from 福岡 - 5 - 福岡県夏の祭。躍動の夏、響きの夏、輝きの夏。

(2010.07.08)
関門海峡花火大会 門司港また下関の両サイドから花火が打ち上げられます。 今年は8月13日に開催。開会式19:40~、花火19:50~20:40 

太鼓の音、下駄の音や花火の音、また、それに混じるセミの声。わくわくして居ても立ってもいられなくなります。それらは、故郷を思い出させ、家族を思い出させ、そして、子供のころに戻らせてくれます。祭りになると町に活気が出て、町中が元気になります。小さいころから家族総出で祭りの準備をしたり、参加をしていました。夏生まれの私だから夏が好きなのか、祭りが好きだから夏が好きなのか、そんなことはどうでもいいことなのでしょう。

アメリカに住んでいた私は、一番接続のいいフライトで福岡まで戻り太鼓を叩くことを楽しみにしていました。サンフランシスコから関西空港まで戻り、新幹線で小倉に戻るのが土曜日の8時に着く行き方。スーツケースを押しながら家まで猛烈に走ります。家では母が待ってましたとばかりに浴衣を用意しており、スーツケースを家に投げ入れ、浴衣に着替え、ばちと共に、町内へ山車(だし/飾り山)を探しに走ります。

私の町内の山車は「竜神」。雄龍、雌龍がからみあった山車。息を切らせて山車を見つけると、「おかえり」と顔なじみな町内の人たちから声がかかります。一年に一度しか会わないにもかかわらず「久しぶり」と会話が弾みます。祭りのおもしろいところはこれなのかなと思います。遠方にいる人が戻る場所、戻る機会を提供し、そして、また、来年も祭りのときに戻ってこようと思うのです。

今年から日本に住むことになった私は、祭りを準備するほう側にたって、つくづく祭りはたくさんの人の協力から成り立っているのだなと感じます。ボランティアをはじめとする人や町、行政、法人が一体となって祭りをつくり、それが、人を呼び、それが町へと還元され循環されているのを感じます。

今の季節、祭りが近くなったことにわくわくしています。暑さとともに祭りがやってくるのを感じます。

帰国して最初、5月にお祭りに行ってきました。長崎街道の起点、小倉北区室町の室町商店街周辺で5月2日、街おこしイベント「長崎街道起点ちゃ室町」が開かれました。明治時代をイメージしはいからさん大募集と、羽織袴やドレスを着る女性が募集されました。私ははりきってドレスを着ることにしたのです。

せっかくのお祭りですもの少し派手でもよいかしらと挑戦したところ、少し派手どころではなくかなり派手でした……。ドレスは結婚式のお色直しほどのドレス……。ですが、街は、はかまやドレス姿の「ハイカラさん」が42名で華やかな雰囲気になりました。イベントは、室町地区活性化自治連絡協議会が4年前から主催。人力車に乗ったり、記念撮影に応じたりと少しモデルさん気分を味わえてうれしかったです。女性陣、是非来年はお試しくださいね。

紫川沿いにはハイカラカフェと称して、ハヤシライスやあんみつが味わえる野外喫茶もお目見えし、にぎわいをみせました。屋台では、流し素麺、焼き鳥、焼き芋、などもありました。バナナの叩き売りや祇園太鼓が披露されました。バナナの叩き売りは初めて見ましたが、落語ともいえる口調ですっかりファンになってしまいました。勢いとリズムのよさにのってしまい、「はい、これ200円」と言われ、元気に「はい」と手をあげて、大房のバナナを200円で競り落としてしまいました。

バナナの叩き売り
祭でであったトロントから来たトランポリンパフォーマーのケイラさん。
祇園太鼓を披露してくれたチームとパチリ。
はじめてきた日本でお茶を挑戦。かなり顔をしかめていました……。

人力車に乗ってカメラマンさんにポーズを取るように言われたりしてモデルごっこをしたあとに、なにやら、外国人が近よってきて写真を一緒に撮ってくださいといわれました。
「もちろんいいですけど、こちらで何をされているんですか?学生さん?」と聞くと、「トロントからトランポリンしにきたのよ。」
「??」
はて、さて、なんのことでしょう。トランポリン?

なんでも彼女は、リバーウォークというショッピングモールにサーカスショーのために来日している団員さん。まさか、サーカスの方と知り合いになるとは思いもしませんでした。ショーが始まるまであと2時間。彼女に「羽織袴着てみる?」とおせっかい心を出してきいてみると。是非着てみたいとのこと。私は、彼女に羽織袴をきせてもらうよう運営員の方にお願いし、写真を撮って、お茶も体験していただきました。初めて来た日本が北九州で、いきなり洋服を脱がされて羽織袴を数名の方から着付けされるとは、なんとも貴重な体験だったでしょう。目を白黒させながら、されるがままのケイラさん。苦いお茶も体験し、写真を撮ったあとに、いそいそとショーのために戻っていきました。彼女はお礼と夕方のショーを見に来るようにと私に告げ帰って行きました。

