カメラボ – カメラ研究室 –王道へと進化した
GRらしからぬ “新型” GR。

(2013.06.18)

一眼レフの基礎を築いたカメラの名門PENTAXと、フィルム時代のオートハーフ・デジタルに新風を吹き込んだ独特の美意識を持つGRシリーズ、GXRなど、独自のカメラスタイルを持つRICOHがひとつになった!その初めてのアイテムがこちらです。大注目!

●第1章●
GR5ではないことが示す、独特の美意識からの転換。

2013年5月 24日にペンタックスリコーイメージング株式会社(以下 PENTAX-RICOH)から発売されたばかりの新型GR。一眼レフの基礎を築いたカメラの名門PENTAXと、フィルム時代のオートハーフ・デジタルに新風を吹き込んだ独特の美意識を持つGRシリーズ、GXRなど、独自のカメラスタイルを持つRICOHが、一つの会社になって、初めて作った注目度の高いカメラです。

「どんなものがでてくるのか……」とドキドキしながら僕も待っていました。

そして多くの人に「新しいGRは、どうですか?」と良く聞かれます。

一言で答えれば「画質が凄く良くなった!」

これは、センサーがAPS-Cサイズになったのだから当然といえば当然。

***

今までのGR4でもかなり良い画像が撮れていましたが……やはり1/1.7型のセンサーでは暗部の再現に限界があって、これだけの大きさが望まれたようです。

この小さなBODYにこれだけ大きなセンサーを入れられたのはすごい事だと思います。

実際に撮影してみると、その解像力の良さには脱帽! 新設計のレンズを生かすために、ローパスフィルターを外して画質の向上を第一にはかった効果が如実に出ています。

また、このカメラの一番の利点は【一眼レフを持ち歩かなくても、これをポケットに入れておけば、優れた画質の写真が日常的に撮れる】という事。

残念な点は,GR4まであった、レンズ前1cmの超接写が無くなって、10cmになった事。

僕は、小物や小さな虫等を捕るのが好きなので、これはとても不便に感じました。そういう意味では、GR4の方が好き。

このカメラを買うかどうか迷う時は、ここは大きなポイントです。

ご自身の撮るスタイル、撮るものが、接写が多い方には、他の選択肢もあるかな、というのが正直なアドバイス。

風景を撮影するには便利なので、コンパクトだし、海外へ持っていくにはいいですね!色再現が素晴らしく、美しい風景写真を撮る事ができるので、思い出の中だけでなく、写真としてもしっかり感動の瞬間を残せるはずです。


裏面の液晶と操作ボタン。PENTAX一眼とRICOHGRの技術が融合!

●第2章●
これは本当にGR?

GR4と比較して、機能的に素晴らしくなったと感じたのは、 親指のAFボタンと、側面のエフェクトボタンの2つです! 起動も凄く早いので、スイッチを入れると即撮影出来るのは良いですね!!
また,撮影画像のスクロールも超さくさく動くのにはびっくりしました。

レンズは、28mm相当ですが、以前の6mmから18mmになったので、ピントは浅くなります。 ここは、GR4までのパンフォーカスになれた撮影には、違和感があるかもしれません。
しっかりと焦点を合わせないとずれることがあり、慣れるのが大変です。ただ、慣れてしまえば、綺麗にぼける利点も有るので、購入されたら、なるべくたくさん撮って、レンズの特性を体で覚えてしまいましょう!!

レンズについては、すみずみまでシャープで、すごいと思います。このレンズに合わせて、コンピューターまで性能をアップしたところも「さすが!」のこだわり。

また、PENTAXらしい一眼レフの機能性も感じられるカメラです。


サイドに追加されたボタンが,絞りプレビュー&エフェクトボタン。

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さて、このところ、多くのカメラマンやカメラマニアの方々と会うと、やはりこの新型GRの話題になります(笑)。その中で多くの人が持つ疑問点は、「これはGRシリーズのコンセプトからは外れているのではないか?」という点。

