from パリ(たなか) – 57 - シャンゼリゼが農場になった日。

(2010.06.07)
凱旋門が、緑の牧場や森に覆われる日が来るのだろうか?

シャンゼリゼ大通りを二日間だけ通行止めにして緑の畑が出現するというニュースを見て、パリが夏日となった5月23日、蒸し暑い地下鉄に乗って様子を見に行って来ました。1号線のジョルジュ・サンク駅を出ると、確かに大通りには見慣れたクルマの影は全くなく、突然出来た緑の畑や林の間を大勢の見物客が歩いていて、なんだか歩行者天国というか、縁日みたいな雰囲気でした。なんとなくお花畑をイメージしていたので、意外や野菜畑だったのにはびっくり。区画ごとにいろんな野菜がコンテナに植えてある様子は植物園のようでもあり、実物大の図鑑を見るようで、なかなか楽しめました。シャンゼリゼ(Champs Elysees)のシャン(champ)は、畑や田園と言う意味なので、地名通りの昔の風景に戻ったということなのかな。

5月23日、フランスは3連休の中日で、しかも突然の夏日となり、すごい人出だった。
針葉樹の苗の展示。緑のサンドイッチマンが樹木の話をしてくれる。
シャンゼリゼ大通りが、このような緑の絨毯に変ったのであります。
フランス人に不可欠なワインは、もちろん葡萄の木から。
トマトは、サラダ用煮込み用と、形や大きさ堅さ、色(黒いトマトもある)など、たくさんの品種がある。
クルジェット(ズッキーニ)は時々料理に使うが、ポティロン(かぼちゃ)はまだ買ったことがない。
エンドウ豆の畑、ここがシャンゼリゼとは思えない。
菜の花畑の向こうには凱旋門。
いい麦がなくては、美味しいバゲットは焼けません。

どうやら農業団体(および林業、畜産)が野菜や食肉をアピールするイベントだったようで、翌日のテレビニュースではニコラ・サルコジ大統領も見学に来ている映像が流れていました。それにしても大量の土や野菜や木を運んで来て、一晩のうちに大通りを畑に変えるなんて、(二日後にはすべてを撤去)やることが大胆だ。二日とも30度を超えるような夏日だったので、土はカラカラに乾いて、水やりがさぞ大変だっただろうと思いやられる。運ばれて来た植物や動物はもっと大変か。

凱旋門のすぐそばから地下鉄で二駅隣りのフランクラン・D・ローズヴェルトまで1キロ以上のシャンゼリゼ大通りの道幅一杯に、カラマツや樫の木、ポプラ、白樺、糸杉などの木の苗、葡萄、バナナ、タバコ、ひまわり、ナタネ、タマネギ、きゅうり、インゲン、トマト、ジャガイモ、キャベツ、かぼちゃ、ズッキーニ、麦などの農作物や野菜、ハチミツ、牡蠣、塩、牛、羊などなど、盛りだくさんの一大農場パノラマが展開していました。それにしても暑い! 前の週はコートが必要なほどの寒さだったのに、この暑さでは、野菜畑の中にカフェがあればよかったのだが。シャンゼリゼ・クレマンソーの近くでは、野菜の展示即売もやっていたようだが、あまりの暑さに、そこまでは行き着けませんでした。

ところでパリの市場に行くと、どこも新鮮な野菜でいっぱいです。全体に日本のものより一回り大きく、みずみずしいしい印象がある。ジャガイモやニンジンなど、皮を剥いていると水分がにじみ出すような感じで、味も濃いし、値段は日本より安い。トマトにはいろんな種類があるし、ポワヴロン(パプリカ)なんか保存も利くので重宝してます。フランスは農業国なんだなあと野菜を食べるたびに実感するのですが、その農業も国内でいろんな問題を抱えているのかもしれない。安い外国産の野菜が入って来たり、環境とビオ(BIO)対応、後継者の問題など、いや詳しくは分からないけれど、関係者の揃いのTシャツに、“若い農業経営者”と書いてあるのを見ながら、なんとなくそんなことを考えました。

明日のフランスの農業は、キミの双肩にかかっている。
わたし、羊の肉、大好きです。子どもに大人気のコーナー。
ハチミツの巣箱もありました。山羊のチーズにハチミツを少しかけて食べると旨いんだなあ。