from ハワイ – 4 - POKEと書いてポケと発音、簡単ハワイローカル料理の作り方。

(2009.04.21)

鳥取のゴジラエビ、目眩がするぐらいウマそう、、。海老、カニ、貝、新鮮な魚介類が手に入りにくいハワイにいると日本の海の幸はもはや憧れに近いものがあります。憧れは空を舞い記憶に残るデリケートな味と舌触りが切ない思いに火をつけ、美味しいものがあふれる日本に「やっぱり帰ろうかな」なんて望郷の念に駆り立てられるわけです。ああ、これだからウェブサーフィンは気をつけないと、時に意外なものを目にして思い焦がれつらーい思いをするのです。

そんな訳で今回は食をテーマに、ハワイで獲れる新鮮な魚を使ったローカル料理、POKE、「ポケ」をご紹介します。そもそもポケとはEをエと発音するハワイ語の読み方、Eをイーと発音する英語では「ポキ」となります。ハワイ語では「細かいもの,小さく切ったもの」という意味になりますが、今日のハワイではポケといえばマグロやタコの和え物料理のことです。

TOBIKO AHI POKEスーパーマーケット、フードランドでは1パウンド$7.99。写真の量だとだいたいハーフパウンド450gぐらいで値段が$3.99ぐらい

ポケはハワイのローカルに、最も人気のあるPUPU(ハワイ語でおつまみ)です。スーパーマッケットのお惣菜売り場では、週末になるとパックのビールを片手に仕事帰りの男たちが1パウンド(約450g)、2パウンドと買い求めて行く姿が見られます。

飲み会におよばれした時も、好みのアルコールとポケを手みやげに行くのがハワイ式社交マナーと言えるかもしれません。チップスやフライドチキン,数あるつまみの中で値段から言ってもポケは王様といえるでしょう。量り売りだと丈夫なプラスチック容器に入れてくれるので、スーパーで買って容器のままでも食べられることから、男だけの飲み会でも、またパーティーホスト側の主婦にも必ず喜ばれるセンスあるお土産の代表です。

ただし一般のアメリカ人にはまだまだ魚を食べられない人が多くいます。集まる顔ぶれを考え料理を選ぶのは、ハワイのみならず人種のるつぼアメリカではこれも重要なマナーです。

文字を持たなかったハワイアンの文化では、ポケがどのぐらい昔から食べられていたのかはあまり定かでありません。キャプテンクックがハワイ諸島を訪れた18世紀後半、ハワイアンが魚を食べ、塩をもっていたことがわかっている程度です。後に骨や内蔵を取り除いて切り刻んだ魚を海藻やシーソルトと共に食べていたのではないかと考えられるようになりました。それがポケのルーツです。

19世紀にはいってハワイに様々な国から移民が来る事によって、それぞれの国の食文化にあった食べ方が工夫されるようになりました。トマトや玉葱、チリソースは明らかに西洋、南米諸国からのの移民が持ち込んだものと思えます。日本からは醤油やワサビが持ち込まれ今日のポケの代表的な味つけに定着したようです。

よくハワイアンソルトを使ってつけ込むというレシピが紹介されていますが、
塩で食物を漬け込むのは、食物を日持ちさせる代表的手法です。当時は味付けというより保存の意味合いが強かったのではないかと思われます。冷蔵庫のある現代では塩で漬け込む必要はあまり無くなり、オゴといわれる海藻もだんだんとれなくなって来ている事から、ポケと言えば塩より醤油で合えたものが最も一般的になりました。

ハワイアンの人はそのポケでも少し古くなって赤身が虹のような光沢を放ち,やがてグレーっぽく色が変色したものを好んで食べます。さらに日が進むと,切り身がまったりしてきて軽くねばってきます。魚は鮮度が一番と思い込んでいる日本人としてはかなり抵抗を感じるのですが,食べてみると以外にクリーミーで生臭くなく、不思議と食あたりした事もありません。

ハワイで獲れるマグロは体長1〜1.5mぐらい、中型のキハダマグロです。寒い海にいるマグロと違い脂はのっていませんが、全身が均一的に赤く引き締まっていてまるで赤いゼリーの様に奇麗です。キハダマグロは表層を群れで泳ぐ事からこちらの漁師はだいたい1本釣りで捕る様で、漁場から食卓まで冷凍される事無く届くので鮮度は抜群です。潮が良い時の週末などは自分で船を持っている人が自宅の庭や道路沿いに看板を出して売っている姿も時々見られます。

