from パリ(石黒) – 11 - ヤドリギの下で新年の挨拶を。

(2010.01.08)
12月30日、トロカデロ広場から眺めた2009年最後のエッフェル塔は、ブルーのライトアップでした。

新年明けましておめでとうございます。

昨年秋から連載させていただいているWeb Dacapoエリアナビ。楽しく続けさせていただきました。今年も、パリの様子を、色んな視点から、時にはマニアックにお届けしたいと思っています。2010年もどうぞ皆様、宜しくお願いいたします。

フランスの年末年始は、なんといってもノエル(クリスマス)が一大イベント。日本のように恋人同士で過ごすのではなく、フランスのノエルは家族が集って祝います。24日の夕食、25日の昼食を家族と過ごすのが、最も正統的な日付ですが、フランス人の友人たちを見回すと、クリスマス前の週末に母方の実家で、そしてクリスマスの週末は父方の実家で過ごす、またはその逆…といったように、日程と移動手段の調整がこの時期の最大関心事となっています。日本のお正月を彷彿とさせます。

遠く離れた家族が一同に会し、それぞれのこの1年を振り返ったノエルの後は、大晦日の準備。カトリック教会の聖人たちを祝う記念日カレンダーでは、12月31日は、聖シルヴェストの日。そこで、大晦日はRéveillon de Saint-Sylvestre(レヴェイヨン・ド・サン=シルヴェストル)とも呼ばれます。こちらは、家族と過ごす日本のお正月とは異なり、友人同士でパーティをしたり、街に繰り出し、カウントダウンを迎えます。家の中でも、街の中でも、クリスマスのデコレーションはそのままに残し、大きなアパルトマンや一軒屋、田舎の農園などに、ぞろぞろと友達同士で集まって、用意したDJブースやダンスフロアで、お祭り騒ぎ。中には、仮装パーティーもあったりします。12月に入ると、友人あちこちから、年越しパーティーの誘いが頻繁に取り交わされ、大晦日に幾つかのパーティーをはしごする事も。深夜0時を回ると、Bonne année ! Meilleurs vœux !(ボナネ !メイユー ヴ !)との挨拶と共に、キスを交わして、新年の健康と幸せを願います。

フランスでは新年に、ヤドリギの下で抱き合うと、その1年が幸せになると言い伝えられています。ヤドリギは、フランス語では「ギ」(gui)と呼ばれ、クリスマスが近づく頃から、玄関ドアの上にヤドリギを飾る地域もあるようですが、特に年末になると花屋や、路上で農家の人たちが売っている光景を見かけるように。その発祥は、古くケルト人の風習に遡ると言われています。聖なる木とされていたヤドリギを玄関先に飾ることで、邪気をはらい、繁栄と長寿を願うのだそうで、新年の飾りということでは、日本の門松のような感覚ですね。普段はやっかいものとされるヤドリギが(「ギ」の寄生による樹木被害は、フランスでは深刻なようです)、年末年始には、こんな風に神々しい存在になる、という面白い習慣です。

大晦日のパーティ当日、サロンのシャンデリアに、ヤドリギをくくりつけておきました。小さな乳白色の実は、可愛らしいのですが、食べられません。消化不良を起こしたり、酷い場合には、心臓発作を起こしたりすることもあるのだとか。葉や茎は生薬として薬用効果あり。実のなる樹木で、新年の飾り物といえば、日本のお正月飾りに欠かせない南天(こちらは赤色ですが)に通じるような気がします。

皆様はどんな風に新年を迎えられたのでしょうか。2010年が、皆様にとって、健康で、沢山の小さな、大きな幸せに満ちたお年となりますように。

 
Que l’année 2010 soit pour vous remplie de plein de bonheur, de santé et de réussite !

 

2009年のクリスマス休暇は、ドイツのミュンヘンでパリとは一味違った雰囲気を。ロマンティック街道が縦断するドイツ南部のバイエルン州の州都ミュンヘン。この時期は、街中にクリスマスマーケットが。市庁舎前のマーケットは、夜のライトアップで、まるで宝石箱のよう。この地方特有の藁を使ったクリスマスデコレーションは、素朴な雰囲気。

南ドイツ発祥のドイツの高級ぬいぐるみメーカー、シュタイフがデパートのウィンドーを飾っています。機械仕掛けで動くように配置された様々な動物のぬいぐるみが、夢物語へと子供達を誘います。同じくドイツ生まれの玩具、プレイモービルも、クリスマスの主力商品です。

マイナス14度と雪が舞い散る中、クリスマス市巡り。路上では、赤ワインを温め、砂糖とシナモン、あるいは他のスパイスを加えたホットワインや、ドイツの伝統的なクリスマス菓子を販売する売店がある。しっかりとしたマグカップに注がれたホットワインを、売店近くに配置された東屋風のカウンターテーブルで味わうことができる。ホットワインで暖を取る人たちの群れからは、もうもうと白い湯気が立ち上っています。アツアツのホットワインも、あまりの寒さで、3分後には、すっかり冷たくなってしまうほど。凍えきった指先、足先を、ホットワインが暖めてくれた後は、マグカップを売店に返却して、代金一部を返金してもらうか、もしくはそのまま持ち帰る事ができる。各スタンドで、デザインも異なり、味にも微妙に変化があるので、色々試してみるのも面白い。

ドイツに来たからには、ビールにソーセージ、そしてプレッツェル! Hofbrauhausは、1589年創業の、ミュンヘンで最大のブラッスリーで、最大で5000人を収容できるという。バイエルンの民族衣装を着た人たちが給仕してくれる。レストラン内では、バイエルン特有の帽子を被った紳士達を沢山見かけることができる。そんな常連たちのマイジョッキが鍵付きラックにキープされている。