『Cabbages & Roses』
クリスティーナさんが描く世界。

(2011.12.05)

イギリスと日本で愛される『Cabbages & Roses(キャベジズ アンド ローゼズ)』。


ロンドンの『Cabbages & Roses』が、スタイリストさんなどの早耳さんたちの間で話題になり始めたのは今から7、8年ほど前。できて間もないお店のオリジナルのファブリックや布小物たちは、訪れる日本人をとりこにし続け、今年春には日本1号店が代官山に、つい先日「ルミネ有楽町」に2号店ができました。

現在、お店はイギリスと東京だけで展開しています。オーナーのクリスティーナさんの持っている、ひと昔前のイギリス映画に出てきそうな布小物の魅力に、すっかりとりこになってしまうのは、イギリス人と日本人が共通で持つ独特の感性なのかもしれません。

「色あせた花柄の布」が大好きだというクリスティーナさん。もとスタイリストというだけあって、デザインワークだけでなく、その空間作りのセンスは卓越したものがあります。ファンシーではないかわいさ。ラブリーだけど甘すぎず、特定の白、特定の青、特定のピンクとセレクトの境界線が素晴らしく、誰にも真似できない世界感を作り出しています。

そんなクリスティーナさんに、来日を機にいろいろとお話を聞きました。

Christina Strutt(クリスティーナ・ストラット)さん、「ルミネ有楽町」のショップにて
どのように『Cabbages & Roses』は誕生したのですか?

『Cabbages & Roses』は、11年前、サマーセットにある自宅の納屋で誕生しました。そのとき一緒に始めた親友のブリジット・ブキャナンは、わたしと同じテイストを持っていて、とても大きな力になってくれたのです。

ブリジットとわたしはガーデニングが大好き。わたしはつぼみのキャベツがかわいいと思い、彼女はバラが好き。わたしたちの好きな2つの植物の名前を合わせるととってもしっくりきたので『キャベジズ&ローゼズ』と名付けました。オープンから1年後に彼女が去ったあとは、続けるのにかなりの勇気が必要でした。

わたしは「色あせた花柄」がずっと大好きだったのですが、アンティークマーケットや小さなお店でしか見つからないことが多く、さらに同じテイストのお洋服を探すのはもっとたいへん。好みの服が見つからなくて、ワードローブを満たすことがとっても難しかったのです。だったら、自分で好きなものを作ろう! 「きっと同じことを感じている人も多いんじゃないかしら」と思ったのです。

また、スタイリスト&インテリアデコレーターという仕事を持つ以上、ふたりの子どもたちを置いて働かなければいけないことも多く、もっと「フレキシブルで、“クリエイティブ”」な仕事がしたかったということもあります。

このふたつの理由から『Cabbages & Roses』を始めることになりました。

『Cabbages & Roses』では実際に色あせた花柄は扱っていませんが、ヴィンテージのファブリックの風合いを持つ「ビーズ」と「ハトリー」など、ずっと作り続けている花柄のファブリックがあります。ふたつは10年前からずっと人気のプリントで、今では”クラシック”と言ってもいいくらいです。

わたしは、古いものが持つ風合いが昔から大好き。色あせた布が持つ優しさや美しさは、わかるかわからないくらいの繊細なものだけれど、部屋の雰囲気を大きく変える力を持っています。またハートリーには、モダンとクラシックを併せ持つエレガントな強さがあり、わたしたちの布の中で一番美しいと思います。

アンティークのフレンチソファと『Cabbages & Roses』のクッション。3インチストライプ、フレンチ・トワル、ハトリー(3" stripe, French Toille and hatley)
クリスティーナの寝室のデスク。カーテンは「コンスタンス(constance)」ラズベリー色


好きなテイストと影響を受けたことは?

