ポラロイド用フィルム
IMPOSSIBLE PX 70を検証。

(2012.12.18)

「ミッション・インポッシブル」を「ポッシブル」に変えた情熱のポラロイド用フィルムに今、若者が熱い!IMPOSSIBLE PX 70を検証。

●第1章●
IMPOSSIBLE社から
新たにPX680フィルム 、PX 70フィルムが発売!

70年代に大ブレイクしたポラロイドSX-70。一度はポラロイドランド社が製造を中止してフィルムが無くなりポラ好きのファンに惜しまれていましたが、IMPOSSIBLE社から新たにPX 680フィルム 、PX 70フィルムが発売されて今またポラ熱が再燃中です! 現行ではこのIMPOSSIBLEのみがPX 70フィルムを製造しています。

ちなみに、この社名の「IMPOSSIBLE」は、不可能と言われているこのフィルム作りに挑戦する!ということから名付けられたそうです。すごいファイトだと思います。

そこで、今回はこのフィルムを使って、現代のポラロイドについて、レポートしてみたいと思います。私も昔、ポラロイドは楽しくて大好きだったカメラ。そのため、我が家には昔のポラカメが結構有るので,探し出して新たなフィルムで撮影してみることにしました。


SX-70は、たたむとコンパクトに。

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撮影しての第一印象「時間がかかる……」。 昔のポラロイドフィルムはSX70で60~90秒で画像が出て来たんですが、 現在 PX 70では17分以上必要です。まずこれにびっくり!

「なんでこんなに?」と思って、 ポラロイド通でIMPOSSIBLE公認ブロガー ミッシェルに聞いてみました。 「実は、昔のポラロイド工場と同じ規模の物を作らないと同等の性能には出来ないんだよね……。特にフィルムは生ものなので、保存もとても大変なんだ。あのレベルのものを作ると、素晴らしい分繊細なので、管理にもお金がかかる。そのためには莫大な予算が必要。 そこで、なんとか自前の技術を開拓して可能な中でSX70のフィルムを作り上げたっていうわけ」。

厳しい制約の中で四苦八苦しながらなんとか作り出された最初の製品は、色がついたモノクロフィルムと言った雰囲気。なんとも不思議な感じの画面でした。 その後、工夫を重ね、最新のPX 70はずいぶん色再現がよくなって来ています。そのちょっとアンティーク調の色合いが逆に面白く、コアなファンも生んでいるようです。


いろいろなフィルムを選ぶ楽しみも有り。

●第2章●
撮影には少し技術がいります。

シャッターを切った直後に光線引きを防ぐためにSX70のフィルム出口を黒い紙で覆わないと、光が入ってフィルムがかぶってしまうのです。 さらに、撮影したフィルムも暗い環境で現像時間を過ごさないとかぶってしまう……と今までに無いミッションが必要!!

昔のポラロイドフィルムを知る者としては、「これでは”早く見ることができる!”という最大の利点が活かされなくていかがなものか?」という気も正直するのですが、今はデジカメの時代。すぐに画像がチェックできる現代では、この「手塩にかけて夢が現れるのを待つ時間」は反対に新鮮なのかもしれません。

そして、こんなに苦労して手にした1枚は、不思議な感覚で、写真と絵画、どちらともつかない独特な画像。この不思議感……それがIMPOSSIBLE社PX 70ポラの魅力なんですね!!

IMPOSSIBLEからのハガキもおしゃれ。

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正直に告白すると、今回僕は、あまり出来のよい写真が撮れませんでした(苦笑)。昔の600ポラでは上手くいきましたが,PX 70の撮影はほぼ全滅……。室内だったからかな? それとも、ナチュラルで自然光のような明るい感じを目指すと、トンでしまうのか……? ちなみに、外の撮影では、光線を引いて上手く撮影できなかった、という惨状……。うまくなるまでは、かなり鍛錬が必要な感じです。 なんとかうまくいったものも、色もやっぱり かなりアンティーク調です。上手なミッシェル君の写真もそういうムードではあるので、このぼけたような淡い雰囲気は、好き嫌いが分かれるかな、と感じました。写真家の撮る写真というよりは「へたうま」的なアート感覚写真。

