籾山由美の東京-島根 小さな暮らし子供に帰る日。島根から
夏草で涼をとりましょう。

(2012.07.13)

夏の暑い日……。

夏の暑い日、水浴びに子供たちが集まって保護者と一緒に川に行きます。その道は誰かのお父さんが毎年草刈りをして小道を作ってくれます。そこを一列とは言え、とてもお行儀がいいとは言えないくらいはしゃいで川に向かいます。

高学年のお姉さんやお兄さんはバスタオルを肩に掛けていましたが、小さい子たちは裸同然。履いている水着を後ろからセーノで足首まで下げる。水着を引っ張る。それはもう賑やか。夏の大きな楽しみでした。

「あんまり暴れると今日は水浴びをやめるけぇね!」との声を聞くと途端にお行儀良くなり気をつけをして歩きます。やんちゃな子供たちの制御に保護者の人は大変です。注意を受けると静かに遊べる草遊びです。笹を摘んで舟を作ったり、草笛を吹いたり、前を歩く子の耳元で丸葉を叩いてパン!という音で驚かしたり。やっぱり行列が乱れ始めます。

やっと川に到着。体操をした後、鮎の獲れる渓流での水遊びが始まります。

草を友に育ったと言っていい環境の私の子供時代です。玩具がないから誰かが草を工夫して遊びます。すぐにお腹が減るのでおやつに酸っぱい味のポッキンやスイバを良く食べていました。食べ過ぎるとお腹を壊すのを知っている年長さんが小さな子に注意します。小さい子はお兄さん、お姉さんの言う事は真剣なまなざしで言う事を聞きます。「はよー、家に帰りんさい!」と大人に注意されるまでみんなでいっしょにくんずほぐれつ夏も冬も遊んでいました。(BGM 唱歌)

笹舟を作って浮かせて行水気分。

幼い子でもすぐに慣れて作れるようになる笹舟。それでも毎年作っている年長さんは上手い。腕の見せ所です。舟の形が良いと水も入らず流れに沿って遠くにいきます。へたくそはすぐに沈んだり、クルクル回って流れるので楽しくありません。チェッて感じ(笑)。作り方は笹の葉を一枚を契って両端それぞれを2㎝くらい折ります。折った所の葉軸を残して両端を少し切ります。ここが難しい。切る勢いが強いと舟底まで切れ込みが入って失敗。。上手く切れたら折り曲げた片方の間に反対側を挿します。出来上がり。材料は笹の葉、赤い蕾は鯛釣り草。

意外にも笹の葉には細かい産毛のような物がついています。これが舟を浮かせる源でもあるようです。
茅の匂いは夏風の香り。

茅を使って編んでいます。水は受け皿に張ってあるので花を活けても心配ご無用。茅の葉はほどほど固いので筋を軽く木槌で叩いておくと良いでしょう。手で固い筋を細かく折るのも方法の一つです。長いと言っても茅の葉は60㎝前後。葉を足しながら編み込むのは苦労です。編みあげる時に洗濯バサミで留める事をお勧め。編んでも編んでも崩れるのは結構楽しくありません(笑)。基本は底になる茅の平織り。上に向かって編むときに縦軸になる茅を一本足して奇数にして下さい。こうしないと表裏で編みながら立ち上げていく編み込みができません。材料は茅、しなだれすすめがや、うつぼ草、斑入り茅、山帰来(さんきらい)、いぬかたばみ。

平織り

60cmという長さと1.5cmの幅は編むには手強い相手。洗濯バサミでねじ伏せました。
花皿は、折り目をつけるのがコツ。

縦3枚、横3枚で笹の葉を平織りします。端を折って挟み込みます。きっちり折り目をつけるのがコツ。そこに補強を兼ねて新しい葉を差し込んで崩れないようにします。編み込みには、ほどけないように洗濯バサミでを使うとよいでしょう。笹の葉は水が下がると丸まってしまいますので採って来たらすぐに作るか、使う葉を水に漬けておきます。出来た笹の皿は水に浮かさず、敢えて水を当てずに置いています。いずれ乾燥して縮んでしまうので同じ頃枯れてしまう紫陽花の花を置いてみました。材料は笹の葉、紫陽花。 

今回は端を織り込んで花皿を作りましたが、端を折らずそのままの平織りも素敵です。
下げてよし、置いてよしの花篭。

なるこゆりの葉に茅の茎を挿して小さな花器にしたものです。ここでは葉に出来た玉水に茎をあてて活けています。花器はありません。虫喰いの穴さえなければ水漏れはなし。これが難しい人はペットボトルの蓋など小さい物を花器にして水を溜めると良いでしょう。少し肉厚の葉が萎れにくくていいですね。桜の葉のように薄くて柔らかいものはすぐにヘトヘトになり不向きです。用意した葉に茅を刺して葉を反らせて出来上がりです。茅がなければ細い竹串も可。刺した茅や串が花を支える道具にもなります。手のひらに乗る程の花器。玉水に活けるのでドミノ倒しみたいにドキドキします。冷や汗で涼しい事受け合い!材料は、るこうそう、茅、千日紅(せんにちこう)、紫陽花、斑入りの茅

花の切り口に水が当たっていれば花器はいりません。玉水に花を挿してみて下さい。
夏の香りに包まれて。笹と茅が主役。

今回は夏の草の代表格、茅や笹を使って夏の草遊びの紹介です。雪の積もらない地方では年中出来る草遊びですが、夏でしかみられない夏色を楽しんでみて下さいね。写真の洗濯バサミは、草の編み込みには必須の道具。10個は欲しいところです。石は石庭感覚で飾っても涼しさが増します。とはいえ細長い篭を作る時は途中でこの石を入れて編みます。篭が倒れないようにする大事な道具。塩梅の良い石を事前に用意して下さい。草遊びで蒸し暑い夏が涼しい気分になれたら嬉しいですね。

笹舟は1枚で仕上がります。でも他は、茅も笹も見た目より枚数が必要。抱える程摘んで帰ってね。