from 鳥取 – 33 - 日野郡で、おいしいお米イベントが開催されました。

(2009.11.05)

鳥取県日野郡は、西は島根県、東は岡山県、南は広島県に県境を接した山あいの里に位置しています。関東近郊の方から見ると、横須賀の米軍基地から、一直線に西へ約500キロメートル行ったところにあたります。現在は、日南町、日野町、江府町の3町からなり、戸数4,600戸、人口12,600人。主な産業は農林業と建設業です。

このエリアの歴史は、縄文時代や古墳時代の遺跡も発見されていますが、第7代孝霊天皇の御代に鬼退治の舞台としての伝説が残っています。伝説の時代以降の記録は途絶えますが、日野郡の歴史をまとめた書物によると、奈良時代には六つの郷があり、当時の家屋は300戸程度あったのではないかと推測されています。

「日野郡」の名称は、奈良時代に制定され、明治時代・戦後・平成の町村合併の中でも、名称を変えることなく今日まで続いている歴史のある郡名です。もちろん、当時の景色が、そのままの姿を残している訳ではありませんが、中国地方最高峰の大山(だいせん)にあるブナの森のように、有史以後(以前)から、変わらない自然も残っています。そして、人の営みで、コメ作り!が脈々と続いています。

 

鳥取県のコメの生産面積は14.300ヘクタール、生産額は160億円、うち日野郡は1,300ヘクタール、生産額は14億円で、郡内農業の生産額の約4割を占め、大変、重要な位置づけを担って、県下でも、「日野郡のコメはおいしい。」と認知されています

上方落語に、桂枝雀さん(故人)がいらっしゃいましたが、戦時中は、やはり鳥取県境港市に疎開しておられて、少し鳥取なまりが入っています。「八五郎坊主」という演目の中では、八五郎と言う人が、ご隠居さんを訪ねて、ご飯を食べるシーンがあるのですが、「お櫃の蓋を開けてエ~、ワー炊きたてのご飯や~……フッ……フッフ、フウゥ~……コメが一粒ずつ立っとるデエ……エエ米食べてはるワ、少しよばれたろ。ウング、ウング、アツ、アツウ~、ウング、ウング」と、聞いていて、ご飯が食べたくなるシーンがあります。

そのようなアツアツのご飯は、猫舌な私には、とても食べることは出来ませんが、この10月25日の日曜日に、日野郡江府(こうふ)町貝田(かいだ)地区の「大飯喰らいフェスィテバル」に参加してきました。貝田地区では、江戸時代から神様に豊作を感謝して、神社の境内で、握り飯をたくさん食べる風習がありました。平成11年から、よりイベント性を持たせた「貝田大飯喰らいフェスィテバル」として、復活して以来、毎年、町内外から多くの参加者が集まり、地域では欠かせないイベントになっています。

 

フェスィテバルの目玉は、文字通りの「新米コシヒカリ大飯喰らい」対決で、男性部門と女性・子供部門に分かれて、それぞれ5分間に、どれだけのおにぎりを食べることが出来るか?を競います。

男性部門は、4連覇を目指した米子市の方が21個完食と大健闘でしたが、2位と惜敗。兵庫県の方が23個完食で、見事、初優勝をされました。女性・子供部門は、米子市の方が9個完食で優勝でした。

大喰いに参加しなくても、おにぎりは食べ放題ですから、私はそちらの方を頂きました。頬張った瞬間に、ご飯粒がしっかり受け止めて、モチっとした食感が残り、2、3回噛みしめると、甘味が広がり、鼻先に甘い香りが抜けていきました。一言、「美味しい」です。お土産のコメも頂きまして、まさしく「太っ腹」。「傘おどり」や「荒神神楽」なども鑑賞出来て、とても満足な一日でした。皆様も来年も是非お越し下さい。

 

当日は、同じ日野郡の日野町では「生きいき日野ふれあいつり」、日南町では「にちなんふる里まつり」が開催されました。にちなんふる里まつりでは、町内の農家さんが自慢の米を持ち寄って、食味値を測り、今年のコメの出来具合を確認しました。

食味値と言うのは、コメの美味しさを示す指標で、食味計という計測機器を使って、コメの成分である「アミロース」「タンパク質」「水分」「脂肪酸度(玄米)」を計測して、100点満点方式で総合得点を出したものです。

日南町での食味試験は、今年が初めての試みですが、日野郡では、平成15年から「日野川源流米コンテスト」を開催しています。このコンテストは、日野川源流のきれいな水で育まれた米を、「食のみやこ鳥取県」の産物として販売促進のPRをすると共に、生産者に対して生産意欲の喚起を促すことを目的に毎年開催しています。

一般的に、食味値の標準は70から75で、80を越えれば「良い」、85を越えると「極上」との評価を得ますが、コンテストでの平均値は、平成15年から75、77、72、82、80と年々レベルアップして、昨年は過去最高の86を記録しています。今年は食味値90を超えるコメが記録されていますので、11月13日に開催されるコンテストの盛況が期待されます。(コンテストでは、近赤外線透過方式の機器を採用)