from モスクワ – 12 - ここは銃持ち込み禁止!

(2010.10.07)

「そこのあなた! 銃を持って入ってはいけません!」
日本でこんなこと言われることはめったに無い。
それは、日本での銃の所持には許可がいるものであり、
銃を持っていないことが前提だからだ。

ロシアでも基本的には同じことだとは思うのだが、

「銃刀持込禁止」! いや、あの…言われなくても……。

大きなショッピングモールやスポーツ施設などで時々見かけるこのステッカー。
飲食禁止や禁煙、ペット禁止は日本でもあるが、
これは銃や刀剣類の持込禁止ステッカーである。
何も間違ったことは言っていないが、
改めて「銃刀を持ちこんじゃ駄目よ!」と言われると、少しビクッとしてしまう。
もちろんロシア人が皆、銃を持ち歩いているわけではないのでご安心を。
(ちなみに、中南米・アフリカなどもでこのようなステッカーを見ることができるらしいです。)

映画館入口のボディチェック。

この奇怪なステッカーが貼っていなくても、
人が集まる所にはほぼ確実にボディチェックのゲートが存在する。
まるで飛行場でハイジャック犯を探すような雰囲気である。
と言ってもこのロシア人警備のチェックは結構甘い時もあり、
検知器がピーピー鳴っていても「はいはい、もう通れ」という感じで通してくれることもある。
こういう所はあまりロシア人に寛容になって欲しく無いのだが……。

他にも、オフィスビルに入館する時にパスポートチェックがあり、
記録が取られることもロシアではよくあることである。

これだけチェックの目が多いのは、やはりテロの脅威との関係があると思われる。

モスクワ地下鉄テロ事件直後、駅に入れず混乱するロシア人たち(2010年3月29日、事件のあった駅から約2.5km離れた駅にて)。

地下鉄テロ事件や劇場占拠事件など、テロ事件は突然やってくる。
それを防止する為に様々なボディチェックなどがあるのだから、
面倒くさがらずに協力しないといけない。

テロの脅威に関する看板!

時には、
「爆弾のありそうなところ」
「爆弾を見つけたら」
「人質になってしまったら」
などのノウハウ満載の看板もあったりする。
「人質になったら……」と考えたことは今までなかったが、
こういったことも知らないといけないのかと感慨深く感じてしまった。
ここまで来ると、街中にガスマスクの自動販売機があるのも納得できるのである。
「驚くべきモスクワの自販機!」 参照

こうやって書いてみると随分と危険な国のような気がするが、
当のロシア人と話をしてみると「テロは確かに怖い、だけどその時は、その時。
とにかく今を生きなさい」といったような意識が強いように感じる。
ロシア人は意外と重いものを常に抱えていると思うのだが、
それを吹き飛ばすかのように、陽気に今日も一日楽しく生きているのである。