土屋孝元のお洒落奇譚。「シノポルトギース」の街並み、
プーケットタウンにおりました。

(2012.09.24)

プーケットは
パンガーロードと呼ばれるあたりの街並みが好きです。

プーケットタウンにおりました。

プーケットの中心地パトンからはタクシーで3、40分ぐらいでしょうか、朝のラッシュにぶつかると時間は正確に読めません。
このプーケットタウンには もう3年も通っていますが、何がそこまで惹きつけるのかと言えば、パンガーロードと呼ばれるあたりの街並みでしょうか、何軒かお気に入りの店があるからでしょうか。

まずはプーケットの簡単な歴史から。ポルトガルの植民地として開発され アンダマン海の嵐を避けるには申し分のない良港で、その後、島で錫(ピューター)が発見されてから発展を遂げるのです。

錫は食器や酒器にするには沸点が低いので加工がしやすく、水を浄化する作用があるとか。お酒をも美味しくしてくれるようです。僕も昔、買い求めたピューター製のウイスキースキットルを持っています。それはマレーシア・クアラルンプールのバザールで買ったもので、もう30年も前のものです。もしかしたらプーケット製だったのかもしれません。

このプーケットタウンには「シノポルトギース」と言われる建物も多く、マカオで見かけるようなカラーリングで何処となくデコラティブでコロニアル風の外観です。その後移住してきた、客家や福建の人々が街に道教の中国寺院を建て、このシノポルトギースの住居に住み、今に至ると簡単な流れです。

最近はこの古い街並みに骨董店や洋品店、アートショップ(プーケット在住の作家の現代絵画を売るお店です)、カフェができています。僕のおおすすめ、『ライダースカフェ』はインテリアとして店内にハーレーが飾ってあり、オーナーはイージーライダーの映画に出てくるようないかにもヒッピー系の人物でした。

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そこでは可愛いタイ人の女の子達が働いています、壁の現代絵画もとても良いセンスです。そこで僕はハム&チーズのサンドイッチを注文しましたが、このサンドイッチがとても美味しくて、もしかしたらパトンあたりのホテルより美味しいかもしれません。ここプーケットタウンでは街にパン屋さんを多く見かけるので、そこのパンでしょうか、

全体にゴマが乗った、固めでしっかりとしたパンに味の濃いサラダ菜とハムチーズ、マスタードが良いアクセントです。カフェラテもスターバックスよりも美味しいと思いました。

そのほか、イタリアンレストランの僕のオススメは『サルバトーレ』、インテリアはポルトガルらしいタイル張りでいい雰囲気です。

この夜は僕らも含めて3組みのお客しかおらず、ゆっくりと周りを観察します。

現地のお金持ちそうな中国系(客家?)タイ人ファミリー10人お祖父さん、お祖母さん、両親、子供達が誕生会を開いているところ。もう一組はイタリアからの旅行者らしき3人組おじさんグループでサルバトーレさんの友人でしょうか、タイ人ファミリーの誕生会を見て、『オー・ソレ・ミオ』、『サンタルチア』を歌ってプレゼントして盛り上がっていました。オーソドックスなイタリアンで、ワインも沢山の種類があり、プーケットタウンでは他にはない品揃えではないでしょうか? お昼はオープンしていないのであしからず。夜帰る時にはタクシーを呼んでもらって下さい。帰りは街に流しのタクシーがいないのと、ほとんど真っ暗で危ないならです。
 


『ライダーカフェ』のサンドイッチ。
ジョブさんのお店で
アンティークのタペストリーを。

僕のお目当てのお店『craft clothes jobandthings』は、ジョブさんという女性のお店で、彼女はいつも店内でミシンをかけたり刺繍をしています。

彼女が自ら制作した洋服やアクセサリー、アジア雑貨や木彫の仏像、象や獅子の陶器の置物、真鍮の仏手、アンティークの漆の道具類、籐や竹のバック、様々なバティック、古い布をパッチワークしたカバー類、まるでエトロにもありそうなインドのパシュミナシルクスカーフ、自然の染料で染めたタイシルクのスカーフ類、民族衣装を加工した洋服、民族衣装の端切れを使ったサンダルや小物入れ、貝やターコイズを加工したアクセサリー、清朝の衣装のようなデザインのジャケット……などなど出かけるたびに色々なものがあり、入れ替わります。

僕が最近手に入れたものはアンティークのタペストリーで、仏様が織り込まれて刺繍もしてあります、絶対に洗わないようにと言われました。お店の一番高い棚に小さな小乗仏教の金銅仏が沢山あり、見せて欲しいと言ったら、すみません、自分のコレクションで売れないと言われてしまいました。

この並びにはレースを使った今風なファッションの店などもあります。この店にもデザインされたタイシルクのサンダルが沢山ありました。

このプーケットタウンも普通に通れば、さびれたタイの街並みでしかありません、ゆっくりと時間をかけて見て回らないと面白いお店は発見できないのかもしれませんね。くれぐれも夜の路地にはお気をつけて。


プーケットタウンの時計台、街の目印です。

●土屋孝元さんの展覧会
2012年10月15日〜20日まで『銀座ギャラリーゴトウ』にて個展開催!