わたしはクラシックな英国スタイルが大好き。中でもジョージアン・スタイルの建築は格別。そして、カントリーライフとつながるすべてのことが好き。洋服、ツイード、織り物、ガーデン、冬の心地の良さと夏の美しさなど……。そして、服も家具も布もヴィンテージスタイル、イギリスの食べ物もお店も家も、クラシックなスタイルも全部好きです。

影響を受けた人もたくさんいます。ひとり上げるなら、ドーバーストリートマーケットのとってもすてきなお店『Egg』のデザイナー、モーリーン・ドハーティ。イッセイミヤケと一緒に仕事をしていたこともある人で、いろいろなデザイナーに影響を与えていると思います。

また昔の衣装からもたくさん影響を受けています。サンデイタイムスの記者がキャベジズ&ローゼズを着ると映画の中にいるみたいと言ったことを聞いて、うれしいと思いました。ジェーン・カンピオン『ブライトスター』や1970年『The railway children』のような古き良き時代を描いている映画が大好きだから。

このようないろいろな“好き”をすべて凝縮したのが『Cabbages & Roses』です。

『Cabbages & Roses』は、いまや私の家族であり友人。人生そのものとも言えるかもしれない。ブランド自身が独自の人柄を持っているかのようなの。できればこのまますくすくと成長して、やがては娘のケイトの手に委ねられるようになればいいなと思っています。

クリスティーナの家のなかのアトリエ。
クリスティーナのベッドサイドテーブル。


これからの『Cabbages & Roses』のことを教えて。

じつは洋服のコレクションは数を減らすつもり。そしてホームコレクションをもっともっと充実させたいのです。それからイギリスと日本に、もっとお店をオープンさせたいわ。できたら、アメリカ東海岸の小さな街Sag Harbor(サグハーバー)にもお店を持ちたいの。そうすれば、夏休みをそこで過ごせるかもしれないから(笑)。

もいひとつ、最近よく考えているのが「地球のこと」。環境のことを考えるのは、とても大切だと強く思うようになっています。だからよりサステイナブルでエコ・フレンドリーな生き方を提案してきたいのです。私自身がその一例となって、地球温暖化を食い止めるためにみんなができることを少しずつ実行していこうと呼びかけたいのです。

『Guide to Natural Housekeeping』という本もリリースされましたが、まだまだたくさんすることがあると思っています。

庭にあるツリーハウス
プールサイドの椅子には、「ハトリー」のクッション


Favourites

 

好きなキーワードは?

心地よさ、見て美しいこと、クラシックもしくはあまりモダンでないこと、コージー、新鮮、ゆるゆるしていること、色、人間味、奇抜さ、少しだけ違っていること、ひねりの利いた伝統

好きな本は?

アマンダ・フォアマンの「Georgiana, Duchess of Devonshire」
「ミットフォード・シスターズ」に関するすべての伝記

好きな映画は?

『The Railway Children』
『ジェーン・エア』
『アニー・ホール』
『I capture the Castle』(日本未公開) など

好きな花と木は?

白とピンクのオールドローズ、カンパニュラ、牡丹、アイリス、アネモネ、水仙。植えたばかりの木、オーク、桜の木、米松。

好きなデザイナーは?

家具 古いもの
ファブリック  Colefax & Fowler
プロダクト Odd limitedの製品など
もちろん、わたしの作ったもの ;)

フェイバリットフードは?

子どものころから食べている昔ながらの食べ物。
シェファードパイ、チキンパイ、ステーキパイ、プディング! そしてチョコレート!!!
 

最後にクリスティーナさんから日本のみなさんへメッセージ。

日本のお客さんとパートナーに、心からのお礼を言いたいです。東京店の話しが出るまで、日本に行ったことがなくてどんなところかまったく知らなかったのだけど、来てみればなんて素敵な人たちと街なんだろうと驚きました。

こんなにも『Cabbages & Roses』を愛してくれている人がたくさんいる街はほかに見たことがなく、本当に幸せです。これから、よりもっとお互いを深く知れたらいいなと思っています。

CABBAGES & ROSES(キャベジズ アンド ローゼズ)
ルミネ有楽町店

住所:東京都千代田区有楽町2-5-1
ルミネ有楽町店 ルミネ1 6F
Tel:03-6268-0530
営業時間:11:00〜21:00 不定休