from パリ(たなか) – 1 - 花盛りのパリ。

(2009.05.07)
モンスリ公園を入ってすぐ、八重桜の木があった。これは上品なピンクだが、もっと濃いピンクの桜が多い。緑の芝に植わった桜の木というのは日本では見慣れない風景だ
自由気ままに大きくのびたマロニエは見ていて気持ちいい。パリ市内で見るマロニエの街路樹は直方体というか、角刈りにきっちり剪定されたものもあるが、あれはあれでシャキッとした景色が気持を引き締める
石畳の坂道をだらだらと登って行く。こんなところにオフィスが持てたら最高

パリには4月15日の夕方到着した。空港から私が滞在するブーラレーヌ(Bourg la Reine)へ郊外高速電車RERで移動する間、窓の外に見えるいろんな木の花を楽しんだ。リラ(白・青・薄紫・濃紫)、マロニエ、メキシカンオレンジ、アンズ、フジ、サクランボ、そしてヤエザクラ。なんと、あちこちで八重桜が満開ではないか。

さっそく翌日、RER沿線にあるモンスリ公園(Parc Montsouris)へ向かう。パリ方面へ10分ほど、国際大学都市(Cite Universitaire)駅がそのまま公園の入り口になっている。白い花をつけたマロニエの大木、起伏のある園内を緩やかにカーブする小道、緑の芝生には白い花、気持ちよく配置されたベンチなど、古い英国式の庭園だけあって、どこか日本人にしっくりと馴染む。

公園を出て、西側の住宅街をイナバさん(パリ在住の友人)の道案内で歩く。この界隈には1920年代にブラックなど近代の画家達がアトリエを構えたそうだ。年代物の瀟酒な一軒家も残っていて、建築好きにはたまらない通りだ。建物だけでなく庭木のセンスも素晴らしい。塀に絡ませたフジの花が妖しく香り立つ。藤は日本の花だと思い込んでいた私には驚きだ。藤だけでなく、レンギョウ、山吹、そして八重桜。日本の花より立派(派手)だったりするが、フランスには印象派以降しっかりとジャポニスムが根付いているのを強く感じた。

この通りの終点に、ル・コルビュジェ設計のアトリエがあった。彼がパリで最初に建てた建築物らしい。大きなガラス窓のある3階建てアトリエは1923年に建てられたとは思えないほど現代的だ。モンスリ公園の南に接した大学都市にあるスイス館も、コルビュジェの作品として有名。

桜は東京で見納めした気分だったが、桜前線が空と海を越えてパリまで続いていることは新発見だった。リラやフジの甘い香りに包まれて、いい季節にパリに来たことをしみじみラッキーだと思う。

正面の白い建物がコルビュジェ設計のアトリエ。2階へ上がる螺旋階段が東京の日仏学院を思い出させ、懐かしかった
壁の装飾タイルはクリムト風。紫のリラも、どこかウィーン世紀末の風情
こういう藤の這わせ方もあったか。藤棚で下から見上げるものという固定観念があっさり崩れ去った。素晴らしい。この家の藤が特別なのではなく、閑静な住宅街の庭で藤の花を見かける確率は日本より高いくらいだ