らくだに乗ってどこまでも。エジプト・カイロに行ってきました。

(2010.01.04)

観光編

古代からナイルを中心に文明が栄えてきたエジプト。現代では、ピラミッドや神殿などの過去の遺産を目的に世界中から人々が集まる世界有数の観光地です。

スフィンクスとピラミッド。

ところが、こちらの観光地、穏やかな気持ちでのんびり構えていると、大阪商人真っ青の商人魂を有するエジプト人たちとは渡り合えません。ここでは、エジプト観光のハードな側面を中心にお伝えしたいと思います。 神殿などがたくさんあるのは、アブシンベルやルクソール。でも、もっとも有名なクフ王のピラミッドはじめとした3つのピラミッドとスフィンクスがあるのは、カイロの市内から車で30分あまりの街「ギザ」。カイロ空港からギザまでは、舗装された高速道路を通って向かいます。 さて、エジプトの交通事情がスリリング。道路に引かれている車線を気にするドライバーは皆無といっても過言ではありません。隙間が少しでもあると突っ込み、まるで磁石が反発するかのように、ギリギリの距離感で車同士がすり抜けながら疾走します。「ここで死ぬかも」と、覚悟を決めるほどのスピードでの競り合いを余裕でこなし、「僕はエジプトのシューマッハさ!」と明るく言い放つ運転手。心臓の弱い方は要注意です。

カイロ空港からギザまでは、高速道路で。
スリル満点、エジプトの道路。
走る車に突然張り付き、移動する通行人も。

さて、ギザの街はピラミッドを始点にホテルがずらりと並ぶ宿泊エリアが広がります。一番近いホテルからはピラミッドまで歩いて10分ほど。遠いホテルだと、車での送迎となります。今回滞在したホテル「ソフィテル・スフィンクス」からは車で約10分。どのホテルも、窓の外にはピラミッド。不思議な光景です。

ホテル
ホテルからの景色

ピラミッドエリアに入るとまずはエントランスがあり、チケットを購入し、ボディチェックを受けます。ゲートをくぐると、そこには、憧れのピラミッドが!
出てくる言葉はただ一言、「大きい!!」。

クフ王のピラミッド。
ピラミッドのふもと。

一つ一つの石の大きさが1メートル以上もある巨大な建造物。数千年も昔にどうやって運んで、積み重ねたのか……。不思議な気持ちと感動に包まれます。
ピラミッドの周囲にはたくさんの観光客に混ざって、お土産売り、ラクダ、馬車の勧誘など雑多な人の群れが。ここで気をつけなくてはならないのが、近寄ってくるラクダ屋たち。ちょっと隙を見せると「No problem!」と言いながら、強引にラクダに乗せた挙句、ニコニコしながらカメラを奪い、あっちに立て、こっちに立て、もう少し左・・・などとピラミッドをバックにしたベストアングルでの写真撮影をしてくれたりします。「……もしかして、いい人?」
そう思った途端に「マネー、プリーズ」と手を伸ばしてくる彼ら。
「いやいや、頼んでないし」と追い払おうとしても、「ラクダに乗っただろう!」とすごんできます。その後のしつこさと言ったら、見上げた根性です。ちなみに、この手口、馬車に乗ってもすべて同じ。いらないものは断固拒否しないと大変です。エジプトの「No problem」は問題だらけです。

ピラミッドエリアのラクダ屋。
ラクダ。英語で「キャメル」で通じます。エジプトはほとんどの人が観光向けの英語をしゃべれます。
強引にラクダに乗せられ拉致られ状態の加藤。

ただし、彼らはピラミッドエリアを知り尽くしているため、写真はどれもベストアングル。素敵な写真代だと思ってお支払いしてみてもいいかもしれませんね。

さて、ピラミッド。 3つあるピラミッドのなかでも一番大きく、世界一大きな建造物としても有名なクフ王のピラミッドは、現在、内部の保存のために入場制限が行われています。1日300人という制限人数は、午前中でほぼ埋まってしまいますので、クフ王ピラミッド狙いの方は朝一番で行きましょう。

