from パリ(河) – 15 - ボジョレー・ヌーヴォーが届いたよ!

(2010.11.22)
シックなパリ7区にある老舗ワインバー『オー・ソーヴィニョン(Au Sauvignon)』。

秋深まるパリ。歩道が街路樹の落ち葉でいっぱいになり、じとじと雨の降る灰色の天気が続く季節がやって来ました。11月は寒くて気分の滅入ることが多いのですが、ワイン好きにはプリムールという新酒のワインが解禁となる楽しい
月。各産地にいろいろなプリムールがありますが、最も有名なのは日本でもお馴染みのボジョレー・ヌーヴォーです。

毎年この月の第3木曜日になると、ワインバーやカフェでは、「Le Beaujolais Nouveau est arrivé ! (ボジョレー・ヌーヴォーが届いたよ!)」というポスターが張られ、葡萄や枯葉をモチーフにした飾りや風船などでお祭り気分を盛り上げます。ギャルソンもこの日は特製の麦わら帽子やエプロンを身に着けてサービス。本国フランスでも毎年、元気がなくなっていく感が否めないお祭りですが、それでも、「別にうまいもんじゃないんだけどね。まあ、季節ものだから、お祭り気分で1杯」、というのがフランス人にとってのボジョレー・ヌーヴォー。最近は農薬をあまり使わない自然派のヌーヴォーが特に人気を集めています。

ワインショップで買って、家で飲むのも良いけれど、ワインバーで皆でワイワイ騒ぎながら飲む方がお祭り気分を味わえて一段と楽しい。パリでこの日最も盛り上がることで有名なバーは、パリ1区のサントノーレ界隈にある『Rubis(ルビー)』。フランス人はあんまり人前で泥酔することはないのですが、この日のこの店では例外で、夜中近くになると救急車や警察が来ることもしばしば。パリで初めてボジョレー・ヌーヴォーを楽しむ機会のある方は、まずはここに行ってみることをお勧めします。

さて、私も毎年恒例のヌーヴォーを味わってきました。今年は友人とパリ左岸のセーブル・バビロン界隈で、老舗デパートの「ボン・マルシェ」の近くという、絶好のロケーションにある『オー・ソーヴィニョン(Au Sauvignon)』に出かけました。1954年創業のこのワインバーは、外観は素朴で何の変哲もないビストロ風の店ですが、ワインのセレクトが良いと評判で、夕方になるとアペリティフを楽しむおしゃれな常連客が集まる名店です。
 

パリ7区のワインバー『オー・ソーヴィニョン(Au Sauvignon)』、11月の第3木曜日は人でいっぱいでした。

 

ワインと簡単なおつまみしかないこのワインバーでは、フランスならではの「カスクルート(Casse Croute)」という、バターを塗った田舎パンにパテ、生ハム、サラミ、チーズを挟んだだけの素朴なサンドウィッチが楽しめます。素朴と言っても、パンはご近所のポワラーヌのもので、パテやチーズなども定評のある生産者から仕入れているので、素材の良さはお墨付き。ポワラーヌのトーストパン付のフォワグラも美味です。

このお店で出していたヌーヴォーはきれいなルビー色で、若いベリー系の果物の香りがする、フルーティですっきりとした味わいのものでした。後で頭が痛くなるということのない、良質なヌーヴォーでした。

夜も更けてくると、流しのミュージシャンが入り、お店のオーナーであるマダム自らが指揮を取って、「オー・シャンゼリゼ」などを皆で合唱。ヌーヴォーは、古き良きフランスの田舎を思い起こさせる、素朴な雰囲気で楽しむのがやっぱりいいですね。

きれいなルビー色のヌーヴォーをグラスでオーダー。1杯5ユーロぐらい。オーベルニュ地方の生ハムを挟んだカスクルートと一緒に。
ジャーナリストにカメラを向けられてポーズを取るスタッフ一同。
大好きなシャンソンを歌ってご満悦の様子のマダム。

 

店内の壁いっぱいに張られたポスターたち。昔のボジョレー・ヌーヴォーのポスターがノスタルジックでかわいい。

パリのお薦めワインバー

Rubis(ルビー) 
住所:10 rue du marché Saint-Honoré 75001 Paris

Au Sauvignon(オー・ソーヴィニョン)
住所:80 rue des Saints-Pères 75007 Paris