ワイキキからもバスで行けるドンキホーテのポキ売り場は種類が多くて圧巻。この日のポケはだいたいパウンド$7.49
サーモンと玉葱、トマト、青ネギを細かく刻んで混ぜたのがロミロミサーモン。ロミロミはハワイ語で「揉む」という意味
こちらはカニの足に砕いたククイナッツや青ネギ、海藻のオゴ、チリソースをあえたもの。時々辛さが違うのがご愛嬌
こちらも定番のタコポキ、軽くゆでたタコをマグロのポキと同じようにネギや玉葱とあえて食べる。

スーパーでの一般小売価格は1パウンド(約450g)がセールで$7ぐらいから、刺身用に切ってある上等なものなどは$20ぐらいまでします。

マグロは 日本料理のブームにのって世界中で需要が増えているようですが、アメリカでも 人気が上がりつつあります。

特に,ニューヨークやロスアンジェルスあたり、大都市のおしゃれ人間たちが集まるセレブリティシェフの高級レストランではサーモンと並んでアヒツナ(Ahi-tuna)やハマチ(Hamachi)を使ったシーフードがアメリカンキュイジーンの新定番として親しまれるようになりました。アヒとはハワイ語のマグロ、ツナも英語でマグロの事、なぜ両方の名前をダブルで呼ぶのか少々不思議ですが、ロイ山口などのハワイ出身セレブリティシェフの影響が大きいのではないかと思います。

 

スーパーベーシック、ワサビ醤油ポケ

材料
刺身用マグロブロック(さく)、玉葱、青ネギ、ごま油少々、味醂少々、ごま少々、醤油、ワサビ

作り方
1.材料を切る。マグロは一口大のブロックに、玉葱は薄切り、ネギは適当。
2.ボールに切ったものと調味料を全部放り込んで混ぜる。この時マグロを崩してしまわないように注意すること。ごまをまぶして出来上がり。冷蔵庫で1〜2時間冷やして少しまろやかになってから食する。

ステーキサイズの切り身にしてある方が刺身用ブロックより安くて断然お得。写真の切り身は430g、セールで一切れ$6.47
マグロの筋も気にせずぶち込むのがハワイ流。ハワイの玉葱は水にさらさなくても大丈夫だけど日本のはどうかな?
醤油、味醂、ワサビ、ごま油、チリソースとアジアの調味料はだいたいどこのスーパーでも簡単に手に入ります
塩分なら醤油だけでも十分、ハワイアンソルトを使うならほんの少しだけ、ミネラル分を拝借する感じで

応用編、スパイシー飛び子マヨネーズポケ

作り方
マヨネーズにホットチリソースを混ぜて刻んだアヒブロックに和える。最後に青ネギと飛び子を入れつぶしてしまわないように注意しながら大きく混ぜる。
刺身用マグロブロック、マヨネーズ少々、ホットチリソース少々、飛び子少々、玉葱は好みで入れて下さい。

Point
日本人の感覚では考えにくい生魚とマヨネーズのクリーミーな組み合わせ。チリソースはまさにワサビと同じ、香辛料が食あたりを予防する効果がある事を考えれば理にかなったレシピ。ハワイの人が飛び子を食べるのは日本文化の影響と思えます。

 
応用編,フライドポケ

材料
古くなったポキ(普通食べ残しで作っています。)玉葱、青ネギ、もやし、醤油、ごま油、みりん、塩、こしょう、

作り方
強火で玉葱ともやしを炒めて塩と胡椒で味つけする。少ししんなりしたらポキを入れて表面の色が変わってきたら青葱を入れ醤油,みりん、ごま油、ごまをかけ出来上がり。時間をかけずさっと炒めるのがコツ。

Point
炒めすぎてポケの中まで火が通ってしまうとあまり美味しくない。中はあくまでレアーをキープ。皿に盛ったご飯の横にのせてちぎった海苔でもかければハワイ風プレートランチの出来上がり。お皿を一枚しか使わないプレートランチは一人暮らしに最適です。