from パリ(石黒) – 18 - 旅手帖(1)ノルマンディーの村、プールヴィル・シュル・メール。

(2010.08.25)
海に飛び込む二人の少女。空と海の青のグラデーション、波のはじける白い泡が、目にまぶしい。

スーツケースにあれこれ荷物を詰めるのが好きなので、期間の長短はあれど、いつでも旅に出ていたい。毎週末に出かけている月もあれば、しばらく動かずじっとしている時期もあれば、まちまちだけど、1年の内の旅行回数を月で平均すると、1カ月に1度(もしくは以上)どこかへ出かけている計算に。その街、国の在住者ではなく、旅行者として見た風景や風物詩を、フランス語のCarnet de voyage(カルネ・ド・ヴォワヤージュ=旅先での所感やデッサンを気軽に書きとめる横綴じのスケッチブック)をイメージして、写真で綴っていきます。

初回は、今年も終わりが近づいた夏のヴァカンスへの郷愁から…ノルマンディーの海沿いの村、プールヴィル・シュル・メール(Pourville sur Mer)へ。
 

港町ディエップに隣接する小さなこの村の浜辺は、砂浜ではなく、ギャレ(gallet)と呼ばれる小石の浜辺。この日は、外の気温に反して、海水は驚くほど穏やかな温度で、気持ちよく波に揺られながら過ごす一日。
ノルマンディーの海に来たからには、海の幸。海沿いのテラスで、昼食を取り、海辺で昼寝して、ときおり海に浸って、とろんとした状態でまた同じテラス・レストランへ戻って(というか、海沿いにはこの一つしかない)、夕食の前の前の前の一杯を始める…。ゆるーい海の家感覚。

夜はディエップ市内のレストランまで足を伸ばす。皆それぞれが頼んだメインのプレートは、想像を絶するボリュームで、食べ歩き大好き人間には、ディエップの町がさらに魅力的なものに…。食べて飲んで、を躊躇なく楽しむ週末。

前菜に取った海の幸プレート(写真左)は、このボリュームで、17ユーロ。パリで同じものを頼んだら、50ユーロはするはず。ちょっと奮発して、メインには、オマール海老のローストをオーダー(写真中央)。丸ごと一尾が、ざっくり背中で二つに開いて出てきました。これで27ユーロ(これまたパリではありえない値段!)。

ディエップのヨットハーバー。アメリカ映画祭がある華やかなドーヴィル(Deauville)やトゥルービル(Trouville)に比べると、ディエップは地味な感じだけれど、街の大きさも丁度良く、落ち着く。

プールヴィル・シュル・メールには、隣町ディエップのように大規模チェーンホテルがあるわけではなく、今回宿泊したのはB&B。
 

新旧混じったスタイルながら、なかなかセンスの良いインテリア選び。人の気配がちょうど良い距離感で感じられる宿で、お値段もお手ごろ。別にディエップ名物ではないけれど、朝食のシリアル入りバゲットに、御主人のお母様が手作りされたというジャムの組み合わせは、絶品でした。
部屋の窓から臨む海と畑。プールヴィル・シュル・メールには、ノルマンディーの海風を受けてプレーできるゴルフ場もあり(写真右奥)。

ディエップとその周辺には、実は知る人ぞ知る、世界に誇るアジサイコレクションがあり。

見学可能なアジサイ専門の庭園もあるけれど、普通に家の軒先に咲き乱れる紫、ピンク、ペールブルーの花々でも、チアガールの持つポンポンのように、景観をぱぁっと明るくしてくれて、十分見ごたえあり。

プールヴィル・シュル・メールの田園を散歩。麦畑、とうもろこし畑…いろんな畑や森に出会う。土を踏みしめる音がとても心地よい。

 

しばらく歩くと、断崖の下の浜辺に到着。断崖から落石の危険があるため、断崖の真下は立ち入り禁止になっている。ここの石はチョークのようにもろく、石灰で真っ白。一見すると、真っ白いチーズのようにも見えなくはないけど。

ディエップまでは、パリから電車で2時間。車でも同じく2時間程度で、いずれにしても、パリから手軽に足を伸ばせる距離。周囲には、ハイキングコースや、シャトー、庭園、競馬場と、盛り沢山。またぜひ近いうちに来たいなと思った街でした。

 

【information】

ディエップ市:http://www.dieppe.fr/
ディエップ観光局:http://www.dieppetourisme.com/

プールヴィル・シュル・メールの海辺のレストラン
『LES REGATES』
30 rue du casino, 76550 Pourville-sur-mer

今回宿泊したB&B
Chambres à Pourville