お祭りを終え、ドレスを脱いですっかり、姫様から平民(?)に戻った私は、早速、サーカスを見にリバーウォークへ行きました。人だかりができ、2階、3階からも覗き込む観客がいるほどでした。サーカス団員の中には、バンクーバーオリンピック開会式に空中ブランコを披露したというパフォーマーもいました。ケイラさんは、レオタード姿でトランポリンの華麗なショーを披露しています。驚きです。さっきまで羽織袴をきて一緒にお茶を飲んでいたとは……。

ショーが終わってから、声をかけると、是非夜一緒にでかけたいとのこと。4名のサーカス団員と夜でかけることになりました。ほとんどの団員は、カナダの有名なサーカス大学を卒業しパフォーマンスを各国に招かれて披露しているそうです。夜は英語メニューもあるアイリッシュバー『BOOTIES』に出かけました。

約束時間前に友達と「電信柱でバランスバーと化してたり、ドリンクでジャグリングとかしたらどうしようか」と冗談をいっていましたが、そんなことはまったくなく、普通(?)に、わいわいと愉快な夜となりました。
 

チャイニーズポール。直立する一本のバーを使ったスリル満点のアクロバット。相当なバランス感覚と筋力が必要なパフォーマンス。
キャットウォールトランポリン。トランポリンを利用して高さ4mの壁を駆け上がる神業アクロバット。さっきまで、羽織袴でお茶を飲んでいたケイラさんがレオタードでトランポリンする姿はなんとも驚きでした。
エアリアルストラップ。2本のストラップを使った縦横無尽な空中アクロバット。これもスリル満点なパフォーマンスでした。
パフォーマンスは盛大な拍手と歓声に包まれてフィナーレを迎えました。

今までで一番不思議な出会いでしたが、サーカス団の方々は福岡に来るときには必ず連絡すると約束しお別れしました。彼らにとっては出会った人を通して日本を感じ、福岡を感じたと思います。彼らが日本、また、福岡はよいところでまた訪問したいと思ってもらえたら、こんなよいことはないでしょう。外国人に限らず、どの場面でも、会えてよかったと思える人でありたいものです。

その晩はサーカス団員と夜は飲みにいくことになりました。わいわいと楽しい夜でした。

祭りとは、出会いの場でもあるのだと、また、お祭りが好きになったのでした。皆さんも、お祭りに行って、町や人のエネルギーを感じ、元気をたくさんもらって、そして、自分の町をもっと知ってもらえたら、もっと好きになれたらと思います。それが、地域を元気にし、豊かにするのではないかと思います。

 

福岡県夏の3大祭カレンダー

 
博多祇園山笠 7月1日(木)~7月15日(木)

博多の町が祭り一色に彩られる博多山笠。豪華な「飾り山笠」と勇壮な「かき山笠」に、「おっしょい、おっしょい」の力強い響き、博多の街に夏本番を告げる。沿道からの勢い水を浴びながらフィナーレの「追い山笠」は必見です。

主なイベント
1日(木)~15日(木)飾り山笠、12日(月)16:00〜、追い山ならし。13日(火)15:00〜、集団山見せ。15日(木)5:00〜、追い山笠。

博多山笠。
小倉祇園太鼓 太鼓競演会。
小倉祇園太鼓 飾り山。

小倉祇園太鼓 7月16日(金)~7月18日(日)

小倉城下に、両面打ちの太鼓とジャンガラ(すり鉦)が響きます。小倉の祇園祭は「太鼓祇園」としても有名です。その名の通り勇壮な太鼓の音が主体の賑やかな祭りです。「あ、やっさ、やれやれやれ」の掛け声とともに太鼓が腹まで響きます。

主なイベント
太鼓競演会7月17日(土)15:30〜19:00、小倉城大手門広場で。据え太鼓競演会18日(日)11:30〜17:30、小倉城大手門広場にて。太鼓広場18日(日)17:30〜21:00、小文字、みかげ通りなどで。

 
戸畑祇園大山笠 7月23日(金)~25日(日)

揃いの法被の鉢巻き姿の若衆が、「よいとさ、よいとさ」の掛け声とともに12段重ねの提灯大山笠をかついで町を練り歩き、勇壮、優美な競演会を繰り広げられます。昼の格調高く華麗な幟山笠が、夜になると309個のちょうちんの光に彩られた美しいピラミッドへとなります。その勇壮な姿は必見です。

主なイベント
大山笠競演会7月24日(土)18:30〜21:00、戸畑区役所前で。

 

戸畑山笠。

 

ほかにこんなお祭りも。
 

黒崎祇園山笠 7月20日(火)〜7月23日(金)

20日(火)19:00~21:00、山笠競演会(前夜祭)。21日(水)、22日(木)街中巡行。23日(金)16:00~18:30、太鼓競演会、19:00~21:00 解散式(フィナーレ)。
 

黒崎祇園山笠。

 

福岡花火カレンダー

http://www.jalan.net/jalan/doc/theme/hanabi/40.html

 

くきの海花の祭典 7月30日(金)20:00~20:45