おんなごころのトレンド通信 - 1 - 東京アート女子、増殖中。ということでアート散歩へGO!

(2010.04.23)

先日、ずっと行きたかった国立新美術館の特別展「ルノワール -伝統と革新」に行ってきました。ルノワールの描く、色鮮やかな花や服、景色にうっとりしていたところ、ふと周りの来場者に目をやると、会場の3割ぐらいが20~30代女性(しかも美女!)であることに気付きました。

もちろん、ルノワールという有名画家の作品展のため、話題になっていたことや、その華やかな作品、学校の教科書で紹介されていた親しみやすさなど、他の美術展と比べると若い女性にも好まれる要素がいくつかあるのかもしれません。

また、日本は今、空前のアートブームであり、美術館の来場者数は右肩上がり。英アート情報誌「The Art Newspaper」によると、世界各地の美術館で開かれた特別展の1日当たりの来場者数調査で、日本の展示会が1位から4位を独占したという結果も報告されています。

でもでも、私のイメージする美術鑑賞をする層は、ご年配夫婦。美術館の来場者数が増えていると言っても、それは団塊世代以上とか年齢が上の方々の話で、ルノワール展で若い女性が多かったのは、やっぱり特別だったのかもしれない…。

いえいえ。調べてみると、ルノワール展が例外なのではなく、実は今、休日におひとり様or女友達とで都心の美術館やギャラリーに行く20~30代女性が増えているようなのです!!

名づけて、「東京アート女子」(※名付け親:筆者)

この東京アート女子、単に美術館に足を運び、素晴らしい芸術的な作品の数々を観て終り……というわけではないご様子。

 

アート女子の生態。なぜ美術館に?

そこで実際に、都内勤務の20代東京アート女子にインタビューをしてみました。

彼女が美術鑑賞をする目的のひとつは、「教養」のため。確かに、一つの作品を観るだけで、その画家の特徴、画の描き方や色づかい、画が描かれた時代背景など、多くの知識を得ることができます。そのため、海外では、教養のために美術館を訪れる人が多いようです。“自分磨き”が女性の間で趣味になる程ですから、マラソンやヨガ、料理のように、美術鑑賞で自分磨きというのもあっておかしくないですよね。

そしてもう一つ! 教養以外にも、東京アート女子が魅力を感じていることがあります。それは、美術館を始めとした様々なアートスポットを回る、“時間”や“空間”そのものです。

最近、『東京アート散歩?―”気軽にアート生活”するための全143軒』(散歩の達人MOOK・交通新聞社発行)や『東京アート&カルチャーさんぽ』(ぴあMOOK・ぴあ株式会社発行)といった、都内の美術館やギャラリー、更におしゃれなカフェや古本屋、雑貨屋さんを紹介したかわいい本を見かけたことがありませんか?アート女子は、これらの本を愛用していて、本を片手にアートスポット巡りをするのを好んでいるようなのです。インタビューした彼女によると、「カフェと一緒なのがポイント!お散歩しながらいくつかのアートスポットを回り、おしゃれカフェでランチをする、そんな1日に癒される。カフェの内装は、インテリアの参考にもなるしね。」

 

アート女子体験から見えてきたこと。

そこで私も、上記本や友人のアート女子のオススメを参考に、いつも服を買いに行く“銀座・丸の内エリア”で東京アート女子体験をしてきました! 事前にどこを回るか決め、電車で向かう途中はワクワクしながら散歩のイメージを膨らませる。すると、改札を出る頃には、見慣れた景色がいつもとはちょっと違った感じに見えたのは驚きでした。

そして、いざアートスポットへ! 私が実際に回ったお薦めアート散歩コースをご紹介です。

東京国立近代美術館フィルムセンター

三菱一号館美術館

銀座1~8丁目標識

野の花 司
(残念ながら、行きたかったカフェがお休みだったので、次こそは…涙!)

東京国立近代美術館フィルムセンター
銀座3丁目標識
野の花 司

  

東京国立近代美術館フィルムセンター

現在の企画展は、「映画資料でみる 映画の中の日本文学 Part 3 ― 戦後の文学―」。日本映画の草創期から、無声映画時代、トーキー化を経て、現在に至るまでの日本の映画の歴史を学ぶことができます。当時使われた貴重な映写機や製作された映画は、ここでしかお目にかかれない超貴重なモノばかり!!

※会場:東京国立近代美術館フィルムセンター展示室(7階)、会期:2010年4月6日(火)-6月20日(日)、月曜日は休館

銀座通りの標識

銀座通りには、1970年代に作られた、1丁目から8丁目までの丁目を告げる標識が立っています。通りをいつも歩いている人が、この標示は昔からここに立っていたと錯覚するくらいに親しみを感じ、銀座通りの一部になりきるデザインをと、写真のものが採用されたとのことです。

野の花 司

茶花専門の花屋さん。店内は、桜やボタン、椿などの“和”のお花がいっぱいです!特に、小さな盆栽は女性向けでラブリー。2階には、「茶房 野の花」(喫茶店)と「スペース司」(展示室)が併設されており、「黒豆抹茶みつ豆(1,000円)」などの和菓子を頂きながら、珍しい花器と茶花が創り出す和アートを堪能できます。

 

レトロな映画資料館や有名な美術館、路地裏に上品に佇むお花屋さん……。不思議なことに、アート女子モードでいつも通る街を歩いていると、建物や単なる看板までもがアートに見えてくるんです! さながら日帰りヨーロッパ旅行のような、特別で贅沢な時間となりました。
 
これまでも、私は何度か美術館に行ったことはあるのですが、ここまでアートな異世界を体感したのは初めてでした。それはやはり、美術館やギャラリーだけでなく、カフェなども含めてアートスポットとしたことが、あの非日常感を創り出していたのだと思います。そして私にアートの視点を与えてくれていたのが、前述の本たちだったのです。

東京アート女子が楽しんでいたのは、そんな街全体を舞台とした、“アートな時間”や“アートな空間”でした。

ちなみに、アートスポットは1つ1つが離れているので、歩いて移動すると結構な運動になります。何かスポーツ始めたいけど、いまいち気が乗らない…という方!2010年春は、“東京アート女子”はいかがでしょう。「私、最近アートにはまってるんだよね。」って言ってみたいですしね♪

オススメ特別展!東京国立近代美術館フィルムセンター展示室(7階)にて、「映画資料でみる 映画の中の日本文学 Part 3 ― 戦後の文学 ―」開催中!(2010年4月6日(火)-6月20日(日)※月曜日は休館)