from ロンドン - 4 - 斎藤理子のロンドンオリンピック便りロンドンからワンディトリップで、
マラソンゆかりの地ウィンザーへ。

(2012.04.20)

2012年7月27日から始まる、ロンドンオリンピック&パラリンピックに向け、着々と準備が進んでいるイギリス。1908年の第4回、1948年の第14回に続き3度目の開催となるロンドンですが、同じ都市での3回開催は世界初とあって、成功に向けての意気込みはかなりのもの。「持続可能性」をテーマに、様々なアプローチで後世に負担をかけないエコなオリンピックの実現に取り組んでいます。夏に向けて徐々に盛り上がりを見せるロンドンとイギリス各地の様子を、お伝えしていきます。

女王のお気に入りウインザー城は、
ロンドンからの日帰り旅行で。

今年、即位60周年である「ダイヤモンド・ジュビリー」を迎えられるエリザベス女王。6月には記念式典やイベントが目白押しで、ロイヤル・ウエディング以上に華やかな行事が続く予定です。「ダイヤモンド・ジュビリー」が終わればすぐにオリンピック。今年のイギリスは大きなイベントが目白押しで、世界中の注目を一身に集めそうですね。

その女王陛下が、週末をすごす城として知られるのがウインザー城です。王家によって実際に使用されている城としては最も古く、敷地も10.5ヘクタールに及び世界最大級です。ロンドンから西に車で40分ほどのところにあるこの城は、女王陛下の大のお気に入りで、週末以外にもイースターやクリスマスをここで過ごす事も多いそうです。ロンドンからの日帰り旅行には最適で、城内や街はいつも多くの観光客で賑わっています。城の中央にあるラウンド・タワーという塔に女王旗が掲げられていたら女王が滞在中、ユニオンジャックだったら不在のサイン。訪れた時に女王陛下がいらしたら、お目にかかれるわけでもないのに、なんだかちょっとわくわくしますね。

ウインザー城は11世紀後半、ウイリアム征服王(在位1066〜87)によって建てられました。その後、エドワード三世(同1327〜77)、チャールズ二世(同1660〜85)、ジョージ四世(同1820〜30)によって改築され現在に至っています。その部屋数は、なんと951(!)。ちょっと想像を越えている広さですが、まずは一般公開されている公式なエリア、“ステート・アパートメント”へ。

ウインザー城は堅牢な石造り。
ラウンド・タワー。ユニオンジャックが掲げられたこの日は女王陛下は不在。
お城の中は華麗なる世界。
城内見学でロイヤル気分を体験。

900年以上にわたりイギリス王家の居城として使用されてきただけに、見所はたっぷり。ボールルームやバンケットルーム、接見の間、執務室、ドローイングルームなどなど、贅を尽くした家具や調度品、壁を埋め尽くすレンブラント、ルーベンス、カナレット、ゲインズボロなどによって描かれた絵画や肖像画に目を奪われながら、王室の華麗なる暮らしに思いを馳せることが出来ます。

豪華ではありながら、ベルサイユ宮殿のように過度に金ピカではないのが、イギリスのお城の特徴です。絢爛豪華というよりは、重厚とか質実剛健という言葉が似合いそう(もちろんこの上なく豪華ではありますが)。最上質なものを揃えながら上品で落ちついたインテリアになっているところに、イギリス王室の趣味の良さを感じるのは私だけでしょうか。

お城に付属する聖ジョージ礼拝堂は、イギリスを代表するゴシック様式建築のひとつ。美しいステンドグラスや、アーチが織りなす天井のデザインが見事です。静寂が支配するチャペルのベンチに座って、しばし心を落ち着かせましょう。

ゴシック様式が美しい、聖ジョージ礼拝堂。
衛兵交代の儀式もここなら至近距離で見ることができる。
バッキンガム宮殿とは異なり、衛兵の真横にまでいけるので、写真をとるには絶好。
マラソンの42.195kmは、
ウインザーが発祥の地。

ウインザー城に行ったら、忘れずに訪れたいのが「ロングウォーク」という遊歩道。城のケンブリッジゲートから南に一直線に伸びる道は、ロイヤルファミリーが馬車でアスコット競馬場に向かうために設けられました。深い森の中を5km以上もまっすぐに伸びる道の先は霞んで見えなくなります。道の両脇は芝生になっていて、座ってくつろいだり寝転んだりと、みなさん思い思いの過ごし方をしています。豊かな緑の中を、ケンブリッジゲートからひたすら一直線に伸びる道の眺めは圧巻。目の前に広がる光景に、感動度はかなりの高さです。

見所たっぷりのウインザー城ですが、実はオリンピックとも深い関係があります。1908年に開催された第4回オリンピックのマラソンは、ウインザー城がスタートでした。ゴールはメインスタジアムの、アレクサンドラ王妃がいらっしゃる貴賓席の前。この距離が42.195kmだったんです。それまでマラソンのコースは40kmでしたが、1921年に国際陸連が42.195kmを正式に採用し、現在にいたるというわけです。

ウインザー観光の最後に訪れたいのが「ロイヤル・ファームショップ」。ウインザーには王室の農園や牧場があり、ロイヤルファミリーの食材をまかなっています、そこでとれた野菜や肉、ミルクをはじめ、さまざまなオーガニック食品を販売しているお店がこの「ファームショップ」。パンやジャムやスコーン、アイスクリームが人気で、カフェでそれを食べる事もできます。他では手に入らない、ロイヤルな食品はお土産に最適ですね。

ケンブリッジゲートから見たロングウォーク。
ロングウォークから見たケンブリッジゲート。
テムズ川上流のレストランで、
至福のランチタイムを。

ウインザー周辺は、ミシュランの三ツ星を始め美味しいレストランが点在していることでも有名です。そんな中で、気軽に上質な食事を楽しみたい時におすすめなのが「BOULTERS」。ウインザー城はテムズ川上流にありますが、それを少し川沿いに少しさかのぼった『Boulters Lock』というところにあるブラッセリーです。大きな窓に囲まれた岸辺のレストランは、開放感たっぷり。テムズ川上流の穏やかな流れを眺めながらのランチは、時間を忘れるほどくつろげます。

シェフのダニエル・ウッドハウスさんが手掛けるのは、伝統を洗練させたモダン・ブリティッシュ。地元のオーガニック食材をふんだんに使い、軽やかで味わい深い料理に仕立てます。

バジルペーストやドライトマトを練り込んだパンも超美味。あまりの美味しさに食べ過ぎてメインが入らなくなるなんていうことがないよう、注意が必要です。

クオリティ、内容共にすぐにでも星がつきそうな料理ですが、前菜が6.95ポンド〜、メインが14.95ポンド〜とお値段はいたって良心的。アラカルト中心なので、食欲に応じたセレクトが出来るのも、日本人には嬉しい限り。予約困難な人気店になる前に行っておきたい、知る人ぞ知るお店です。



テムズ川上流は自然がたっぷり。それを眺めながらの食事は最高。

【関連リンク】
「ロンドンオリンピック&パラリンピック公式サイト」
英国政府観光庁 ブログ
ウインザー観光局(the Royal Borough of Windsor and Maidenhead)
BOULTERS

【協力】
ヴァージン アトランティック航空
英国政府観光庁