from ニュージーランド 北島 - 5 - ニュージーランドの先住民族マオリ。

(2009.07.21)

映画 『鯨の島の少女』や『ワンス・ウォリアーズ』でも紹介されたニュージーランドの先住民族マオリ。今回はその歴史や文化について少し触れてみたいと思います。

マオリ族の正式な挨拶はこのように鼻と鼻の先を合わせる「ホンギ」です。

2006年の国勢調査によるとマオリ族は総人口の15%を占めています。でも、本当にマオリっぽい人からほとんど白人のような人までさまざまです。現在は公用語になっているマオリ語も実際は話せる人はそれほどいません。

マオリの船「ワカ」。
マオリ族の集会所「マラエ」。マオリの人々は土地に属し、マラエに属します。

ニュージーランドにマオリ族の祖先であるポリネシア開拓者たちが独特のカヌー、「ワカ」に乗って渡ってきたのは9世紀頃のことです。その後、1642年にオランダ人のエイベル・タズマンがヨーロッパ人として最初にニュージーランドを発見し、そのおよそ100年後にジェームズ・クックが再発見しました。白人が移住し始めたのはその頃からです。イギリス人とマオリ族の間でワイタンギ条約が締結されたのは1840年の2月6日のことでした。たった3つの条項からなる条約ですが、現在もその解釈を巡ってさまざまな言い争いが繰り広げられています。

マオリの人々がとても誇りにしているのは自分が所属する「マラエ(集会所)」です。の入り口の模様は、文字を持たなかったマオリ族の人たちが自分たちの種族の歴史を語らせるためのものだそうです。大地の神、空の神、海の神など、マラエの周囲には神々が存在するのだそうで、日本人の神道と似ているのかも知れません。

マラエの中
「モコ」と呼ばれる独特の入墨。

マラエに行く時には必ず事前に連絡を入れ、顔にマオリの入墨「モコ」がある男性に正式に招待されてからでないと入れないそうです。今年の2月に通訳の仕事をした時、お客様をぜひマラエにご案内したくて何度も連絡を取ろうとしたのですができず、行き当たりばったり行ったらそう言われました。でも、最初に会ったお姉ちゃんは、「今、係りの人を呼んでくるからそれまで自由に写真を撮ったり見たりしていて」と言っていたので人によって違うのでしょうか。(顔のモコが原因で就職できないのは差別だと言う人もいますが、初めて見た人にはかなりのインパクトです。)

「向こうはお父さんのマラエ。こっちのマラエはお母さんのマラエ」とあるマオリの女性が説明してくれましたが、1カ所にだけ所属するのではないようです。

マオリのダンス「カハパカ」。
ポイのダンス。

ニュージーランドでは学校に「ファレ」と呼ばれるマオリ族の教育をするための特別な教室が設置されています。そこでは、伝統舞踊のカパハカも指導されています。下の写真の白い丸玉に糸がついたものは「ポイ」と呼ばれ、娘たちがスーパーの三角袋を丸めていくつも作っていました。

(私がマオリの踊りを初めて見たのはこのポイの踊りでした。しかも、場所は『フラガール』で一躍有名になった福島県いわき市の「スパリゾート・ハワイアンズ」でしたけどね。)
 

友情の印のネックレス。今年の初めにいただきました。

これは仕事で会ったおじさんにいただいたマオリの友情の印のグリーンストーンでできたネックレスです。自分で買ったのでは効果がないそうで、だれかに買ってもらうのが本当なんだそう。マオリのアクセサリーには一つひとつ意味があるのだそうです。買うときに意味を聞いてみるのもおもしろいかも知れませんね。

マオリの歌や踊りではロトルアのタマキ・マオリビレッジが有名ですが、ノースランドにも現在、ウェルスフォードの北、テハナにマオリビレッジを建設中です。宿泊などもできるようになるそうですのでお楽しみに!