from パリ(たなか) – 49 - 桜咲いたか、プランタン。

(2010.04.12)
4月2日、5区クリュニー中世美術館の庭にある桜。めずらしく日本風、ほぼ満開。

3月前半のパリは冬に戻ったような寒さだったが、中旬になると突然暖かくなり気の早いTシャツ姿もちらほら出現して、このまま春になるかなと期待を持たせておきながら月末にはまた寒くなり、春の到来はどこの国でも行きつ戻りつ、三寒四温。晴れていても一天俄にかき曇り、雹が混じるほどの驟雨に見舞われること度々、この季節のパリでは折り畳み傘が必需品。

パリで春一番に咲く花は何だろう、私の気がついた限りでは意外にもレンギョウだった。(なんだ、東京と同じだ)沈丁花は残念ながら発見できなかったが、紫木蓮は時々散歩に行く教会の庭に咲いていた。ヒヤシンス、水仙、いろいろあるが、春と言えば何と言っても桜、パリでも結構見かける。東京の開花時期と同じ3月末から4月にかけて、あちこちで桜もどきの花が咲く。日本のソメイヨシノとか、オオシマザクラとか、そりゃあ品があって美しいけれど、パリの桜もどき(と言っちゃあ失礼だが、木の名前がわからない)もなかなか可愛いくて、十分に春の気分を盛り立ててくれる。カンヒザクラ系の濃いピンクが多いが、日本風の薄墨っぽい楚々とした桜もたまに見かけることがある。今は一重の桜だが4月も中旬を過ぎると、あちこちの公園などに八重桜が豪快に咲き誇るはずだ。花の色はピンク、ぽってり爛漫ゴージャス系が好みのよう。あと、サクランボの木も多い。花も実もあり二度楽しめるし。

 

3月28日、13区イヴリー通りとショワジー通りを結ぶ裏通りR. d.Fres d’Astier de la Vigerie 中華街へ寄った時に偶然発見した。まだ若い桜だが、並木が美しい。八分咲きぐらい。
4月3日、5区にあるサン・ジュリアン・ル・ポーヴル教会の紫木蓮。莟が膨らんでから寒い日が続き、開くまでに時間がかかった。
4月4日、クリュニーの桜を塀の外から見たところ。散り始め。
4月3日、サン・ジュリアン・ル・ポーヴル教会のセーヌ沿いには陽当たりのいい公園があって、桜の並木がある。満開も過ぎて、赤い葉が元気だ。後はノートルダム大聖堂。

一方、春は映画館にもやって来る。3月21日から3日間、ル・プランタン・ドゥ・シネマという入場料3.5ユーロ(450円)均一の映画祭があった。パリスコープpariscope という0.4ユーロの情報誌を買って、まずはサンジェルマン・デ・プレの映画館で北野武監督の『アキレスと亀』を見た。たけしは先日フランスの芸術文化勲章を受賞したし(二度目で最高の勲章!)、今年はカルティエやポンピドゥーで展覧会もあるし、映画作品よりも彼のフランスでの人気の理由の方が興味深い。翌日は、ラ・パゴド(La PAGODE)という中国の寺院風を改装した映画館でポランスキーの新作『The Ghost Writer』を見る。映画館の庭はエキゾチックで最高、映画もミステリアスで最高、日本語字幕だったらもっと良かったが。最終日に『シャッター アイランド』というスコセッシ監督の新作をオデオンで見ようと思ったが、疲れそうでやめた。フランス語理解能力がもう少しあれば見に行ったのだが。

7区バビロン通りにある映画館、ラ・パゴドの中庭は東洋風。お茶を飲むだけでも入れる(らしい)。唐獅子と、贅を尽くしたステンドグラスがなんとも異国情緒たっぷり。
右側がラ・パゴドのロビー、今回は地下の映写室だったが、情報誌によるともう一部屋、日本間(サル・ジャポネーズ)があるらしい。
6区、サンジェルマン・デ・プレの広場に面した映画館。日曜の夜7時からの回は、半分以上の席が埋まっていた。

ところで去年、消防署で貰った(買った?)カレンダーを見ると3月27日(土)と翌日曜にかけて+1時と書いてある。夏時間が始まる日だ。(28日2時が3時になった)春分も過ぎて日が長くなり、夕方7時頃まで明るくなってはいたが、それが一気に8時過ぎまで明るくなる計算だ。春をすっ飛ばして、夏の先取り。そして4月4日(日)はPaques(復活祭)とある。5日は連休、フランスの学校などでは復活祭前後に2週間の春休みを取るらしい。最近セーヌの観光船がぐっと増えたり、街中がなんとはなしに浮ついているのはそのせいだったのか。

その日曜日、サン・シュルピス教会にミサの後のオルガン演奏を聴きに行ったら、いつもの5倍くらいの信者と観光客でいっぱいだった。オルガンの音を堪能して、サンジェルマン・デ・プレを通って帰ろうとしたら、教会の横にマルシェの小屋が並んでいる。刺繍やアクセサリ、蜂蜜やパンなど、ノエルの時のような品揃えだ。マルセイユの石鹸を並べた店先は春の花が咲いたような華やかさ。思わず立ち止まり、さんざん迷って、ORANGE-CANNELLE(オレンジ・シナモン)を買って帰った。春の香りとはちょっと言えないが、ちょっと不思議なエキゾチックな匂いだ。

復活祭の休日、サンジェルマン・デ・プレ教会横に並んだマルシェ。
マルセイユ石鹸もいろいろあって、まあ観光みやげかもしれないが、日本では見ないような色と香り。
6区、サンタンドレ・デザール通りの雑貨屋ウィンドウ。復活祭のお約束の卵、鶏、そしてウサギのオブジェやキッチン用品が飾ってある。