僕もそれは感じました。だからこそ、会社も「GR5」と呼ばなかったのでしょう。

今までのGRは、いわば、がんばっているスーパー軽自動車のようなもので、小さなボディに、この大きさのCCDでここまでできる、という「エッジーなスマートさとシンプルさ」を追求していました。

しかし、新型GRは、エンジンを大きくして、もちろん素晴らしい車ですが、普通車になってしまったような感じを否めない残念さはあるのです……。

「このエッジーさ、サブカル感を、どう生かそうか」みたいな楽しみはなくなったのが正直なところ。ただ、メジャー入りしてPOPになり、さすがPENTAX! という王道を行く感は絶妙なので、これを好きかどうかは、個人の感性によると思います。


実行28mm相当、でもGR4は6mm,GRは18.3mmこの違いがボケの差に!


接写の距離はGR4の1cmからGRは10cmになったが焦点距離が伸びたのでボケ味は良い。

●第3章●
実際に撮影してみる!

天気のよい海岸で撮影してみた感じは、どんな状況でも綺麗に撮れるので、
どんな人でも、まるで『腕が良くなった?』と勘違いしちゃうのではないか、と危惧するほど、簡単に、綺麗に、写ります。 色ののりも良く、しっとりとした再現が出来ます!

そういう意味では、いつも「よく撮れない、撮るのに自信が無くて悩んでいる」方には、とても良いカメラだとも思います!

そう考えると、写真を撮るのが好きなマニア向けではないのかも? あまりにカメラが素晴らしすぎて、簡単で、となると、写真撮影の腕自体は上がりにくいかもしれません。

ただ、反対に、ものすごいマニアにはいいのかもしれないです!

誰が撮ってもプロ並みに安定した画像が出来るので,あとは「何をどう表現するか? 切り取り方は?シャッターチャンスは?」そこが究極の問題になるから。

日本人の写真に一番欠けていると言われる「コンセプト」や「なぜそれをそのように撮るのか?」を考えないと、極めて一般的な、誰でも撮れる「ただの美しい」(アマチュアとしては、これはこれで素晴らしいのですが)レベルに、写真が落ち着いてしまうからです。

「我こそは!」と思う方は、「どう自分だけの切り口で攻めるか」を考えながら、撮影に挑戦してみてはいかがでしょうか?

***

使ってみての正直な感想は、GRというより、どちらかといえば、「GXR+28mm」のレンズ交換不要なカメラという感じかな……。
この点、「GR5」としなかった会社は鋭い、と思います。確かにこれは、今までのGRとは別物の印象です。

ただ、GRは、4であまりに完成されすぎていたので、これをそのままのコンセプトで進化させるのは大変だとも思いました。そこに挑戦したのはすごいと思います。

僕としては、ここまできたなら「新型GXRでフルサイズが でるといいな」と期待。「PENTAX-RICOHなら できる!」という楽しみな未来を感じています。
GXRと比較してみたり、GRシリーズの進化への過程を味わう楽しみも、ワインの熟成を比べるような、大人のカメラ好きの楽しみ方だと思います。


レンズの出っ張りは,GR4より少ないのはうれしい 。

今日の1枚 by Ryu

外房大原の海岸、綺麗な砂浜に打ち寄せる波を撮影!
波が引いたあとの一瞬が美しい。

撮影日:2013年6月4日 晴れ
撮影カメラ:
レンズ:
データ:ISO200 F7.1 1/2000秒

PENTAX A RICOH の GR スペック

外形、寸法:117.0×61.0x34.7mm
重さ:約245g(電池、メモリーカード含む)

有効画素数:1620万画素
撮像素子:23.7mmx15.7mm COMS
総画素数:1690万画素
画像ファイル形式:静止画JPEG(Exif2.3)準拠、RAW(DNG)
動画:MPEG-4 AVC/H.264
感度:AUTO/AUTO-HI/マニュアルISO100~25000
焦点距離:18.3mm(35mm換算28mm相当)
画像モニタ−:123万ドット 3.0型
フォーカス:0.1m~無限
シャッタースピードv1/4000秒~300秒 バルブ タイム