from パリ(田中) – 25 - 秋晴れの週末、シャルトルまで遠足。
(2009.10.19)![]() |
こういう壮大な建築物を前にすると、言葉を失います。前庭にはペチュニアやブルーセージが咲き乱れていた。 |
10月になって、パリにも秋の長雨があるのか?と思わせるようなスッキリしない天気が続く。そんな週末、テレビの天気予報に久しぶりの晴れマークが出現した。フランスの天気は日本のように西から東へと規則的に気圧が移動するわけではないようだ。南のピレネー山脈や地中海、北の北海、西の大西洋、東のアルプスなどの影響で、かなり複雑な変り方をするようだ。それなのに、1週間先の天気まで確信をもって予報するのは、いったいどういう考えなんだろう、誰も信じてないと思うのだが。ともかく週末は晴れ予報だし、友人と久しぶりにシャルトルまで行くことにした。
ところが土曜日、朝食の用意をしていたら外は土砂降り。全くいい加減な予報だと思ったが、10時ころには急速に回復し、好天に好転の気配、メトロでモンパルナス駅へと向かう。用心のため、折り畳み傘をしのばせて。駅に着いて往復の乗車券を買ったら、なんと高齢者割引があった。うれしいな、フランス大好き。構内の分かりにくい表示板をなんとか読み取りながら、19番ホームへ向かう。2階建ての快適な電車はパリ市街をすぐに抜け、ずーっと平坦で単調な森や畑を突っ切ること一時間あまり、窓の外の風景にもいい加減飽きた頃にシャルトル駅に着く。改札を出てすぐ、緩やかに続く丘の頂きに特徴的な二つの尖塔を持つシャルトル大聖堂が目に入る。前回(15年前)来たのは冬晴れの風の強い日で、まるでスキー場のようだったが、この日は秋の風が肌に心地よい。天まで届きそうな聖堂は青い空によく似合う。
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現代の技術や文化は、中世を超えていないのではないか、なんて真面目に考察してしまいます。少なくとも世紀を超えて作り続ける情熱は、現代人にはない。 |
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いいですね、こういう坂道。下りだからいいのかなあ、帰り道は辛かった。 |
ところで、今回のシャルトルツアーは大聖堂の見学が目的ではない。町外れの墓地のそばにあるピカシェットの家を見るのが目的なのだ。大聖堂を右に曲がって、カフェや土産物屋が並んだ日本風に門前町と呼ぶのだろうか、ゆるく曲がった細い坂道をぐんぐん下りて行くと、こんなところにといった感じで緩い流れの川があった。古い石橋を渡り、川端の通りから坂の上を見上げると、どこからでも二つの尖塔と緑の屋根が見えて、町と教会が一体となった中世の風景そのままだ。
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町の家々の屋根が教会を支えるように連なり、教会の塔は天に続いている。中世という時代は、個人の自由とかもなく、暗く辛く単調だったのかも知れないが、現代が見失った目標みたいなものは明確だったのかも、なんて軽く言えるようなテーマではないけど。
私たちはグーグルの地図を見ながら、徒歩でピカシェットの家を目指す計画だが、イナバさん友人の事前調査情報によると、昼休みがあって午後は2時から開館するらしいし、腹が減っては道中も大変なので、川沿いのレストランへ直行する。ワインとコーヒーの付いた昼定食が20ユーロだったかな? 前菜はメリメロ? だったかな、いろいろうろ覚えだが初めて食べる不思議な味で、優しい酸味が美味しかった。メインは豚ほほ肉の煮込みアプリコットソース、結構なボリュームです、私には3分の2くらいが適量なんだけどなあ、団塊世代はいくつになっても出された料理を残せません。満腹になって、昼寝でもしたいところだが、我々にはピカシェットの家を調査探検する目的があったのでした。天気予報も当たって、絶好の行楽日和、いざピカシェットの家へ出発。でも、ピカシェットの家とは何ぞや?(次号に続く)
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坂を下りて、橋を渡った角のレストラン。古いです。フランス語のメニューはなかなか覚えられません。こんなことでは、いかんなあ。