from 金沢(早川)- 7 - 金沢の食文化と
加賀の伝統工芸を学ぶ。

(2011.08.12)

食文化をテーマの旅を企画し「いしかわファン」を増やしています。7月2日から4日まで『金沢の食文化と加賀の伝統工芸を学ぶツアー』を開催しました。このオリジナルツアーをご紹介しましょう。

食文化をテーマのオリジナルツアーをご紹介

一日目。
羽田空港から小松空港まで一時間弱のフライトで石川県に到着。小松空港からは高速バスで1時間ほど、金沢市内に入れます。大阪からはスーパー雷鳥で金沢駅まで2時間半弱。
 
ホテルに荷物を預けたら、金沢駅から徒歩15分ほどの、近江町市場に向かいました。新鮮な加賀野菜と、地物の魚を購入し、その食材を持って、大野港にあるヤマト醤油味噌の蔵見学に出かけました。

大野の醤油味噌の蔵見学、加賀の食材で料理体験。

蔵には「キッチンスタジオ」があり、蔵の味噌と醤油を用いて、料理を作ることができます。

麹室(こうじむろ)だった蔵を改築した「大正浪漫ホール」では、お味噌づくりについてビデオを見て学びました。

漆喰で塗られた白い壁と大きな円形のシャンデリア、 床には翌檜(アスナロ)の切り株が一面に敷き詰めてあるホールには、前社長が自ら輸入した、英国のパブ(バー)の大きなカウンターがあり、レトロなステンドグラスがとても印象的です。

山本晴一社長自らのご案内で、味噌蔵を見学しました。

衣類に付着したホコリを念入りに落として、髪の毛一本も落とさないようキャップをかぶり、しっかり手洗いします。蔵の中に入ると、麹の香りが鼻から体の中に沁み込みます。熟成した味噌の2種類を食べ比べて、味わいました。

キッチンスタジオでは、持参した食材を、ヤマト醤油や味噌を使って調理しました。

加賀野菜や地物の魚を「五感(聞くだけでなく、見たり、触れたり、香りを楽しんだり、味わったり)」で学んでもらう、充実したお昼を過ごしました。

加賀棒茶研修、九谷絵付けと茶屋遊び体験。

夕方、東山の「茶房一笑」を訪れ、加賀棒茶の講義と、お茶のテイスティングを楽しみました。

夜は長町武家屋敷にある、九谷焼 鏑木本舗にて、九谷焼の講義と、絵付けを体験しました。

その後、西茶屋街で茶屋遊びを体験。
芸妓さんへの「心遣い」などをしっかり予習してから出かけたので、芸妓さんたちは、感激していました。

加賀百万石の歴史と、21世紀の金沢。新感覚茶席体験。

二日目。
金沢市の中心、広坂・本多町には200年前の加賀百万石を誇る城の一部を復元した金沢城公園や、新しいタイプのインタラクティブ作品の展示が多い21世紀美術館など、見どころが集まっています。

中村記念美術館を抜け、美術の小道を登り、石川県立美術館へ。能登出身のパティシエ、辻口氏がプロデュースした「コンセプトG」の茶室で、おしゃれな玉露とスイーツのお茶会を体験したあと、かつての金沢城の外庭で、日本三大名園の一つ、「兼六園」を散策。兼六園の「兼六」は、庭園に欠かせない六つの要素「六勝」を兼ね備えていることによります。六勝とは、[宏大(こうだい)][幽邃(ゆうすい)][人力(じんりょく)][蒼古(そうこ)][水泉(すいせん)][眺望(ちょうぼう)]のこと。

静寂と奥深さ(幽邃)、兼六園。

兼六園は、広々とした庭園でありながら、静寂と奥深さ(幽邃)があります。庭はすべて人の手が加えられている(人力)にも関わらず、古びた趣(蒼古)があります。また、滝や池など(水泉)が存在すると遠くを眺めることができなくなりがちですが、兼六園には噴水や滝、池が沢山ありながら、金沢市内を眺めることができ、卯辰の方向にある「卯辰山」を拝むこともできるのです。

広い庭園のハイライトのみを散策したら、広坂出口から出て、フレンチの名店ポール・ボキューズが入っている石川県庁跡の「しいのき迎賓館」を通り、センスの良いスーヴェニアショップに立ち寄り、涼みます。


