from 北京 – 22 - 酔いどれ広報マン、芸術に酔いしれる。

(2009.12.28)

ニイハオ、いつの間にか、もうすっかり年末ですね。日本に居れば「やれ忘年会だ」「やれクリスマスパーティだ」などとお誘いがあったり、お誘いをしたりするのでしょうが、現在の「24時間働けますか」的なワタシの労働環境では、そんなことは願うべくもなく(クライアントの皆様、お仕事ありがとうございます!)。先日、日本の本社スタッフとの電話で「今日は部の忘年会なんですよ」と聞いた刹那、寂しさが胸に去来しました北京の冬……ってな感じでございます(泣)。

日本も今年の冬は寒いのでしょうか? こちらは真冬です、寒いです。今日は最高気温がマイナス2度、最低気温がマイナス13度……ってアンタ。そんな中、以前からどうしても行ってみたいと思っていた国家大劇院に、先日出掛けてきました。立て続けに2公演に出掛けたのですが、1つはライプツィヒ・ ゲヴァントハウス管弦楽団の来中公演、2つ目はアメリカン・バレエ・シアターの来中公演。いずれも素晴らしいパフォーマンスで、大満足でした。

日本に居た時に、NHKで熊川哲也のバレエをたまたま目にして以来、是非生でバレエを観たいと思っていたのです。

国家大劇院は、天安門の南西、人民大会堂の裏手に位置します。まず到着して最初に目を奪われるのは、その外観。Paul Andreuによる建築。周りが中国の伝統的な建築に囲まれているため、ひときわ異彩を放っています。しかし、あまりにそのコントラストが強烈なため、奇抜な近代建築の多い中国にあっても、立地の問題も相まって随分批判も大きかった建物です。とはいえ、非常に人気のある観光スポットであり、天安門に訪れる国内外の観光客が記念写真を撮りに集まってきます。私はまあガイジンですので、こういう「伝統と近代」のコントラストは美しく思えるのですけど。

ガイジンにはThe Eggと呼ばれる、その外観。水の上に浮かんでいるように出来ていて、水面に反射するその姿は非常に美しい。
うってかわって、エントランスはまさに中国、という感じ。江沢民の筆による文字が、ドーーンと。
吹き抜けの様子。国家大劇院には、オペラハウスを含め3つのコンサートホールがあり、「国家」の名に違わぬ素晴らしい施設です。

さて、閑話休題。まずはライプツィヒ・ ゲヴァントハウス管弦楽団の公演から。こちらは非常にチケットの売れ行きが早く、我々が取れたのは(コストの問題もありますがw)チケットセンターにもお勧めされた、オーケストラの真裏に位置する席。

最初聞いたときは、えー?という感じだったのですが、これが正解。最前列だったので、演奏者の動きがよく見えることに加え、指揮者を見るのが面白い!当然、演奏者はこちらに背中を向いているんですけど、指揮者はこっち向いてるワケです。つまり、どんな表情でどんな指揮をしているかが、演奏家の視線で見れるんですよね。これはオーケストラ初心者にはうってつけの座席でした。肝心の演奏も素晴らしく、心地よい音の振動に身を委ねてみたり、流れてくる音を因数分解してみたり。目をつぶって聴くと、どれだけ目でに入ってくる情報が「聴く」ことの障害になっているかに、改めて気づかされたり。(だから目をつぶって聴くのか!と)

チェックに余念がない、演奏者。開幕前、最前列の私がステージ上にものを落としてしまい、拾ってくれたナイスガイ。
しかし、本当にこの距離、この目線で観られるなんて、本当にスゴい。自分が演奏家になったような気分になります。

次は、アメリカン・バレエ・シアターの公演。中国での初公演とのことで、最初の2日間は「Asia Premiere of ABT’s Contemporary Ballet Gala」その後の2日間は「ドン・キホーテ」という演目でした。俄然、コンテンポラリーダンスに興味のある私としては、前者をチョイス。バレエの肉体芸術的な部分に、興味があったのですよ。これまた大正解。特に「Everything doesn’t happen at once」という演目が素晴らしかった。ステージの照明効果から、演出までが本当に完成され尽くされていました。

この演目は、4つの演目のうちの最後。3つ目と4つ目の演目の幕間の休憩時間に、突然幕が開いてしまうんですよね。すると次のステージの準備をしていたり、ダンサーが打ち合わせしたり、練習したりしているのが見えてしまうのです。(それも演出だった)それが時間になると突然、彼らが極めて精緻に整列し、踊りだし、そのあとは・・・ちょっと伝えきれません。本当に「踊ること」に向き合った時間というか、濃密な時間でした。本当に素晴らしかった。中国人の観客も、そんなにバレエを見慣れた人ばかりではなかったと思うのですが、やはり思いは同じなのでしょうね。一番驚嘆の声も、拍手も大きかったです。

こちらはオペラハウス。4階建てになっていて、幕の前はオーケストラピットになってます。
あまりに素晴らしかったので、有料のパンフを購入してしまいました。あー、スゴく良かったなあ。
私が気に入った演目 “Everything doesn’t happen at once” バレエ技術を現代的に解釈するようなパフォーマンスでした。

こんな感じで、忙しい中につかの間のひとときを満喫しました。次回から、誰かが北京に遊びに来てくれた時は、一緒に何か観に行ってもいいかな、と思いました。日本よりもチケットも安いですし、タイミングが良ければ、日本では入手しにくいコンサートのチケットも入手できるかも!?  

さて、きっと今回が今年最後の記事エントリになると思います。1年間、あまり更新頻度も高くはありませんでしたが、拙文をご覧頂きありがとうございました。来年もどうぞ宜しくお願いします。皆さん、良いお年を。ではでは、新年快楽!