from ニース おしゃれなコートダジュール、ニース旧市街! 100年以上続く老舗郷土料理レストランの奥まで潜入してきました。

(2009.06.30)

「その土地にいったらその土地の郷土料理を食べるべし!」旅の醍醐味はやっぱり「食」につきると今更ながら再確認する今日この頃……。といっても私の場合は、旅でもなんでもなくて、ただ単に、友人の実家へ「ゴッチ(御馳走)」になりに南仏コートダジュールの大都市「ニース」へ行ってきただけです。

旧市街は絵になる光景
今回御馳走になったニース料理専門店。

カンヌから高速走らせ30分ほど。「ニース」はカンヌに比べ物にならないほど広~い『Restaurant Acchiardo』。スペイン発のお手頃ブランド『ザラ』の店舗も大きいし、チープでファッショナブルなお洋服が買える『H&M』だってあるし~。『シャネル』とか『グッチ』とか貧乏人のアタシには手が出せないブランド品だけじゃなくて、庶民的なお買い物ができるステキなショッピング天国です。とお買いも話はとりあえずここまでにしておきましょう。

今回「ゴッチ(御馳走)」になる友人の実家はフランス語で「ビューニース」と呼ばれている煉瓦造りの旧市街。ヒールを履いて歩けば(すいません。ビーチサンダルを履いてました。)コツコツと音を鳴らしそうな石畳が敷き詰められ、なんとも趣がある細路地。大聖堂を彷彿させるゴージャスな教会。そして弓なりの海岸から緑色のヤシの葉を揺らして、穂のかに鼻をくすぐる塩辛い地中海の風……。「ここが、シャガールやマチスが愛した街なのね~。」なんて髪を靡かせながら、感傷に浸るアタシ。と言いたいところですが、美しさの前に人の多さに驚き! どこを見渡しても人、人、人だかり。生まれてから、20歳でめでたく初婚するまでの人生をこの地で過ごしてきた友人に「旧市街っていつもこんなに人だかりなの~。」と聞くと「そうだよ!!(そんなの知らないの)」というそっけない態度で答えてくれた友人V。そうですか……。味わいがある美しい街並みですが、人にぶつかる確率が高いニース旧市街でした。

とここで話は変わって、友人Vの実家は、祖母の代から続く老舗ニース郷土料理専門店。長ベンチ風の長~い「合い席あたりまえテーブル」が並ぶ食堂スタイルレストラン店内には観光客、毎日やってくる常連客で席は満席。さすがは「味よし、値段良し、人情よし」の老舗レストランだけはあります。「うちのおばあちゃんがこのお店を開いてからずーっと家族経営。」と胸を張る友人V。「お爺ちゃんの名前が会話の中にまったく登場して来ないので、突っ込みを入れて聞いてみると、「あ、おじいさんは何してたかはしらな~い。ほら、女の人の方がタフでやり手でしょ。」なるほど、現代女性に共通点がありそうなたくましいニース女性が昔から多かったようすね。

お店は毎日超満員。デコレーションも開店当時とほぼ変わらないらしいです。
店内に飾られている創業者とその義理の母の写真

席が空くまで「時間もあるし、地下の倉庫みせてあげる~。」という友人Vのお言葉に甘えてしっかり老舗レストランの奥に潜入させていただきました。小さなキッチンにあるドアを開けて階段石畳の階段を下るとそこはひんやりとした倉庫。現在は物置同様スペースになっていますが10年ぐらい前まではここでお客さんに出す自家製ワインを作っていたのだとか。将来はこのスペースをレストランスペースに使いたいらしいのですが、さすがは歴史ある旧市街の建物内。指定建築物に名を並べており、そう簡単にリフォームはできないそう。アーチ状になった天井近くなど確か床に転がっている物はただの『倉庫』、アーチ状に接合された時代を感じさせる天井近くなんか見るとされど『倉庫』。確かに素晴らしい建築物です。ふと足を止めた階段「あ~、この階段ルイ14世(1638~1715)時代のモノなんだよね~。」といたってフツーに話す友人V。会話の中に「ルイ14世」がでてきちゃったら、そりゃ簡単にリフォームはできませんよね。

かつてのワイン造りの面影。
いい感じに古ぼけています。
これが噂『ルイ14世』時代の階段です。手彫りですよね。やっぱり。

そんなこんなで「へー!うっそ~!!」と関心している間に、席も空きお待ちかねのお食事タイム。「なんでも好きな物オーダーしてね。」とうれしいオファーを頂き、メニューを見ると料理名にニース風というタイトルが付くトマトや玉ねぎなど野菜をたっぷり使ったニース料理がメインに並んでいます。「う~ん。何にしよう。」と悩んだ結果、何処のカフェメニューにも載っている「ニース風サラダ」を注文。心時めくメニューは沢山あったのですが、ただ単に「二日酔い」だったので「軽い」物を要求していたお疲れ気味のアタシの胃袋ちゃんでした。

新鮮でないと食べられない『生』のアンティチョーク、小粒のオリーブとやっぱりそこいら辺のカフェのニース風サラダとは違いました。
日本語メニューがあって驚き!!隠れた人気メニューではサイドメニューで付いてくる自家製フライドポテト。

話変わって、ニース料理と南仏(プロバンス)料理はトマト、ズッキーニ、玉ねぎ、タイムなど使う食材は同じでも話を聞いているとどうやらチョイと違うようです。ニース人は昔イタリア領だったことから気質も人情も限りなくイタリアンより。イタリア語を流ちょうに操る人も多く会話をしていても「私ってニース人。」と「ニース」をやたら連発し地元人としての誇りを常に感じさせられます。一方、プロバンスはプロバンスで、完璧な「フランス人気質」。「ラタトゥユ」「タコのラグートマト風味」もどう考えても同じ食材、味つけだと思うのですが、「ニース風」「プロバンサル風」と作る人、場所によって異なるメニュー名になってしまうようです。南仏人、ニース人に実際に異なる点を聞いてみると「う~ん。」と深く考え込むのが現実です。まあ、何品かは本当に「ニース」でしか食べられない料理もあるのは確かですが・・・。

ということで、フランス人でありながらイタリアンな雰囲気が香るニース!うれしいことにイタリアンデザートの代表格『パンナコッタ』が当たり前にメニューに載っているので最後は、濃厚なエクスプレッソをお供にクリーミーな手づくりパンナコッタで締めさせていただきました。

赤と白のコントラスト。お口の中がふんわり優しくなっちゃう味でした。
デザート類はオーナー自らが毎日手作りしています。

レストランで働く友人Vの超イケメン兄達(かつて某有名ブランドのモデルだったらしい。)&ご両親「御馳走様でした。メルシ~♪」と感謝の言葉と頬っぺたをペッタンコさせてチュッ、チュッとフランス式にさよならの挨拶をして帰途についたのでした。あ~、おいしかった。新鮮野菜たっぷりのニース風サラダに二日酔い開けの胃袋ちゃんも大、大満足。そういえば帰りに「NICE」は英語読みすると「ナイス」と読むことを今更ながらに発見しました。新しい発見ができるニースってホントにナイスな街?!

 

Restaurant Acchiardo

38, rue Droite 06300 Vieux Nice
Tel. +04 93 85 51 16
土日休
*時間がない方は事前に予約することをお勧めします。