from ロンドン - 1 - 斎藤理子のロンドンオリンピック便り「持続可能性」を追求する、
7月開催のロンドンオリンピック。

(2012.01.10)

2012年7月27日から始まる、ロンドンオリンピック&パラリンピックに向け、着々と準備が進んでいるイギリス。1908年の第4回、1948年の第14回に続き3度目の開催となるロンドンですが、同じ都市での3回開催は世界初とあって、成功に向けての意気込みはかなりのもの。「持続可能性」をテーマに、様々なアプローチで後世に負担をかけないエコなオリンピックの実現に取り組んでいます。夏に向けて徐々に盛り上がりを見せるロンドンとイギリス各地の様子を、お伝えしていきます。

最新エコ技術を駆使して、
環境に負担の少ないオリンピックの実現。

ロンドンオリンピックのメイン会場は、ロンドン東部のストラトフォードに新しく建設中のオリンピック・パーク。このエリアはかつて、小さな工場がひしめき合うロンドンの最貧地区でした。土壌は産業廃棄物や化学薬品で汚染され、川は工業排水で汚れ切っていたといいます。オリンピック開催決定は、半ば見捨てられたこのエリアを再生させるプロジェクトのスタートでもありました。

工場や住居をすべて移転させ、汚染された土壌もすべて撤去。なんとそれを完璧に洗浄し、安全が確認された後再利用しているのだそう。250エ−カー(2.5平方km)という広大なスペースの、200万トンあまりの土をすべて洗浄するなんて、気の遠くなる話です。4000本の木が植樹され、川も浄化されて清流に生まれ変わったパークは、オリンピック後にはヨーロッパ最大の都市公園になる予定です。

新設のオリンピック・パーク。
将来の利用を見据えた設備作りが進みます。

オリンピック・パークでは、開会式と閉会式、陸上競技が行われる「オリンピック・スタジアム」、水泳競技会場の「アクアティックス・センター」、バスケットボールと近代五種会場の「バスケットボール・アリーナ」、ホッケー専用の「ホッケー・センター」、ハンドボール専用の「ハンドボール・アリーナ」、自転車競技が行われる「ヴェロドローム」、ウォーター・ポロ専用の「ウォーター・ポロ・アリーナ」などの施設が建設中です。

「オリンピック・スタジアム」の屋根は、ストラトフォード再開発の際に不要になったガス管で作られています。オリンピック期間中の収容最大人数は8万人。スタンドの一部が取り外せて、終了後は目的に合わせて席数が調節できるようにデザインされています。将来的にはプレミアリーグのウエストハム・ユナイテッドの本拠地になる予定。

「ヴェロドローム」は、ほぼ100%自然換気で、自然光で採光し電気利用を最小限に抑える造りになっています。終了後に解体される「ウォーター・ポロ・アリーナ」の建材はすべて再利用される予定。各競技場の屋根から集められた雨水をトイレや灌漑に使用するなどなど、随所に環境やエコに配慮して可能な限り再利用する工夫がされています。

オリンピック観戦とショッピングが
ひとつのエリアで楽しめます。

オリンピック・パークを1周できるサイクリング・ロードはすでに整備され、建築中の競技場や聖火台を眺めながらのサイクリングやウォーキングが人気です。世界的建築家ザハ・ハディッドが手掛けた「アクアティック・センター」の優美な曲線を眺めたり、日々出来あがって行く聖火台の定点観測をしたりと、建築現場なのに毎日結構な人出なのにはちょっと驚きます。

実はこのオリンピック・パークには、「ウエストフィールド・ストラトフォード・シティ」という、都市型としてはヨーロッパ最大のショッピングセンターが隣接しています。こちらはすでに9月11日にオープンし大人気。訪れたのは平日にもかかわらず、ヨーロッパの経済不安は本当?と思えるほどの盛況ぶりです。これは完全に民間の経営ですが、地下鉄ストラトフォード駅に直結していて、オリンピックついでにショッピングも楽しんでしっかりとお金を落としてね、というわかりやすい商魂なわけです。

オリンピック・パークへのアクセスはいたって簡単。環境に配慮するという観点から、「公共交通機関オリンピック」もテーマに掲げているため、オリンピック・パークに個人用の駐車場は用意されていません。その分、アクセスしやすい交通網の整備がほぼ完成されています。地下鉄なら、オックスフォード・サーカス駅からセントラルラインで9駅。ジュビーリーラインのタワーブリッジ駅からは7駅。どちらも20分ほどでストラトフォード駅に到着します。他にも、ドッグランズ・ライト・レイルウェイ(DLR)やロンドンオーバーグラウンド、ナショナルレイルが利用できます。キングスクロス&セントパンクラス駅からは、最新の高速鉄道“オリンピックジャベリン”(日本製!)で、なんとたったの7分で到着です。

ロンドン観光も「オリンピック・パーク」も「ウエストフィールド・ストラトフォード・シティ」でのショッピングも全部楽しみたいというなら、ホテルはロンドン・ブリッジの南にある「バーモンジー・スクエアホテル」がおすすめ。モダンでお洒落なこのブティックホテルは、Tripadvisorサイトの2010年トラベル・アワードで“トレンディエスト・ホテル・インUK”を受賞。ロンドンで、今最もヒップなホテルのひとつとして注目を集めています。お洒落な雰囲気に加え。東にも西にもアクセスしやすい立地が魅力です。

オリンピック・パーク以外にも、ロンドン中心部や郊外でさまざまな競技が予定されています。次回はロンドンや近郊の名所旧跡を実際に利用して開催されるオリンピック競技についてお伝えします。

【関連リンク】
ロンドンオリンピック&パラリンピック公式サイト
ウエストフィールド・ストラトフォード・シティ
バーモンジー・スクエアホテル
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【協力】
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