from 鳥取 – 41 - 旧家に伝わるひな人形と「雛あらし」に「ひな流し」。

(2010.02.15)

もうすぐひなまつり。
ひなまつりといえばひな人形ですが、我が家のおひな様は
「出し入れが簡単だから」という母の独断で、ガラスケース入りのコンパクトなものでした。
本当は、箪笥とか御膳とか鏡台とか、ミニチュアのお道具が充実した
七段飾りのおひな様が欲しくて、友達の家に飾ってあったのをうらやましく眺めていたのを覚えています。
もう何年もしまわれたままなので「歯が生えてるかも」なんて母は言ってますが。

石谷家に伝わるおひな様(左写真は明治初期、右は昭和初期のもの)。

鳥取県東部の山間・智頭町にある石谷家住宅では、「石谷家のひなまつり」が開催されています。
石谷家住宅は、かつて県内最大の宿場町として栄えた智頭宿の中心部にあり、
昨年、国の重要文化財に指定されました。
敷地面積約3,000坪、部屋数は40余りにも及ぶ大規模な木造家屋で、
近世から近代にかけてのこの地域の文化を知る上で貴重な資料となる歴史的建造物群です。
そんな旧家に伝わるおひなさまって興味ありませんか?
7棟もある土蔵のうちかつて米蔵として使用されていた展示室には、
石谷家に代々伝わる明治初期から昭和にかけてのおひな様が展示されています。
お顔立ち、着物の刺繍、お飾り、どれをとっても品の感じられるおひな様。
一緒に置かれたお道具も当時の匠の技術が伺える見事な品々で、
細かな細工をじっくり見ていると時が経つのを忘れてしまいそうです。

おひな様はこの他にも母屋の各所に飾られていますが、これらは町内の家々に眠っていたもの。
こちらも歴史の古いものが多く飾られ、朱の色がぱっと空間を華やかに演出していました。
玄関や床の間に佇む様はとても自然で、桃の節句を祝う光景が目に浮かぶようです。
展示期間中、邸内の喫茶では4日間限定のおひなさまセット(要予約)が登場します。
地元の食材を生かした春らしいメニューを考案中とのことですので、ぜひご賞味あれ!                                                 
そしておみやげには地元特産の杉でつくられた「杉の精の守り雛」をどうぞ。

石谷家の母屋に飾られたおひな様。
杉の精の守り雛。
雛あらしの様子。

また、3月下旬には石谷家周辺の智頭宿で「雛あらし」が行われます。
雛を“あらす”とは一体どんな物騒な行事??
と思われる方も少なくないと思いますが、桃の節句に子ども達がおひな様の飾ってある家をまわり、
ひな壇に備えられたお菓子やご馳走を食べるといった風習のことです。
主に中国・四国地方に伝わるものだそうですが、言葉とは裏腹にいたってかわいらしいものです。
3日間にわたって開催されますが、期間中は格子窓の町家など趣きある街道におひな様が飾られ、
一般の方もお楽しみいただけます。

持用瀬の流しびなの様子。

そしてもう一つ、鳥取の代表的な桃の節句行事といえば「用瀬(もちがせ)の流しびな」。
男女1対の紙雛とお供え物を桟俵(さんだわら)にのせ、
無病息災を願って川に流すという江戸時代から続く民俗行事です。
着物を着た女児が桟俵を川に流し小さな手を合わせる姿はとても愛らしく、
その様子を写真におさめようと県内外より多くの観光客が訪れます。
周辺の集落でもひな人形の一般公開やお茶席が設けられるなど、辺りはまさにひな祭り一色に。
ひな流しは誰でも体験することができますので(時間制限あり)、
一年の無事を祈ってぜひ参加されてみてはいかがでしょうか?
 

石谷家のひなまつり
期間:2010年1月29日(金)~4月16日(金)
場所:石谷家住宅(鳥取県八頭郡智頭町智頭396) 
※石谷家住宅「喫茶」では2月27日(土)~3月2日(火)の4日間、20食限定で「おひなさまセット」が登場(下記お問合せ先まで要予約)
お問合せ先:(財)因幡街道ふるさと振興財団 TEL0858-75-5300、FAX0858-75-3533
HP:石谷家住宅ホームページ

第8回智頭・備前街道雛あらし
期間:2010年3月26日(金)~28日(日)
場所:智頭駅~かわらまち商店街~石谷家住宅(鳥取県八頭郡智頭町智頭周辺)
お問合せ先:智頭町観光協会(智頭町総合案内所) TEL0858-76-1111
HP:智頭町ホームページ

用瀬の流しびな
日時:2010年4月16日(金) 10:00~(一般のひな流し体験は11:00~14:00、15:00~)
場所:流しびなの館周辺(鳥取市用瀬町別府、用瀬周辺)
お問合せ先:用瀬流しびな実行委員会 TEL0858-87-3222、FAX0858-87-3169
HP:鳥取市南商工会用瀬支所ホームページ流しびなの館公式ホームページ