メンカウラー王のピラミッドはチケットさえ買えばいつでも入れます。 規模はクフ王に比べるとかなり小ぶりながら、通路の狭さ、階段のアップダウンなどは、クフ王のピラミッドよりもハードで、まるで財宝を盗みに進入した盗賊にでもなったかのような気分を味わえます。ただし、閉所恐怖症の方や心臓に自信のない方にはオススメできませんので、そういった場合は、屋外でのんびり観覧できるスフィンクスがオススメ。

スフィンクスからみて右手にはカフェがあるので、そこで座って休むことができますし、更には真正面にケン○ッキーフライド○キンとピザ○ットがありますので、おくつろぎいただけます。

スフィンクス前のカフェ。
ナイトショーの会場。

ちなみに、ピラミッドとスフィンクスは夕方にはいったん閉鎖、夜になると有料の光のショーがあります。空席さえあれば、当日でも宿泊先のホテルなどで予約可能です。

サンセットをバックにピラミッドやスフィンクスをゆっくり眺めたい方には、ラクダでの砂漠ツアーがオススメ。

夕暮れのスフィンクス。

ホテルでの手配のほか、ピラミッドエリア周辺の客引きたちと直接交渉も可能ですが、あくまで値段交渉は気をつけましょう。一人3000円~5000円ほどで1時間余りのツアーが相場だそうですが、高いものでは、一人10000円以上と提示される場合もあります。

街のラクダ屋1。1時間ツアーは一人あたり150エジプトポンドくらいです。
街のラクダ屋2。馬とラクダ、選択可能です。

このラクダツアーでは、砂漠についたところで若干の自由時間がありますが、少年たちがジュースのボトルを籠いっぱいに持って待ち構えています。何も断りなしに手に押し付けてくるそのボトルを手にしたら最後、お金を請求されますので、ご注意を。
ちなみに、帰りのラクダに揺られながらも「来週にはいとこの結婚式が……」「僕の家には家族がいっぱいで……」などとお涙頂戴の身の上話や、無邪気なフリした小さな子供が「僕の案内は満足した?もしそうならチップをちょうだい」と何度も何度も懇願してきます。もちろん、サービスに満足した場合は気持ちよく支払ってあげましょう。そうでない場合は、払うか、払わないかの根競べ。エジプト観光の残念な面は、こうした押し付けの強さにあるような気がします。
もしかしたら、外人に対してだけなのかもしれませんが、エジプトでは、定価という観念があまり流通していないので、タクシーに乗るのも、お買い物をするのもすべてが交渉。

自分の交渉力によって、割高にも割安にもなり得ますので根性とねばりが肝心。
ですが、結果的に「ぼったくられた!」としても、いいじゃないですか。
その微妙なバランスを楽しむのも旅の醍醐味。 古代からそびえたつ雄大な建造物が、どーんと迎えてくれるのですから、ぜひとも心の余裕を持ち、駆け引きを楽しむことも、日常とは違う世界での自分の実力試しと思って楽しんでくださいね。

次回はエジプトの一大イベント「ファラオラリー」についてお伝えしたいと思います。

エジプト~根性と忍耐と感動と ラリー編へ続く。

真横からのスフィンクス。

筆者プロフィール

加藤紫織(かとう・しおり)

(株)アルーナ PR&マーケティング。
証券会社法人営業、雑誌広告営業、雑誌編集と異業種転職を繰り返し、2009年よりPRの世界へ。15歳からフランスにある高校で寮生活を送ったことがきっかけで、2度のフランス住まいを経験し、これまでに旅した国は30カ国以上。趣味は食、旅、ドライブ、ショッピング、温泉。フランス在住時に通訳として参加したル・マン24時間レースを観戦して以来のモータースポーツファンでもある。愛車はいつもマニュアル車で、レーサー気分を満喫中。近頃はゴルフにハマり、月2~3回ラウンドしながらもまだ100を切れないのが目下の悩み。
マガジンハウスプレスルームほか、アルーナブログでもニュース発信中。