Brooks Brothers × magazineworld.jp
ブルックス ブラザーズ スーツ・スペシャル 世界にさきがけて発表したレディメイドスーツ。オフィスルックの常識に。
(2011.04.18)
オレに着させろ! スーツの着くずし三段活用教えます!
プロのお手並み拝見!『ブルックス ブラザーズ』スタッフのスーツ術。
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ブルックス ブラザーズ定番アイテム
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アメリカンスーツの原点、
「ナンバーワン サックスーツ」
1818年創業の『Brooks Brothers』が誇る数あるマスターピースの中でも、アメリカンスーツの原点となった「ナンバーワン サックスーツ」は別格の傑作。1895年の発表以来、現代に至るまで、「ナンバーワン サックスーツ」はアメリカンクラシックの原風景であり続けています。
麻袋(サック)に例えられたゆったりシルエットは誰の体型にもしなやかにフィット。身体を窮屈に押し込むのではなく、優しく包み込むような既成服スーツは画期的な発明でした。「サックスーツ」という呼び名には、このフォルムと着心地を好んだ顧客の愛着や親しみも込められているそうです。
穏やかなボックスシルエット、パッドの入っていないナチュラルショルダー、自然なロールのラペル、後ろ身頃中央のベンツなど、「ナンバーワン サックスーツ」の約束事は忠実に守られ続けてきました。そして、50年以上も経った1961年にようやく「No.2モデル」が発売されます。それは『Brooks Brothers』の新たなアイコンとなった、時のリーダー、ジョン・F・ケネディ大統領(1917~63年)の登場がきっかけでした。ジャケットのウエストを絞り、パンツを細身に仕上げたこの2つボタンスーツは、颯爽と登場して自由主義世界の指導者になったJFKの若々しいスタイルを意識したモデルだとされています。
『Brooks Brothers』の歴史が形づくる、
3つのラインナップ。
スーツ史を紐解いた後は、ブルックス ブラザーズ ジャパン社の商品部で企画MDメンズを長年ご担当の大平洋一さんからスーツ談義をご披露願います。『Brooks Brothers』のスーツ・ラインアップ、着こなしアイデア、コーディネートのポイントなど、価値あるお話がたくさん飛び出しました。
-『ブルックス ブラザーズ』のスーツラインには、どんな種類があるのでしょうか?
3つのスーツラインが用意されています。「ゴールデンフリース」「1818」「ベーシック」の3ラインです。
最上級ラインの「ゴールデンフリース」はフルハンドメイド仕立て。ボタンホールからステッチまですべて手仕事で仕上げられています。素材は主に英国から調達している最高級品です。
真ん中のラインに当たる「1818」ライン。セミハンドメイドで仕立てられていて、プライスは11万~15万円程度です。アメリカではここがボリュームゾーンになっています。
入門編とも言える定番の「ベーシック」はマシンメイドですが、しっかりした仕立て。柄もベーシックな無地やシンプルなストライプが主体です。日本ではここがボリュームゾーンを構成しています。プライスは7万~10万円ぐらいです。
各ライナップに4つのモデル。
最も歴史の長い「マディソン」
最も歴史の長い「マディソン」はアメリカンクラシックの象徴のような、『Brooks Brothers』らしいモデル。一番最初に誕生した「ナンバーワン サックスーツ」以来の流れを受け継ぐ存在です。上着は筒型に近く、肩はナチュラル。ウエストは絞っていません。タックの入っていないパンツで、裾は少し細めです。
2つボタンモデルはウエストには絞りを加えていますが、パンツはボリュームを出してあります。3つボタンタイプもあり、3種類をお好みで使い分けるお客様もいらっしゃいます。時代を意識して、10年ぶりに「マディソン」の2つボタンと3つボタンタイプはモデルチェンジをしました。でも、伝統のサックスーツはモデルチェンジしていません。
ケネディ大統領のスタイルが参考
「フィッツジェラルド」
ケネディ大統領は『ブルックス ブラザーズ』の最も有名な顧客の1人でした。「フィッツジェラルド」は彼が大統領に就任した当時、気に入って着ていたデザインを再現したものです。だから、このモデルだけは1型のみなのです。「マディソン」の2つボタンタイプに比べて少し細身で、襟は小さめ。センターベントのエレガントで上品なデザイン。
