from パリ(田中) – 24 - 10月のパリ。

(2009.10.12)
サン・ミッシェル大通りと、サン.ジェルマン大通りの交差点。通り向こうに見えるのは中世美術館。この近くにあるMONOPRIXモノプリというスーパーは、なんと夜11時50分までの営業を始めた。パリのサービス業も東京みたいに変るんだろうか? 今後の展開に興味津々。

一時帰国していた東京で、9月末にフランス大使館から電話があった。待ちに待った長期滞在用ビザの発行許可がおりたという連絡だった。フランス人独特のアクセントの日本語が、天からの神の声のように聞こえる。早速、航空券を手配し、手荷物の準備に取りかかる。今回は冬物衣料などでかさばるので、海外別送サービスを利用して荷物を軽くすることにした。前回は20キロオーバーで、成田で法外な超過料金を取られたからなあ。

シャルル・ド・ゴール空港には夕方到着、パリ都心へ向かう電車のホームへ続く道筋にもだいぶ慣れてきた。RER-B線の窓外に流れる色づき始めた木々や、線路沿いの壁面の至る所に書き尽くされた落書きをぼんやり眺めながら、パリに戻ってきたことを実感する。電車の窓ガラスを引っ掻いた落書きさえも、妙に懐かしい。サン・ミッシェル・ノートルダムで電車を降り、大通りの広告塔を見て、懐かしさは頂点に達した。パリだ。

8区のAvenue Hocheにある日本大使館。黒っぽいガラス張りのデザインが、無機的で冷たい。駐車禁止の道路標識を撮影したわけではありません、念のため。大使館にもサービス業の視点が欲しいなあ。マロニエの葉も黄色く色づき始めた。

東京でビザがおりてからも、パリで滞在許可証を受け取るための申請手続きがまだ残っている。そのための証明書関係が必要だ。フランスで生活している居住証明(部屋の賃貸契約書とか、電気料金請求書など)、戸籍謄本、それと証明写真(これは眼鏡を外した顔写真でないとダメらしい、日本のパスポートは眼鏡OKだけど、ここはフランスだし)。東京のフランス大使館からの書面に書いてあるのはこの3点だが、パリで書類を受け付ける役所(パリ市警)には別の決まりもありそうな予感がする。フランス国のルールは絶対不変だと思ってはいけないことを、この半年で少しは学習したので油断は禁物だ。

日本大使館のホームページを開くと、戸籍謄本をもとに翻訳した証明書(出生証明)を作成してくれるサービス(8.5ユーロは安いかも)があるので、凱旋門から歩いて大使館へ向かう。初めてだったが、すぐに分かった。国旗もあるし。しかし、建物は無機的で冷たい印象だ。セキュリティーを厳しくする理由は分かるが、なんだか来る人を拒絶している。天気が悪かったせいもあるのかなあ、ホームページで感じた開かれた大使館のイメージを裏切られた思いだった。ガードマンも、窓口の担当者も、中で仕事している人はやさしく丁寧なのに残念だった。これからの時代、大使館の佇まいは来る人に優しくなければいけないと思った。

パリへ来て、凱旋門まで来たのは初めてだ。お上りさん気分で、門の屋上まで登ってパリを見晴らしたかったが、あいにくの天気だったので止めることに。その代わり門の回りの歩道を一周してみることにした。シャンゼリゼ大通りに通じるところで、ゴージャスな中国人?女性カップルに、流暢な日本語で、記念撮影を頼まれた。凱旋門をバックにして横フレームで撮影したのだが、タテで撮ってくれと再度注文された。そのほうが、凱旋門が上まで入るし、お姉さんの服もよく見えるし。でも私、縦位置の写真、あまり好きじゃないんだけどなあ。彼女たちから、私はどんな風に見えたんだろうと想像しながら、いろんな角度からの凱旋門を楽しんだ。

凱旋門は歩道が外周にあるので、ぐるりと回ると思いのほか距離があり、途中で挫折しかけた。遠くから眺めても大きいが、近くで見てもやっぱり大きい。
遠くにエッフェル塔も見える。

「September in PARIS」という古いジャズのスタンダードがある。10月にパリに戻って、思ったほど秋が深まってないばかりか、蒸し暑かったのでびっくり。大使館で用を済ませた後、10月オープンのホットなユニクロに寄ってみた。凱旋門からはRER-A線で一駅となり、オペラ座の裏だ。テレビのニュースでも混雑ぶりを見たが、まだ入場規制をするほどの人気だ。落ち着いた頃にもう一度ゆっくり来よう。ユニクロ愛好者の私としては、パリでも服が買えるのは嬉しい限りだが、東京との価格差とかはどうなんだろうか?

RER-A 線のAuber駅下車、長い地下道を通ってオペラ座へ出る。カシミアのセーターの写真広告もあった。
平日の昼休み時間帯に50メートルほど客が並び、ガードマンが入場規制していた。女性客が大半だが、年齢層は幅広い印象。こちらは出口専用。通りを隔てたギャラリー・ラファイエットでもファッションのバーゲンをやっていたが、ユニクロみたいな賑わいはなかった。