加賀の酒、世界一の寿司、日本一の朝食。

緑に映える赤レンガの建物は旧四高、現在は「石川四高記念文化交流館」。いつでも入れます。その後中央公園を抜け、町の繁華街、香林坊に到着。そこから15分ほどの「小松弥助」でお寿司を堪能しました。

小堀酒造の「萬歳楽 白山」3種を飲み比べ。大将森田さんがリズミカルに握るお寿司。ひとつひとつが伝統工芸である素晴らしい器。女将の富さんや気配りスタッフのおもてなし。そして何より森田さんとの粋な会話を楽しみました。

その後、山中温泉「かよう亭」に宿泊。ご亭主の上口昌徳さんに迎えていただき、夕食は地酒の「獅子の里」を堪能。夜、お宿のすぐ下を流れる鶴仙渓で、優雅に群れ遊ぶホタルを見ました。思い出深いひとときでした。

お宿の中にある古今亭サロンでは、女将がお抹茶をたててくれました。金沢のお茶席用の注文菓子のお店「吉はし」の季節感あふれる「葛やき」をいただきました。

弥助さんに無理を言って作ってもらったお土産寿司「弥次喜多」はお夜食に。
露天風呂で山中の新緑の香りを身体いっぱいに吸い込んで、ゆっくりのんびりお風呂をいただいた後、「日本一の朝食」を楽しみに、床に着きました。


自然のいやし山中温泉。食文化は器と共に。

最終日は山中漆器の千樹工房を見学。
栢野(かやの)の大杉では樹齢2300年の杉から、フェトンチットとエネルギーをもらいました。
大杉の向かいには、すぐに売り切れてします「うんまい」草だんご屋があります。

和食三昧の日々の後、気分を変えるなら、温泉街の「けんさん亭」がおすすめ。和食も洋食も美味しく楽しめるレストランです。またイタリア料理店やシチューのお店、おしゃれなチョコレートケーキのお店もあります。温泉卵や娘娘饅頭(「にゃあにゃあまんじゅう」と読みます)をお土産にするのもいいですね。

 
北陸に是非いらして、特別の旅を楽しみませんか。

お勧めホテル

●ホテル日航金沢
最上階の「ル・グランシャリオ」で夕焼けを愛でながらグラスを傾けるとロマンチック。

●ANAクラウンプラザホテル金沢
和食「雲海」にはゆっくり落ち着ける個室があり、利酒セットで金沢の日本酒を堪能。

●金沢白鳥路ホテル(温泉付)
ホテルの横、「白鳥路」の中ほどには金沢が世界に誇る三文豪の像(左から室生犀星、泉鏡花、徳田秋声)がある。緑をふきぬけるそよ風の中、散策はおすすめ。
 

■おすすめスポット

金沢の食

○近江町市場
江戸時代からの歴史を持つ。金沢市の中心部に位置し、主に生鮮食品などの食品と生活雑貨を扱う小売店が主体の市場。名前の由来は近江商人が作ったことによる。

○ヤマト醤油味噌
醤油のふるさと金沢大野町に代々続く醸造蔵元。「ひしほ醤油」や「しょうゆソフトクリーム」が人気。

○茶房 一笑
ひがし茶屋街の一角にある、加賀棒茶の老舗、丸八製茶場が経営する茶房。

○コンセプトG
辻口博啓パティシエの「和をもって世界を制す」をコンセプトにした、最高級日本茶「宇治の本玉露」と、オリジナルスイーツをコースで堪能できる茶室。

○小松弥助
インターネットの口コミサイトで、常に「世界一の寿司」の評価あり。
石川県金沢市池田町二番丁21-1 アパホテル 1F
076-261-6809
(北陸鉄道バス 片町(かたまち)バス停から徒歩約7~8分)
営業時間:11:30~17:00(要予約)
定休日:水曜・木曜
 

加賀の食

○小堀酒造「白山」
石川県白山市にある「萬歳楽」醸造元。萬歳楽 白山 大吟醸古酒、萬歳楽 白山 純米大吟醸、萬歳楽 白山 特別純米の白山シリーズや、食べるコオリ酒「萬歳楽 白山氷室」がおすすめ。

○山中温泉 かよう亭
直木賞作家の高橋治氏が「日本一の朝食」と称したことでも有名、10室のみの温泉旅館のおもてなしに、国内外からのリピーターが多い。お土産の塩昆布や梅酒、合鴨米がおすすめ。