そんなPX 70の値段ですが、北村写真機店でワンパック8枚撮りで2,249円でした。1枚300円弱。出てくるまで「成功したか失敗したかわからない」ことを考えると、高いような気はしますが、これで写真展を開催している方々もいるし、作品を作ると考えると、まあまあかなとも思います。

ポラということで言えば、韓国、中国で人気のポラカメ『チェキ』はフジフィルムが製造販売。チェキのフィルムはフジが作っているので昔のままの現像時間と出来上がりのようです。今回は検証できませんでしたが、小さな画面のポラは可愛い感じだったと記憶しています。

代官山北村写真機店にはポラロイドがいっぱい。

●第3章●
この先を楽しみに見ていきたい
IMPOSSIBLE PX 70

今はまだ、一般的には値段、時間、色合いなどに難しい部分もあると感じるIMPOSSIBLE PX 70ですが、ここまでフィルムの性能をあげてきたIMPOSSIBLE社の情熱は、まだまだ続くと思います。少し長い目で、この先を楽しみに見ていきたいと個人的には思いました。大切なのは、この「ミッション・インポッシブル」を「インポッシブル」に変えさせるほど、ポラロイドが人々の心を魅了していた、ということなのだと思います。

ちなみに、ポラロイド社は、1937年にエドウィン・ハーバード・ランドが創立した光学機器・感光材料メーカーです。当時3歳になる娘さんが「どうして撮影した写真がその場でみられないの?」と尋ねたことが開発のきっかけだと言われています。1947年に初めて発表されたインスタントカメラは、ポラロイド社が2001年に倒産、2002年にはボディが製造中止になり、とうとうフィルムの供給も止まってしまいました。

SX-70のファンによれば、「あの、絵がじんわりと浮かび上がる時のドキドキ感、そして当時でもやはり絵画的と言われた独特の色合いが忘れられずにいた」。

さらに、あの頃、あがってきた写真にサインペンで絵をさらに描いたり、文字をいれたりできた、楽しいパーティなどでの思い出、自由さもよかったようです。そのノスタルジックな強い想いが、今回の開発に繋がったのでしょう。

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実際、僕自身もよく撮影前に「こんな感じに大体仕上がりますよ」と編集者、スタイリスト、タレントさんなどに確認してもらうのに重宝したし、その場で渡してあげることもできたり、反対に、好きな女優さんにはサインを写真に直接書いてもらったりもしていました。ただ、フィルム自体は、当時でも10枚で2500円前後はしたと思います。

さて、現在SX-70のポラロイドカメラを扱っているお店は,発売元のIMPOSSIBLE、代官山 北村写真機店など。多くの種類と台数が用意されています。カラフルな機材が並んでいるのは圧巻。 

昔のカメラも人気ですが,さらに現在新機種も発売しているほど人気が出ています(種類はPX 70、PX 680 、チェキ、フジフィルムのポラロイドフィルムFP100 C を使う新作など多数あり)。値段も手頃なので(フィルムはちょっと高めですが)遊んでみるのも悪くないと感じます。 僕としては、パーティシーンや撮影シーンで使いたいので、やはりネックは時間かな。そこが「ポッシブル」になるのを期待しています!

IMPOSSIBLEのSTARTER KITも売っています。

今日の1枚

撮影データ

今回は2枚で、Dr.nakamatu宅のパーティでの1枚 
撮影日:2012年11月17日、
撮影カメラ:Polaroid Supercolor 635、 PX 680フィルム(ISO 600)、AUTO撮影

OfficeRyuのおもちゃコレクション 
撮影日:2012年1月20日
撮影カメラ:IMPOSSIBLE SX-70、PX 70フィルム(ISO 100)、AUTO撮影

IMPOSSIBLE PX 70フィルム スペック

撮影枚数:8枚
対応カメラ:SX-70
フィルムスピード:ISO125/DIN23
フォーマットサイズ:8.8×10.7cm
実画面サイズ:7.7×7.9cm
仕上がり:光沢
残像時間:21°Cで30 〜 40分