ややスリムでスタイリッシュな「リージェント」はヨーロッパの匂いがするモデル。ロンドンのリージェントストリートから名前が取られていることからも分かる通りです。「マディソン」や「フィッツジェラルド」はアメリカントラッドという感じですが、リージェントはグローバルモデルとしての性格を帯びています。実は『ブルックス ブラザーズ』がヨーロッパに進出したときに出した戦略モデルなのです。「フィッツジェラルド」のように1型ではなく、2つボタンや3つボタン、ダブルなど、いろいろタイプが用意されています。
「ミラノ」は最も細いシルエットです。レトロな感じや、逆に現代風のイメージも漂うタイプ。3年程前に生まれた最も新しいモデルでもあります。
歴史を振り返れば、一番昔から存在したのが「マディソン」モデル。『Brooks Brothers』のスーツを支え続けてきたモデルと言えます。その後、お客様のニーズが多様化したのに伴い、様々な要望に応えられるように「フィッツジェラルド」「リージェント」「ミラノ」という3モデルが追加されていったわけです。「フィッツジェラルド」「リージェント」が加わったのは5年程前の事です。
ヨーロッパ風の「リージェント」、
もっとも細く新しい「ミラノ」
トータルで最も売れているのは「マディソン」ですが、今、一番勢いのあるのは、「フィッツジェラルド」です。これまで「マディソン」を着ていたけれど、もうちょっと新しいものを着てみたくなった人が「フィッツジェラルド」に乗り換えるケースも多いようです。最近は3ボタンから2ボタンへ人気が移っている上、ノータックや程よい細さなども今の時代に合っているという事情があり、「フィッツジェラルド」人気を押し上げているようです。
「ナンバーワン サックスーツ」は『ブルックス ブラザーズ』の看板モデル。これが好きな人はほとんど浮気しません。昔からのアイビールック好きは何枚もサックをそろえておいでのようです。最近は若い方がかえってサックのたたずまいがモダンだと感じて、サックに興味を持つようになってきました。オリジンを着たいという人も増えているようです。
「マディソン」も長年の固定ファンが多く、とりわけ2つボタンは根強い支持を得ています。2つボタンでタックが入っているタイプは余裕があり、見た目に安定感があります。貫禄ある年配の男性が好んで着るのが「マディソン」の2つボタンで、さらに上を選ぶ人は「ゴールデンフリース」をセレクトする傾向があります。
--それぞれのモデルごとのコーディネートの楽しみ方があると思うのですが。
私自身はこのところ、「フィッツジェラルド」を着る機会が一番多いのですが、最も好きなモデルはやはりサック。ずっとサックには愛着を感じています。近頃は「リージェント」のダブルブレストもたまに着ています。最近はダブルがややトレンドに返り咲いているので、街で見掛ける機会も増えてきています。
パンツの丈を短くした場合、一番合うモデルは「ミラノ」です。意外にサックも短め丈パンツに合います。サックを今風に着るのなら、短めにするといいでしょう。トム・ブラウンが提案しているようなイメージになります。
サックは実は幅広い着こなしが楽しめるスーツです。もともとの形がいいから、アレンジしていろいろ遊べる余地が大きいのです。トム・ブラウンはそういったところに目を着けて新しいアイデアを提案していると見えます。
日本での人気の秘密、
控えめな上品さ「アンダーステートメント」
「ナンバーワン サックスーツ」の支持率は日本の方が高いと見えます。アイビー世代の愛着には特別なものがあるようです。サックは『Brooks Brothers』の原点、アイデンティティーであり、実際に着やすいので、長年のファンがたくさんいらっしゃいます。
『Brooks Brothers』の控えめな上品さはしばしば”Understatment” (アンダーステートメント)という言葉で表現されますが、その言葉にふさわしいモデルです。控えめなスタイルはトレンドに左右されにくい点も、よい服を長く着続けたいと考える本物志向のお客様に受けているようです。
肩がいかつくないナチュラルショルダーですから、自然な肩つきに見えて、相手に威圧感を与えません。ジャケットのウエストラインを絞っていないので、体型をゆるくカバーしてくれます。パンツはノータックストレートのすっきりシルエットだから、ゆったりめのジャケットとのバランスがよく、上品なスタイルに見えます。サックモデルを着ている人は野暮ったく見えないという長所があり、日本人の体型でも整った見栄えに仕上がりやすいはずです。
