狗飼恭子のロマンティック・オアフ・ストーリー - 4 - アロハ・スピリッツの象徴として
感謝や祝福、愛情の込められたレイ。

(2011.06.24)

オヒアレフアに約束を(4/31)
 ホテルに到着するとすぐに、ムームーを着た太った女性が首にレイを掛けてくれた。レイには、歓迎とか感謝とか祝福とか、いろいろな意味があるのだそうだ。愛情のこもった、特別な贈り物。わたしにかけられたのは、小さな紫色のオーキッド。彼のは、黒い木の実をつなげた力強いレイだ。首元から、みずみずしい香りが立ち上る。
 「あ、結婚式だ」
 彼が指さしたほうに視線を向けてみる。そこには、白いタキシードを着た日に焼けた男性がいた。
 「花嫁を待っているんだろうね」
 花婿は、緑色の葉をつなげた長いレイを首に掛けていた。
 「男性が結婚式につける、マイレという神聖な葉でできたレイですよ」
 と、わたしにレイを掛けてくれた女性が微笑んで教えてくれた。
 「いろいろなレイがあるんだな」
 彼は他人事の顔をして言った。
 わたしは少しだけ、マイレレイをかけた彼の姿を想像してみる。
(恋愛小説家・狗飼恭子)
つづく »
レイを腕にかけ、さわやかな笑顔でお客を迎えるベルボーイ。ホテルの歓迎の気持ちをレイにこめて贈ってくれる。

タクシーを呼ぶ電話にもレイをモチーフにした飾りが。かわいくて思わず受話器を取りたくなる。

チャイナタウンにある「リンズ・レイ・ショップ」。色とりどりのレイがショーケースの中に並べ られていて、見ているだけで楽しい。
レイショップの前でレイの仕上げを見学する狗飼恭子さん。この後レイはリボンで結ばれてショーケースの中に納められる。
店の奥でレイを作る女性たち。まず花のきれいな部分だけを選ぶ。細かい作業をくり返しながらきれいなレイをつくりあげていく。
レイ専用の長い針で花をつなげていく。たくさんの花を使うレイは見た目のかわいらしさから想像するよりもずっしりと重い。


レイはハワイの人々にとって昔から日常生活に根付いた伝統文化。「おめでとう」や「いらっしゃいませ」の意味をこめて贈られる。花をつないでつくられたものも、葉っぱやナッツでつくられたものもすべてがレイとよばれていて、お守りや魔除け、感謝、祝福、愛情など、それぞれに意味がある。地元の人々が身につけたり贈り合ったりするだけではなく、観光者の私達にホテルなどで「いらっしゃいませ」の意味をこめて贈られることも。レイを肩にかけてもらえば、ああ、オアフに来たんだ、という気分が盛り上がるだろう。

 

■ DATA

ホノルル・ダウンタウンの一角に位置するチャイナタウンにはたくさんの老舗レイショップがある。ショーケースから好みのレイを選んで買える。花の種類によって異なるが1つ$15〜30ほど。

 

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■ 関連項目

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過去記事『今こそ、オアフ島!!』
オアフ観光局
iPadアプリ「今こそ! オアフ島」

 

Produce&Photographs: Yuji Komatsu
Special Thanks: Ritsue Honma / O’ahu Visitors Bureau