今年の夏はポロシャツ復権がめざましい。モード界で相次いで打ち出された上、節電で強化された控えめ冷房がポロ人気を呼び覚ましました。見慣れたスタンダードアイテムだけに、質感とディテールがスタイリングを左右しそう。オーセンティック（正統派）なテイストに信頼が厚い「Brooks Brothers（ブルックス ブラザーズ）」はこの夏、無地だけでも40色ものメンズポロをそろえて、大人にふさわしいポロスタイルを提案しています。

ゴルフやテニスのイメージが強いポロ。同じ半袖でも、衿がある分、Ｔシャツよりきちんと感があり、スポーツシーン以外でも出番が多い、使い勝手に優れたトップスです。ミドルエイジが好んでオフに着ることから、おじさんルックの典型とも見られがちですが、実は若々しく仕上げやすいアイテム。うまく手なずければ、スポーティーなはつらつルックの主役に据えることができます。つまり、ポロをおしゃれに着こなすには、品選びの目利きとちょっとした着こなしアイデアが欠かせないのです。

日本の夏のお約束となったクールビズ。節電モードの今年はさらに一歩進んで、ポロを認める中央官庁まで現れ、カジュアルデー以外にもポロが活躍してくれそう。でも、だからこそ会社に着て行ってもおかしくない、仕立てのしっかりしたポロを選びたいもの。生地のクオリティーが一目で分かりやすいポロは素材が悪いと、洗いを重ねるうちにペラペラになってしまいやすい。逆に、優れた品は次第と風合いが増し、愛着も生まれます。

これまではポロをワードローブに持っていなかった人でさえ、今年は着てみようかという気を起こすほど、ポロはオントレンドの存在になってきています。既に街ではポロ率がアップする状況に。ただ、ポロ着用者が増えれば増えるほど、他人と同じようなスタイリングを避けたくなります。その意味でもこの夏はポロの着こなしテクニックを磨く価値がありそうです。

今年の『Brooks Brothers』夏カタログを見ると、比較的若い男性モデルがカラフルなポロをさっそうと着こなしてる姿に目を奪われます。とりわけ、ショーツとのコーディネートがフレッシュ。サマーシーズンに似合う、躍動感あるポロルックが提案されていて、真似したい気分に誘われます。こういうヒントを手がかりに、ショップでスタッフに相談すれば、きっと自分に合ったポロスタイルをアドバイスしてもらえるはずです。

『Brooks Brothers』がここまでポロをプッシュするのは、実は今回が初めてなのだとか。そこで、この夏のポロの着こなしを、ブルックス ブラザーズ ジャパン社の商品部で企画MDメンズを長年ご担当の大平洋一さんからうかがいました。『Brooks Brothers』の最新ポロの魅力、スタイリングのコツなど、ファンならずとも興味深いお話がいっぱいです。

－－この夏の『Brooks Brothers』のポロラインは充実ぶりが際立っています。

サマーシーズンのキーアイテムはポロシャツとショーツです。例えば、メンズのポロは40色を用意しました。いろいろなカラーを取っ替え引っ替えして、自在に着こなしを楽しんでいただける豊富な品ぞろえです。

『Brooks Brothers』がこれほど多数の色数を出すのは、極めて珍しいことと言えます。白、黒、ネイビーなどのベーシックカラー９色はレギュラーフィットで用意しました。ファッションカラーの31色は、少し細くて着丈も短いスリムフィット。シルエットと色を組み合わせて選んでいただけます。

実はブランドの品質と信頼を表すシンボル「ゴールデンフリース（リボンで吊るされた子羊のロゴ）」の色も変えています。ポロの地色とうまく響き合うようにカラーリングされているので、さらに色で遊べるデザインです。

－－ショーツの色も選択肢が豊富です。

無地ショーツも10色という初めての多色ラインアップで展開しています。ガーメントダイ（後染め）でさわやかな色を出しました。シアサッカー（波状の凹凸がある縞織物）を裏地に使って染めています。