アメリカントラディショナルというのは、ヨーロッパ流のエレガントよりも、どちらかというと少しスポーティーなイメージです。若干のカジュアル感やヌケ感がポイントで、だからボタンダウンが一番合うわけです。
スーツの選び方、着こなし術、
お手入れ方法のコツ。
検討する際の順番は、1.予算、2.柄や素材感、3.ライン(モデル)、4.体型という感じで考えるとよいでしょう。もっとも、柄や素材感が気に入ると、予算を気にせず買う人も珍しくないので、絶対のルールと考える必要はありません。
サイズがきちんと合っていることはスーツ選びの重要なポイントです。自分の正しいサイズを知ることがまず第一。ショップスタッフにサイズを測ってもらうだけでなく、自分でいろいろ試着していくと、実際にフィットするサイズが分かってきます。
着こなしチェックポイントは、
1にサイズ、2にコーディネート
スーツを上手に着こなしているかどうかを評価するポイントは第1に「サイズ」、第2に「コーディネート」です。
正しいサイズのスーツを着ることがまず何よりも大事です。少し窮屈だからといって、ジャストフィットよりも大きいサイズを着ると、せっかくのスーツがきれいに見えなくなってしまいがちです。ちゃんと自分に合うサイズを選びましょう。
もちろん、スーツだけではなく、中に着るシャツもきちんとサイズが合ったものでなくてはいけません。せっかくスーツがピッタリしていても、ネックがゆるいシャツを着込んでしまうと台なしです。整ったスーツルックにサイズはとても大切な要素なのです。
センスのよさを感じさせるのはコーディネートの力です。スーツの色や柄に合ったシャツやタイを合わせている人は一見しておしゃれだなと感じます。そして、上手なコーディネートは2種類で、「シンプルに合わせている」「派手だけどまとまっている」のどちらかです。
シンプル派は色数を使わないスタイルです。例えばスーツ色がグレーなら、ネクタイはネイビー、シャツは白といった感じです。タイは多色ではなく、単色か1、2色のストライプを選べば、シンプルにまとまりやすくなります。
派手派はスーツの柄の色を生かすコーディネートが上手です。全体的に色を拾ってうまくまとめ上げるのです。グレーのスーツ色と合うように、ピンクやパープルをシャツやネクタイに使ってうまくまとめるようなコーディネートです。ブラウンのスーツに、ブルーのシャツで合わせたり、グラデーションカラーのネクタイを重ねたりして、スーツの色を引き立てる色バランスを楽しむわけです。
この2つのポイント「サイズ」と「コーディネート」の見せどころのひとつが「V ゾーン」です。ジャケットの第一ボタン、両肩で形づくられる逆三角形のエリアですが、そこにスーツ、ネクタイ、シャツの「サイズ」、「コーディネート」の妙味が集約されます。
V ゾーンとともに気を使いたい
重要ポイント、足元。
一番無難なのは、黒のプレーントゥです。「ミラノ」のように細身のスーツには、プレーンな靴で合わせて構いません。無地のスーツとかで表現力が乏しいと感じる場合は、ウィングチップを持って来てもいいでしょう。
『Brooks Brothers』はアメリカの名門靴ブランド『ALDEN』(オールデン)」と長い間、取引をしていて、日本でも人気があります。『Brooks Brothers』好きの人は「オールデン」の靴と合わせる人が圧倒的に多いのです。
シューズとソックス丈のバランスにも目配りが欠かせません。スーツに合わせる場合、ソックス色はスーツ、靴のどちらかに寄せるか、中間を取ることになります。違和感の出やすい柄ソックスは避けたいところ。織り模様の同系色ぐらいであればなじみやすいでしょう。
あえて、ちょっと色気を漂わせるような色のソックスを履くのは、おしゃれな遊びと言えます。例えば、ライトグレーのスーツにライラック色のソックスをはいたりしてもおしゃれですね。ただし、色を使う場合は上質なソックスじゃないと、逆効果になりかねません。色だけを重視して、カジュアルなソックスを合わせたりすると、せっかくのスーツコーディネートが一気に台なしになるから気をつけたいですね。非常に上質なウールやカシミアのソックスで品良く合わせれば、うまく仕上がります。
--最後にスーツのお手入れで気を配るべき点を教えてください。
1着を毎日着るのではなく、何着かをローテーションで着るように心がけたいですね。それから、その日、着終わったらきちんとハンガーに掛けてブラッシングするのが長持ちさせるコツです。愛情を込めて扱ってあげれば、スーツは長持ちするので、丁寧に手入れして、愛着も育ててほしいと思います。