from ニュージーランド 北島 - 11 - 日本文化を伝えるキウィ:アシュレー・ホルダーさん。

(2009.12.25)

今は毎年何万人という日本人が海外に出る時代ですが、逆に日本を訪れる外国人の数もかなりのものです。その中で、日本人以上に日本文化を愛し、日本の伝統を守ろうとしている外国人もたくさんいるのではないかと思います。ワークワースの近くにお住まいのアシュレー・ホルダーさんもそんな一人です。
 

師匠で父親でもあるアシュレーさんと息子のジェームズ君。
全部ジェームズ君の勲章。

アシュレーさんの奥様の陽子さんとは、ある日突然スーパーで出会いました。「日本人のかたですか」と声を掛けられ、当時は周囲に日本人などほとんどいませんでしたからとても驚いたのを覚えています。かれこれ10年ほどのお付き合いです。

「今度ね、寿司屋をやろうかと思って」と陽子さん。その発想自体は日本人ならよくあるものだと思い、その時は驚きもしなかったのですが、どうも話を伺っていると寿司を握っているのは陽子さんではないようでした。そう、ご主人のアシュレーさんだったのです。

アシュレーさんと陽子さんは陽子さんがワーキングホリデーでニュージーランドにいらした時に出会ったそうです。その後、89年に陽子さんの出身地である京都へ移り、91年に結婚。お子さんが生まれ、陽子さんは突如、自分の子供を守ることができるだろうかと不安になり、94年に護身術として二人で空手を習い始めました。「ヒマだったし、他にすることもなかったから」と週2回、夕方の6時から時には10時半まで練習を重ね、97年にはアシュレーさんは師範となりました。

お寿司が握れるほど手先が器用なアシュレーさんは能面にも興味を持ち始めました。陽子さんの親戚の中に能面を作られるかたがいて、アシュレーさんはそこに通い始め、能面を自分で掘り始めました。

金箔がきれいな能面。
何度も塗ってはやすりをかけて丁寧に仕上げたお面。
おひげもちゃんと付いてます。

初めて陽子さんのお宅にお伺いした時には彫りかけで半分はまだ木だった能面たちも、先日お伺いした時にはきれいに色づけされ、壁に掛けられていました。とても個人が趣味で作ったものとは思えないできばえです。本棚に並んだ能面の本は、陽子さん、渋い趣味をお持ちだなと思ったのですが、全部アシュレーさんのものだったんですね。

今はお子さんも3人になり、ご両親の元で3歳から空手を学ばれた長男のジェームズ君はニュージーランド・オープンとニュージーランド・セカンダリー・スクールの大会で優勝しています。空手のために日本にも数カ月滞在したことがあり、日本語(関西弁)も話されるそうです。もちろんジェームズ君もニュージーランドの子供。ラグビーでもカレッジのトップチームに在籍され、両方の文化をうまくミックスされています。「私たちも年を取ってきたのでこれからは上級者ではなく初心者から中級者の養成に力を入れたい」とお二人はおっしゃっていました。これからはクライストチャーチの後、海外での試合があるそうでご両親も大変です。

 

ジェームズ君の記事はこちら:
http://www.localmatters.co.nz/NEWS/07-08NewsMahu.html#17

空手教室は月曜日(初級)Snells Beach Community Centre 午後5時~6時、火曜日(中級)Warkworth Primary School 午後6時~8時となっています。その他の詳細はお二人に直接お問い合わせください。+64(9)425-5241