ショーツとバミューダショーツの２種類が選べます。本当に魅力的な色がそろっているから、ポロシャツとのコンビネーションもきれいに決まるはず。色展開がここまで多いのは、今シーズンならではの取り組みです。

－－ポロに似た「ラグビーシャツ」があります。

ポロシャツとは別に、ラグビーシャツもラインアップされています。『Brooks Brothers』はシャツのバリエーションが多いんです。ラグビーシャツはポロシャツではなく、ラグビーのユニフォームを半袖にしたウェア。ポロよりも素材が丈夫で、しっかりとした造りです。ボタンがラバー。スポーティーで若いイメージが出るアイテムですね。

ラガーのユニフォームを連想させるラグビーストライプはスポーティーなたたずまいで人気があります。ポロシャツも英国発祥の馬上競技「ポロ」から始まっているので、スポーツに縁が深いアイテムです。ボタンダウンのシャツを『Brooks Brothers』ではポロカラーシャツと呼びますが、これもポロ競技に起源があります。『Brooks Brothers』にはゴルフ用のシャツも用意されていて、スポーティーな装いのシャツ類にはかなりたくさんの選択肢があるんです。

－－ポロとパンツの合わせ方のポイントは？

チノパンとショーツがポロと相性のよい２大ボトムでしょう。オフスタイルの場合、直感的にジーンズで合わせる人が多いのですが、ポロ＋ジーンズはおしゃれに着こなすのが結構難しい組み合わせです。ジーンズで合わせるなら、裾をロールアップして短くして、全体のバランスを整えると、ポロが生きてきます。

ジーンズで裾ロールアップの時、ウエストインはバランスが難しいので、ポロ裾は出して着た方が無難でしょう。でも、ウエストインしてベルトをアクセサリーのように使う上級者コーデもあります。リボンベルトを巻くと、おしゃれなカジュアル感が出ます。足元は素足にスニーカーかデッキシューズが似合います。

ポロは見慣れたアイテムだけに、コーデに新鮮さが求められます。股上が深くないノータックのパンツに合わせたり、太めの２タックパンツにインすると、妙におじさん臭くなるので、避けたいところです。「ポロシャツ＝おとうさん」のイメージが強いので、そこから遠ざかるスタイリングを意識しましょう。

－－ハーフパンツ（ショーツ）はポロとよく合うようですね。

ハーフパンツでポロで合わせるには、ベルトをアクセサリーのように使うとオシャレな仕上がりになります。パンツの色が入っているベルトを選ぶと、うまくなじみます。パンツとポロの相反する色を合わせるバイカラーがはやっているので、そういった合わせもいいですが、少し上級者のテクニックです。

初心者はポロとパンツで色の強弱をつけるコーデがおすすめ。ポロがベーシック色なら、パンツはくっきり色、逆にポロがくっきり色だったらパンツはベーシックな色という合わせ方がまとまりやすいですね。例えば、オレンジのパンツの場合、ポロは白やイエロー、淡いグリーンが合います。逆に、薄いブルーのパンツにはネイビーのポロを合わせるような感じです。

－－大平さんご自身のポロスタイルを教えてください。

ポロシャツを着るときは、ショーツと合わせるのが好きですね。靴は素足でスニーカーやデッキシューズ。裾は出します。ただ、丈の長いポロの場合は出せません。ポロは着丈が大事だとつくづく思います。インする場合は見せたいベルトを選びます。

襟は立てません。ゴルファーで襟を立てている人が結構いますが、ポロの襟は基本的に立てない方が様になると思います。

ポロの前ボタンを留めると、カジュアル感を抑えられます。ショーツにウエストインして、首ボタンも上まで全部留めると、きちんと感ある着こなしに。ボタンを開けた場合はアウトドアっぽいラフなムードが出ます。

個人的には今年はグリーン系に興味を感じています。ジェイド（ひすい色）が今年らしい色。グリーンのポロシャツの場合はジーンズよりチノパンで合わせた方がかっこよくまとまる気がします。昔からパープルやブラウンも好きです。