○松浦酒造「獅子の里」
加賀・山中温泉の酒蔵。酵母は自家培養。仕込み水は、加賀の国薬師山の麓、「お薬師さん」の境内より湧き出る地下湧水「薬水」を使用。山中温泉では昔、湯女たちを獅子と呼んでいた事から「獅子の里」と名付けた。
スパークリング日本酒の「活性純米吟醸 鮮(せん)」は海外の旅人に人気。

○栢野(かやの)大杉茶屋の草だんご
山中温泉にある800年の歴史を持つ栢野(かやの)の草だんご屋。

○山中温泉 味道けんさん亭
石川県の水と緑ゆたかな歴史ある湯の街、山中温泉にある食事処。地場の素材と手造りにこだわり、和と洋の両方を美味しく楽しめる。

○東山ボヌール
山中温泉の黒谷橋たもとに位置する東山荘という旅館だった古い建物を改装したカフェ。静かに本を読むのも良いし、天気のいい日にはオープンカフェで贅沢にビールを飲むも。

○サロン・ド・テ 西洋菓子倶楽部 高乃倉
山中温泉限定のスイーツ/カフェ。和栗チョコケーキの「ショコラ・ド・ジャポン」がおすすめ。
 

■美術・工芸

金沢の美術・工芸

○九谷焼 鏑木本舗
長町武家屋敷にある、金沢 九谷焼窯元。 文政五年創業の鏑木商舗。金沢のおばんざいで休憩したり、絵付けをしたり楽しめる。九谷焼ステムのワイングラスは一見の価値あり。

○21世紀美術館
金沢市の中心部に位置し、だれもがいつでも立ち寄ることができる、円形デザインの美術館。展示室やカフェレストラン、アートライブラリー、無料ゾーンなど。展示はインタラクティブな作品が多い。設計は世界的に著名な建築家の妹島和世(せじま・かずよ)と西沢立衛(にしざわ・りゅうえ)による建築。二人はSANAAとして2010年プリツカー賞を受賞。

○中村記念美術館
金沢の酒造家・故中村栄俊氏が収集した古美術品を中心に収蔵する美術館。茶道の名品を中心に加賀蒔絵、古九谷など重要文化財を含む質の高いコレクションを展示。

○石川県立美術館
国宝色絵雉香炉や古九谷の名品など加賀藩ゆかりの古美術品と、石川の作家を中心とする現代の油彩画・日本画・彫刻・工芸品を常設展示する地方色豊かな美術館。

加賀の美術・工芸

○工房千樹
確かな技術をもとに、現代の生活の中に生きる漆器を良心的な値段で提供する、漆器職人佐竹康宏さんの工房。分業が多い山中漆器だが、ここは型から最終製品まで家族で造っている。
 

■史跡など

金沢の史跡

○ひがし茶屋街
浅野川大橋近く、お茶屋の古い家が軒を連ねている。料亭が紅茶店や土産物店にリノベイト。独特の情緒をかもし出し、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定される。

○にし茶屋街
藩政時代からの歴史を持つにし茶屋街。今も料亭や芸妓置屋が軒を連ねている

○金沢城公園
加賀藩の居城であった金沢城の城址を整備してつくられた都市公園。園内には、木組みに釘を使わない伝統技法と巧みの技による木造城郭建築として五十間長屋や菱櫓(ひしやぐら)、橋爪門続櫓(はしづめもんつづきやぐら)などの歴史的建造物が復元されている。

○兼六園
江戸時代は、前田家の外庭であった。水戸偕楽園(かいらくえん)、岡山後楽園(こうらくえん)とならぶ日本三名園の一つ。

○しいのき迎賓館
石川県政の歴史を長く刻んできた旧県庁を迎賓館としてリニューアル。正面は大正13年(1924)建築の格調ある意匠をそのままに、反対面は現代的なガラスの空間に。樹齢約300年(推定)の“堂形のシイノキ”がシンボル。周辺の総合観光案内や、レストラン・カフェ、会議 室、ギャラリーなどの憩い・交流の空間を備えた、金沢の都心の新たなランドマーク。

○石川四高記念館文化交流館
明治時代に建てられた国指定の重要文化財「旧第四高等中学校本館」。石川コンソーシアムのさまざまな授業が受けられる。

加賀の史跡

○山中温泉
石川県加賀市にある山中温泉観光協会のサイト。古くから歴史のある温泉の地で、
加賀温泉郷の一角を占める。1300年の歴史と豊かな自然、文人墨客が愛した情緒
あふれる温泉地。