村上由のフーディーズ・ナウ - 1 –  日本料理が世界を変える! 2010年米国CIAで行われる国際会議、テーマは「日本の味と文化」?

(2010.02.05)

アメリカ中央情報局(CIA)の国際会議? テーマが「日本の味と文化」……な訳がありません。ここで言うCIAとは、アメリカは、カリフォルニア州ナパにある料理大学、The Culinary Institute of Americaのこと。同校で毎年11月の3日間に亘り開催されている料理会議の今年のテーマが日本の食文化なのです。

先日、そのイベント発表の記者会見が、ホテル西洋銀座にて、開催されました。

ホテル西洋銀座で開催されたThe Culinary Institute of Americaのイベント。

前章戦として日本チームが参加した2007年に吉兆の徳岡さん瓢亭の高橋さんや三國さんやデザイナーの岡部さんと共にイベントに同行させて頂いて以来、事務局のサポートをさせて頂いている。13回目の開催となるこの国際料理会議、アメリカでは大変な人気で、世界の料理人、料理研究家、食のジャーナリストなど約700人がシンポジウムや講座を受講したいと10ヶ月前にチケットを購入して参加する。これまでひとつの国にフォーカスされて開催されるのは、06年のスペイン以来のこと。日本の食文化は、世界の注目の的なのだ。

正式には、昨年4月に実行委員会が組織された。この日、記者会見には、CIAプロジェクトディレクターのグレッグ・ドレッシャーをはじめ、日本側からは、事務局長として、力石寛夫(トーマスアンドチカライシ社長)村田吉弘氏(菊乃井)、徳岡邦夫氏(京都吉兆)、三國清三氏(オテルドミクニ)、中村隆晴氏(キッコーマン執行役員)、青木時男氏(マルコメ社長)の5人が出席。

米国では近年、アジア料理の中でも、特に日本食への感心が高まっている。サンフランシスコのオーガニックマーケットに行くと、日本の胡瓜や茄子や大根が並び、デリショップでは、ひじきのサラダやガンモステーキ、ペットボトルの日本茶が人気。一般家庭やビジネスマンのランチで日本の食材が取り入れられている。一番驚いたのは、サンフランシスコ(以下SF)で人気だというジャズライブ『Yoshi’s』に行ったときSFFでは、少し前から生姜や柚子、日本酒が上手にメニューに取り入れられているお洒落なカフェやレストランは沢山あるけれど、ライブハウスのフードメニューが寿司で、バーのミクソロジストが作るおすすめカクテルは、全て日本酒ベースだったこと。客は皆箸で寿司をつまみながらジャズを聞く。ライブの途中に「今夜は、うまい寿司と僕たちの音楽を存分に楽しんでくれ」なんてマイクが入る。友人とのフツウの会話でアメリカ人から「最近炊飯器買ったんだけど、美味しくお米を炊くコツって何?」なんて聞かれたりする。
 

CIAはカリフォルニア州ナパにある料理大学。
今や日本料理は大人気。

日本料理が低カロリーやダイエット食にイイとされて人気になったのは、事実だけれど、今本物の日本料理文化を知りたいという知識欲は、アメリカ人のジャーナリストや料理家の間でヒートアップしているのだ。
だからこそ、日本人の我々がきちんと日本食文化を海外に伝える。これまで欧米のスタイルや食文化を真似ばかりしてきた日本。今こそ日本の文化を世界に誇れる時。醤油や味噌などの発酵食品は、欧米人の深刻な成人病対策にも一役買う時代なのだ。

2010年のこのイベント、名前を連ねている日本の食文化を率いるトップの方々以外に、日本を代表する料理人約50名を選抜し参加するという。日本の料理人が世界を変える。その瞬間をちゃんとこの目で見なければ。