from 広島 – 4 - ウサギと毒ガスの島、大久野島。

(2009.10.20)

10月のはじめ、ようやく秋らしい風が吹き始めた、よく晴れた日曜日。JR三原駅で買った名物・たこ飯弁当をつつきながら、瀬戸内海を望む呉線の旅に出ました。

具材がいろいろ入っていて、出汁で炊き込まれたご飯がまた旨い。

海岸線ぎりぎりを走る二両編成のローカル列車。眼下には穏やかな瀬戸内海が広がり、カモメが悠々と羽を伸ばして水上を渡っています。しばらくポカンと海を眺めているうちに忠海駅に到着、ここから連絡船で向かったのは、一般自動車が入れない、島全体が国民休暇村となっている大久野島。

海の色と空の色がコントラストに

第二次世界大戦中には、陸軍により毒ガス兵器製造所が設けられ、秘匿のため地図上から消されていた大久野島。島影が近づくにつれ、廃墟となった当時の発電所が目に飛び込んできて、「国民休暇村」の内側にある、負の歴史の側面が露わになります。

のっそりと浮かび上がる発電所跡。

船を下りて島を歩いていると、さっそくウサギたちが、人懐っこい眼差しで近づいてきました。まるで警戒心も抱かず、のほほんとした柔らかい表情を見せるウサギたちは、愛くるしいのひとこと。このウサギたちを見るために全国から人が集まるというのも、うなずける気がします。

ウサギたちはみな、仲良さそうに群れています。
餌をもらえないかと、人にすり寄ってくるウサギ。
毒ガスの貯蔵庫跡。
一人で見ていると怖くなります。

そして、そんな愛くるしいウサギたちが跳ね回っている一方で、弾薬庫跡や砲台跡などの戦争の爪痕が、そこかしこにほぼ当時のまま残っています。家族でお子様を連れて遊びに来ている方もたくさんいらっしゃいましたが、いろいろと学ぶことも多いのではないでしょうか。

このまま、変に開発が進むことなく、ありのままの大久野島で、歴史を伝え続けてほしいと思います。ウサギと毒ガスの島「大久野島」、ぜひ訪れてみてはいかがでしょう。