from 山梨 – 13 - ラグビーを楽しむ その4:年末年始はラグビー-高校ラグビーと大学ラグビー。

(2011.01.22)

1月8日、第90回全国高校ラグビー大会が神奈川代表の桐蔭学園高等学校と福岡代表の東福岡高等学校の両校優勝という形で、またその翌日1月9日には、第47回大学ラグビーフットボール大会が帝京大学の優勝、早稲田大学の準優勝で、それぞれシーズンの幕を閉じました。

ここ数年、毎年1月2日には大学ラグビーの準決勝を観戦しに国立競技場へ出かけていますが、年々スタンド席が賑わってきているように感じます。

今年の準決勝は、第一試合が帝京大学vs東海大学、第二試合が早稲田大学vs明治大学の試合でした。
私がラグビーに興味も関心もなかった1982年、大学ラグビー関東対抗戦の早稲田大学vs明治大学の試合で、国立競技場の観客動員記録となる66,999人を記録したんだそうです。
消防法の適用により国立競技場の収容人員が50,399人になった今となっては、更新不可能な記録です。

さて、今年の高校ラグビーの「両校優勝」。
ラグビーには、引き分けで終わる試合が普通に存在します。
少し前になりますが、私の身近なところで第87回全国高校ラグビー大会山梨県予選決勝の日川高校vs桂高校の試合が0-0のままノーサイドとなり、花園へ行くチームは抽選で決められました。
時間一杯、全力で陣取り合戦をやったけれども相手よりも多く陣地を取る事ができなかった、つまり「勝てなかった」というのが両チームが共に出した結果です。
だから、トーナメント形式の大会で駒を進めるチームを決める必要がある時以外には、例えばサッカーのPK戦のような形で決める勝敗は意味がない事のように私には思えます。

(とはいえ、ラグビーは全ての大会に「両チーム優勝」が適用されるのかというとそうではなく、最近の大きな試合では2003年のラグビーワールドカップ決勝戦、イングランドvsオーストラリアの試合が延長戦になりました)

試合後に桐蔭学園高等学校のキャプテンのインタビュー映像を、そして後日、地元に帰って全校生徒に大会報告をする東福岡高等学校ラグビー部の選手たちの様子をニュース映像で見て、周囲が考えている以上に選手自身が「勝てなかった」という事実をしっかり受け止めている(受け止めようとしている)なあと思うと同時に、この大会は全ての選手に「勝てなかった悔しさ」を与えた大会なのだなと改めて思いました。

第90回全国高校ラグビー大会山梨県予選決勝 日川高等学校×甲府工業高等学校
(2010.11.14 南アルプス市御勅使南公園ラグビー場)

山梨県では年に2回ほどラグビートップリーグの試合が開催されていて、その時には地元クラブチームのメンバーが会場のお手伝いをしています。
あるトップリーグの試合中、「只今のプレー、危険なタックルのため~」という場内アナウンスが入った時の事。
会場のお手伝いをしてたラグビー部員が、売店のおばさんから「危険なタックルってどういうタックル?」と聞かれたんだそうです。

その場に数名いたラグビー部員は身振り手振りで「こんな感じで、肩から上に入るタックルです」と説明したらしいのですが、おばさんの深層にわいた疑問は「危険じゃないタックルというものが存在するのか?」って事だったんじゃないのかなと思うのですね。
ボールを抱えて猛ダッシュしている、例えば180cm・90kgの足元に突っ込んでいくという行為が危険じゃなくて、何が危険なのかと。

売店のおばさんに代わってその疑問をラグビー部員に投げかけてみたところ、「(味方が)来てると思うからタックルに行ける。誰も(味方が)来ないと思ったらタックルになんか行きたくないし、行けない」という返事が返ってきました。

仲間を信じて行動することと、仲間からの信頼を裏切らない行動をすること。
どうやらこれが、ラグビーが教えてくれる「信頼」というもののようです。
「信じている」とか「信じて欲しい」とか、言葉にするのは簡単です。
けれど、行動が伴わなければ決して人から信じてはもらえないものです。

高校生の頃というのは、心も身体も猛スピードで日々変化し成長していく時期。
そして、同じチームは1年間しか続かない。
最近高校ラグビーが面白くて仕方ないと思うのは、そんな彼らのラグビーを見る楽しみを覚えたからなのかもしれないなと、年末は忙しくてゆっくり見ることのできなかった第90回全国高校ラグビー大会の再放送を見ながら思うのです。