from 東北 – 8 - 梅雨、初夏、ayamepark、懐古と環境。

(2009.06.29)

じめじめとする季節、梅雨。
ときには蒸し暑く、ときには肌寒い。
気温の変化によって、体調の悪さを感じることもある。
一年で好きな時期はいつですか?と聞かれ「夏」や「冬」と答える方はいる。
が、「初夏です」と答える方はまずいないはず。もっとも、嫌な季節がやってきた。

そんな中、皆さまはいかがお過ごしだろうか。
きっと空調の効いた室内で、快適空間に守られて過ごされているのでは。
だが、ここで立ち止まってほしい。
梅雨は我々、人間に対してあることを教えてくれているように思えるのだ。
何を教えてくれているのか───

───そのひとつの答えは花である。花との触れ合いで気付くことがある。
この季節、紫陽花をはじめ、たっぷりと潤いのある花々が咲き乱れる。
東北には数多くのフラワーパークがあるが、山形県・長井市にある「あやめ公園」で感じたことを伝えたい。
3.3haの敷地内に500種100万本が咲き誇り、江戸系の原種や長井古種と呼ばれる貴重な品種が保存される、国内有数の公園だ。夕方になると、外灯にやわらかな灯りがともり、純白や薄藤、黄色などに色づく花々を包み込む。
目の前に広がる風景に引き付けられ、しばし時の経つのを忘れる。
不思議と暑さや湿度は感じない。視覚的な環境も体感につながるのかもしれない。
懐古的であり、こうした風景の中に美しい日本の原典があるように思える。

梅雨の季節が過ごしにくいのは、日本の都市環境が招いた悪因であるようにも思える。
コンクリート郡に囲まれた都市。ビルが乱立し、空気が流れない。水ははけない。熱を反射する。
室内ではこもった熱に耐えられなくなり、空調をかける。そしてまた室外に熱を吐き出す。まさに悪循環である。
エコだ、エコだと飾り立てても、根本が変わらない限り、本当の意味で環境問題には取り組めていないのではないだろうか。

梅雨を楽しめる時、楽しめる人が増えた時、自然環境が治癒し始めた証であると思う。
次の世代、そしてその次の世代が「あなたの好きな季節は?」との問いに
「初夏です」と答えられるよう、日々の生活を見つめなおしていきたい。

梅雨は教えてくれている、「このままでは、あなた達の住む世界を失うよ」と。

 

あやめ公園(山形県・長井市)

所在地:山形県長井市横町932-1
電話:Tel. 0238-84-2111(長井市)
交通:JR米坂線「今泉駅」から山形鉄道「あやめ公園駅」下車
駐車場:有り
※6月10日~7月10日まで『あやめまつり』開催中