from 鳥取 – 39 - あたたかな雪灯籠の光につつまれる雪まつり~鳥取・智頭宿(ちづしゅく)。

(2010.01.18)

幼いころ、雪が降るのがとても待ち遠しかったのを覚えています。
冬の夜に家が震えるほどおおきな雷がなり、「雪おこしだな」と父が言った次の日の朝には辺り一面真っ白になっていて、新雪の感触を楽しみながら登校しました。
授業の合間のほんの数分の休憩時間でも、こぞって外へ出て、ソリ遊びをしたり雪だるまをつくって遊んだものです。
私の実家は鳥取の沿岸部で、多いときは縁側より高く降り積った(1メートルぐらい)記憶もありますが、近年では積雪量も少なくなり、30~50センチ積もれば大雪といった具合でしょうか。
今では冬が来るたびになるべく降って欲しくないと願うばかりです。

鳥取県東部の山間にある智頭町(ちづちょう)は、県内でも雪深い地域ですが、ここで毎年雪まつりが開催されています。
智頭町はかつて宿場町として栄え、まちには往時がしのばれる古い史跡や町並が残されています。
雪まつりではこの智頭宿一円が会場となり、県内外より多くの観光客が訪れます。
この雪まつりのメインともいえるイベントは、夜の雪灯籠(ゆきどうろう)。

智頭宿雪まつりの雪灯籠を眺める親子。

町民などの手づくりによる約500基の雪灯籠が各所に置かれ、智頭宿一円がやわらかな光に包まれます。
その光景は幻想的で、見るものをあたたかな気持ちにさせてくれます。
冷たい雪で出来たものなのに何故でしょう?不思議ですね。
路地には千本格子から漏れる光が広がり、その中を歩けばまるでタイムスリップしたかのよう。
また、地元観光協会などによるこちらも手づくりの和紙と竹で出来た手提灯(有料)を手に、散策を楽しむことも出来ますよ。

 

軒先に吊るされた杉玉。

お楽しみは夜だけではありません。
杉玉ってご存知ですか?
杉の葉を束ねてボール状にしたもので、造り酒屋が新酒の仕込みの際、酒蔵の軒先に吊るし、葉の色が茶色に変わる頃おいしいお酒が出来上がるというものですが、杉の産地である智頭町では、家の軒先にも多く見られます。
雪まつりではその杉玉づくりや杉の葉アート、かずら編を体験できるコーナーが設けられます(有料)。
また、手打ちそばや山菜おこわ、おでん、ぜんざいなどの屋台村のほか、幻の漬物といわれる「板井原ごうこ」や「柿の葉寿司」などの特産品も出店されます。
智頭宿内には安政時代創業の「諏訪酒造」がありますが、ここはマンガ『夏子の酒』(尾瀬あきら作)のモデルになった酒蔵で、味もお墨付きです。
直売所も併設されていますので、おいしい地酒を片手に屋台を巡るのもおすすめですよ。

石谷家住宅 。

同じく宿内にある「石谷家住宅」は大正から昭和にかけて建てられた敷地面積3000坪の大邸宅で、昨年、国の重要文化財に指定されました。
邸内は見学可能(有料)で、雪まつり期間中は京都を中心に活動しているギタリスト・田中彬博さんのライブが開催されます。
田中さんの父親は智頭町の出身ということで、縁あってこのライブが実現したわけです。
巨木の梁、大きな大黒柱の石谷家住宅内に、アコースティックギターのどんな音が響き渡るか、とっても興味深いです。

他にもお子様連れにうれしい雪遊びのできる広場や、豆まきなどのイベントも予定されています。
智頭宿雪まつりへの会場は、智頭駅下車すぐなので、雪道の車の運転は不安という方も安心。
智頭駅は、京阪神方面と鳥取をつなぐ特急スーパーはくとの停車駅なので、遠方からも気軽にお越しいただけます。
心も体もあったかくなる智頭宿雪まつりへどうぞお越し下さい。

 

第11回智頭宿雪まつり
開催日:2010年1月30日(土)10:00~20:00、31日(日)10:00~14:00
※雪灯籠は1月30日の17:00~21:00まで
場所:智頭宿一円(鳥取県八頭郡智頭町)
お問合せ先:智頭町総合案内所 TEL0858-76-1111、智頭町役場企画課 TEL0858-75-4112
HP:智頭町ホームページ http://www1.town.chizu.tottori.jp/

 

智頭宿雪まつりの様子。