光隠居とミヤビちゃんのちょっと聞けない日本の雅 -日本の常識 - 〜その5 封筒の中身〜

(2010.01.26)

月桜町の正月2日の昼時、白川 光 翁の和室では、端正に座った『ご隠居』と封筒の中身が気になる隣家のミヤビちゃんがいた。

光隠居(以下 光) 格好良いか悪いかは、この場合関係ないが、そうやってお年玉の中身が気になられると儂も格好悪いな~……。

居心地の悪そうな『ご隠居』

ミヤビ(以下 ミ) さっき、「水引」の種類で中身が判るって『ご隠居』言ってたよね~。

 んっん~……。そうよな~……。大まかには判断できるな。

喉に何か詰まったような咳払いをして、『ご隠居』は大きく頷く。

 その方が『ご隠居』の云う『現金な奴』だわね!っで、どんな「水引」だと沢山お金が入っているの?」

 今ミヤビの持っているその袋の「水引」は、赤と白の五本で結ばれていて『蝶結び』だろ。この袋には、青いお札が似合う。これが十本の「水引」で結ばれていたなら、もう一段階上の額となり、金色と銀色の「水引」で結ばれていたなら、三万円位か……。其処に色取り取りの「水引」で造作されていたなら……。

 ゾウサクゥ~?

目を斜め上に向けながら頓珍漢な顔をするミヤビ。

 造作も解らんのか! 色々な型、例えばお花や松とか鶴とか亀とか、折り紙で作られているような作り物じゃ! そのゾウサクゥ~が付いている封筒なら、五万円とか十万円とか百万円とかじゃな。

 ひゃくまんえ~ん!! そんなお金も包まれているの? すっごい気持ちだね!」目を丸くして『ご隠居』の方を見る。 

 世の中にはそういう心や気持ちもある。

 じゃあ、とても綺麗とか可愛いって云うだけで、封筒を選んじゃいけないの?

 暗黙の了解と云って、話し合わないけれどお互いに解るように、「水引」の豪華さで中身を判断できるようにして、その場で開けなくても良いようにしているわけだな。だから、百円を三千円を差し上げる時、気に入ったからと云って豪華な「水引」の封筒を持って行ったなら、相手に誤解される事になるから、自分の好みとかで安易に封筒を選んでは相手の気持ちを考えない事になる。

 な~るほど~。でも、この赤と白だけの「水引」だって、十分美しく綺麗だけどな~……。

 だろ~! 「「水引」」と云うのは、たとえ紅と白だけでも、それ自体の造形が美しい物じゃ。これにもちゃんと職人さんが居て、贈る側と贈られる側の気持ちを考え一つ一つ心を込めて結んでいる。機械では結べないものなんだよ。勿論、その気持ちがあれば、自分でこの「水引」の紐を買ってきて、用途に従った結びを施しても良いんだぞ。

 この「水引」の紐だけでも売っているの?」驚き顔のミヤビちゃん。

 文房具屋に行けば何処でも売っているよ。月桜小学校の前にある文房具屋さんにも、ちゃんと売っていたよ。

 へ~……。じゃあ、今度のママの誕生日プレゼント、ミヤビ自分で「水引」を結んでみようかな~……。

 それは名案だ! きっとお喜びになるぞ。

 ご隠居の後ろにある印刷の「水引」に包まれた物は何?」と覗き込む。

どうやらミヤビは床の間に上げてある年賀の品に興味は移ったらしい……。

 
つづく      

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