from パリ(たなか) – pré 2 - パリ東駅(Gare de l’Est)から。TGVでバーゼルへ。

(2009.04.10)

パリでの打ち合わせが終わって、フランクフルト・ブックフェアへ向かう。事前にバーゼル(スイス)で打合せがあるので、列車を乗り継いで行くことにした。ヨーロッパ大陸の距離感をまだ掴んではいないが、移動はできるだけ鉄道を使うよう心がけている。窓からの景色を飽かず眺めるのが好きだし、古い駅舎の鉄骨アーチを見るのも好きだ。

パリ東駅前のカフェで旅の腹ごしらえ。小粋にオープンでと思ったが、ちょっと寒かったので部屋の中。パリジャンへの道は遠い 駅の鉄骨の高い天窓になぜか惹かれる。鉄ちゃんの小分類に、駅舎萌なんてあるのかなあ。ヨーロッパの駅は、日本の駅ビルのように画一的な複合ショッピングセンターにしないところがエライ。終着駅のプラットホームに立つだけで、映画の主人公になった気分

パリ市内でTGVのチケットを予約するとき、オペレーターはBASEL(バーゼル・ドイツ表記)には反応しないで、BALE(バール・フランス表記)?と問い直した。3時間ほどで着く都市名を、独仏二ヶ国語で表記するなんて面倒なところだと思ったが、郷に入ったら郷に従え、ヨーロッパの民族(国家)の歴史と文化の一端に触れた思いがした。

パリ東駅から出るTGVを国境近くのストラスブールで乗り換えて、バール・フランス駅に到着。通関手続きがあるかなと、意味もなく期待?していたが、すんなりスイスへ入国。以前見たテレビの特番で、この町にある市立美術館がピカソの絵画を購入する際に、住民から寄付を募り資金を捻出したということを知り、ぜひ一度見学したいと思っていた。偶然にも仕事でこの町に立ち寄るチャンスが出来たので、ようやく長年の夢が実現できそうだ。

バーゼルは中世の面影を残す美しい町だ。近代的なトラムが町中を走り回り、旧市街は歩いても回りきれるくらいだが、見所は多そうだ。この町に住んでいる友人の案内で市内を散歩していたら、広場にあるちょっと変わった噴水に釘付けとなった。美術雑誌で見たティンゲリー(彫刻家)の作品だ。目の前で複雑に動きながら、水を噴き上げている。微妙に変化する噴水の軌跡はいつまでも見飽きない。友人の話では、ライン河沿いにティンゲリー美術館があるそうなので、翌日見学することにした。

バーゼル市役所前のトラム。豚電車に出会えるとラッキー!なことがある、という噂 鉄の廃材を利用した大小10個ほどの噴水が、思い思いに動いている

体育館のような広い館内には、ガラクタを集めて作ったオブジェをモーターで動かす巨大な作品がいくつもあって、半日見ても、まだ時間が足りない。おかげで第一目標だった市立美術館へ向かった時は閉館15分前。残念だが諦めた。まあ、バーゼル再訪の口実が出来て、これも成り行きの旅の醍醐味か。美術館のはしごには注意しないと。反省。

ティンゲリー美術館前の噴水の作品。回転したり、上下動したり、単純だけど複雑 早い話が、廃品回収業者の資材置き場というか、巨大なおもちゃ箱というか。床のスイッチを足で踏むと、ギーガタン・ゴトゴトチーン・ドッスンカラカラ・・・と全体が動き出す。階段を登って見ることもできる。楽器を集めた作品や、ポンコツ車の作品など、自動お絵かき装置などなど、大人が本気で作ったおもちゃがいっぱい 市立美術館の中庭にも、石の大きな水槽があった。龍の子みたいな蛇口から、水が出るんだろうか? ヨーロッパは馬車の文化が長かったので、馬の水のみ場として道路に噴水がよくあるそうだ。今年(09年)もパリからフランクフルトへ行く計画があるので、途中でバーゼルに寄ろう。今年こそは

●エリアナビ・パリ「プレ編」全9回を公開。本編は5月からスタートします!