、気にする人にとっては、相当気になるかも。ただ、手ぶれやピントに関しては、使用する大きさや媒体によって、視認出来るかどうかは変わるので、手持ちで暗いところで撮った写真をすごく大きなプリントにするのでもなければ、それほど気にする必要は、本当はないでしょう。

プロやプロ目指している人でもなければ、問題になることはないかな、と思います。

実際今回の撮影でも、100%に拡大すると、少しぶれていたり、ピントが甘いものもありますが、WEBのサイズで分かることはまずありません。

かわいいバケツがおしゃれ。もの撮りも鮮明
購入する時の検討点。

問題はまず、容量を食う、という点。RAWで撮りたい人は、HDやカードの増量が必要かもしれません。

ただ、JPEGで撮る分にはサイズも大中小の3つから選べるし、容量もかなり小さくなるので、問題なく使えます。

レタッチする時も、これだけ高精細なら、jpegでもけっこうな変更に耐えてくれるでしょう。
D700と違って、スロットもコンパクトフラッシュとSDのダブルスロットなので差し替えることなく大容量を撮影したり、モードを変えれば、バックアップをもう一つのカードにとりながら撮影することが出来るのもうれしい改善点です!

また、カメラの連写性能は、4枚/秒なので、あまり連射はできませんし、大容量のため、バッファも相当時間がかかってる感じです。

ただ、このカメラは大判カメラのようなもので、あまり連射するタイプのカメラではないと思って、じっくり撮る方が良いものがとれそう。

暗いところでの高感度撮影に関しては、D700の頃から性能自体があがってる感じはしません。実際100%でみると、1600以上ではノイズがのっているのが分かります。ただ、画素数が上がっているので、引いて全体を見ている分には、700の時よりもノイズ感を感じないし、レタッチしても破綻も起きにくい気がします。

一番問題なのは、USBが新しいUSB3.0を採用している点と、RAW現像をAdobe製品でする際に最新のものしかサポートされていない点。

USBに関しては、3.0になることで転送スピードが上がり、基本的には良いことですが、付属のケーブルが1.5mしかなく、リモート撮影をするにはかなり短い上、長いUSB3.0のケーブルが、まだほとんどないのが悩みの種。

また、PhotoshopやLightroomなどを使用している人も多いと思うのですが、PS CS4以下、LR 3以下はサポートされないようなので、持っていない人は新しいソフトを購入するか、ニコンのソフトウェアを使用する必要があります。

テートモダンの蛍光灯アート。撮るのが難しい光もOK
Rawで撮影後新しいPhotoshop使用。レタッチも美しく自分好みに仕上がる。
D700と同じ大きさでこの機能ならマストバイ!

カメラの大きさは、この機能にして驚くべきことに、D700とほぼ同じ大きさ!

使い勝手もほぼ変わりませんが、微妙に変更されているので、ボディの形が似ている分、D700ユーザーは戸惑うことはあるかもしれません(拡大、縮小ボタンが逆)。

最後に、待望の動画機能です。この素晴らしいスペックのカメラらしく、こちらも素晴らしい機能となっています。僕はまだそんなに使用していないので詳しいことは分かりませんが、ネット上で公開されている動画を見ていると、かなり良さそう。

また、以前他社の一眼でムービーを撮影した際には、ジャック類のインターフェースが充分でなく困りましたが、D800は充分なインターフェースを備えています。知人の映像作家が「スチールの写真家がこの頃動画も撮れちゃうので仕事が減って困る」とぼやいていましたが、こういうカメラがでてくるとますますそれが加速しそうですね!

良いところ悪いところとあげてきましたが、D800は、恐ろしいほどのポテンシャルを秘めたカメラだと思います。これまでにないコストパフォーマンスの良さですし、買って損はないでしょう。

D600も発売されました。こちらはD800よりBodyも小さく、若干安めで、2400万画素。この画素数値はD800よりは小さいですが、D700の倍近い。速写速度も5.5/mで速いです。D800が昔の大判だとしたら、D600は35mmとか中判一眼のような感じ。D800はいうなれば「自己満足の世界の高画質」なので、プロで建築やスタジオファッション撮るような人でなければ実際は必要ないかも。600は値段が安いので(今は価格帯が近いですが、少し待てば15万くらいになるかと予想します)普通はこちらで十分だと思います。D700を持っている方が買い替えるかどうかは難しいところですが、懐が許せばD600はぜひ。D800はプロなら買いと言えるでしょう。

充実のインターフェイス。
今日の1枚

 

撮影データ

ノート:ノッティングヒルの町並み。青が美しく浮かび上がる。

撮影日:2012年9月6日
天気:快晴
撮影カメラ:ニコン D800、データ:ISO:200、42mm、F2.8 、 1/640秒

ニコンD800 スペック

方式:35.9×24.0mmサイズCMOSセンサー、ニコンFXフォーマット
総画素数:36.8メガピクセル
シャッタースピード:1/8000~30秒(1/3、1/2、1ステップ)、Bulb、X250
ISO感度(推奨露光指数):ISO 100~6400(1/3、1/2、1ステップ)、ISO 100に対し約0.3、0.5、0.7、1段(ISO 50相当)の減感、ISO 6400に対し約0.3、0.5、0.7、1段、2 段(ISO 25600相当)の増感、感度自動制御が可能
記録画素数/フレームレート:
・1920×1080:30p/25p/24p
・1280×720:60p/50p/30p/25p
・60p:59.94fps、50p:50fps、30p:29.97fps、25p:25fps、24p:23.976fps
・標準/高画質選択可能
ファイル形式:MOV
インターフェース:USB SuperSpeed USB(USB 3.0 Micro-B端子)
HDMI出力:HDMIミニ端子(Type C)装備、HDMI出力と液晶モニターの同時再生可能

使用電池:Li-ionリチャージャブルバッテリー EN-EL15 1個使用
寸法(W×H×D):約146×123×81.5mm
質量:約1000g(バッテリーおよびSDカードを含む、ボディーキャップを除く)約900g(本体のみ)