from 北海道(道北) - 1 - 星に願いを……。

(2009.10.08)
しょさんべつ天文台。初山別村の海岸線高台の岬に位置するみさき台公園内にある。開館時かつ星が出ていればあれば誰でも観測可能(入館料200円)。天文台職員の黒田さんが星々をナビゲートしてくれる。黒田さん、星の話なら何時間でも話してくれる。12〜2月は吹雪いてほとんど星が見られないので休館。

北海道は北のはずれにある天文台をご存じでしょうか? しょさんべつ天文台—人口1,400人ほどの小さな村、初山別村(しょさんべつむら)は、田舎だからこそ光害も少なく、夜になれば満天の星空。野原にゴロンと寝っ転がって、潮騒を聞きながら星を数えたくなる、そんな村に口径65cmの天体望遠鏡はあります。

このどでかい天体望遠鏡で見られる星は14〜15等級以上の星、約1億個。実はこの星々の大半は記号が付いているだけで名前をもちません(北極星とかベガとか一部の星を除いては)。で、初山別村は考えました。「そんなら、この名もない星々に名前をつけてもらおう。初山別村内だけでしか通用しないけれど、つけた名前は永遠に登録しよう」と。My Stars systemといいます。
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My Stars systemの星に託された253編の物語が掲載。本の巻頭文「星、お預かりしてます/大切な想いがこもった星を/皆さんは、今/クラクション飛び交う喧騒の中/きっと星を思い出す暇はなく/日々忙しいんだろうな/と思いながら/でもある日/クラクションが途切れた瞬間に/大切な何かを思い出す瞬間が/いつの日か必ずあるから/大切に/お預かりしてます」頒布500円+送料。問い合わせ先:初山別村教育委員会(TEL:0164-67-2136)。

H7/7/7のスタート以来、14年間で8,500の星が登録されました。そして、登録された星にはそれぞれの物語が託されていました。

「私の夢、祈りを星に託して・・・。いつか願いがかなうよう」。

「彼女の名前をつけた星をプレゼントしました。プロポーズの言葉とともに。彼女は涙で言葉にならず何度も何度も頷いてくれました」。

「生後4カ月で亡くなった長女を『お星様になっちゃったんだ』と、電話をくれた友達に・・・」。

星につけられた短い名前には、一つ一つありったけの「想い」が込められていました。それに気付いた初山別村は登録された皆さんに呼びかけました。

「もし、差し支えなければ星に託された『物語』をお寄せください。将来、星を登録した頃の自分に会いたくなったとき、いつでも会っていただけるように。生まれたばかりのお子さんにプレゼントされた方はご両親が『物語』をお書きください。将来、お子さんが周囲に祝福されて生まれた自分に出会えるように・・・」。

「物語」は一冊の本にまとめられ、昨年の12月25日、登録者の皆さんに送られました。初山別村からの14年目のクリスマスプレゼントとして。「綺羅星列伝」 ─ 本のタイトルです。「綺羅星」(一つ一つの物語)が綴られた「列伝」 ─ そういう意味のタイトルです。

「昭和九年会」:昭和9年生まれの芸能人の集まり。盲導犬チャリティ(昭和9年が戌年だから)、救急車の寄贈(「9」だから)などチャリティ活動を長年されている。今年は盲導犬チャリティ朗読劇に、初山別村が募った星のシナリオを上演。

この本を読んだオヒョイ(藤村俊二)さんから、人を介して初山別村に声がかかりました。「舞台にしませんか?」と。オヒョイさん始め昭和9年生まれの芸能人の方々 ─ 昭和九年会の方々は毎年様々なチャリティイベントを行っているのですが、今年は初山別村の星のシナリオを上演しようか、というお話しでした。

 

昭和九年会朗読劇『星の雫』

日時:平成21年10月13日(火)13:00開場、14:00開演
場所:博品館劇場(東京都中央区銀座8-8-11)
出演者:橘家円蔵、睦五朗、牧伸二、藤村俊二、山本文郎
この日一日だけ、東京銀座へ初山別村の星の欠片を持ち込みます。

初山別村は、北のはずれの小さな村です。何もないけど、何でもあります。
デパートないです。コンビニも電車もライブハウスもないです。

でも、
空と海、風と太陽と土、そして豊かな恵み。磯の香り、星空、雪どけ水の音あります。

小さな村は意外と元気なのです。